中華料理店「餃子の王将」をチェーン展開する王将フードサービス<9936>と、中華料理店「日高屋」を運営するハイデイ日高<7611>がそろって復調の兆しを見せている。
王将は2023年3月期に2期連続の増収増益を見込んでおり、2023年3月期第3四半期時点では同期間の売上高が過去最高を更新した。2023年3月期決算の発表は5月15日の予定だが、同社では2023年4月24日に「2022年度決算で、創業以来過去最高となる売上高を記録した従業員の労に報いるため、決算賞与を支給する」と発表している。
ハイデイ日高も2023年2月期に3期ぶりに営業黒字に転換しており、2024年2月期は売上高でコロナ禍前を上回わる見通しだ。同社ではこうした状況を踏まえ、2023年4月12日に中期経営計画を策定し、3年間で約100億円を積み上げ2026年2月期の売上高を480億円とする計画を公表した。
両社ともに原材料価格やエネルギコストの上昇に伴って値上げを実施したものの、来店客数は減少するどころか増加しており、客単価の上昇などの現象もみられた。消費者によるラーメンやギョーザなどの定番メニューへの支持は本物だろうか。
決算賞与を支給
王将の2023年3月期第3四半期は、積極的な販売促進策を実施したことから、2度の値上げ後も来店客数は増加。この結果2022年2月から12月まで毎月の売上高が同月の過去最高を11カ月連続で更新したことから、同第3四半期の売上高はコロナ禍前(2020年3月期第3四半期)を上回って同期間の過去最高となった。
2023年3月期の売上高も過去最高となった模様で、これを踏まえ3億円分を従業員に還元することを決めた。同社では2023年3月期は夏季、冬季の通常賞与とは別に2億円弱を追加支給しており、一人当たり平均支給額が過去最高になっている。今回はこれにさらに3億円分を上積みして支給する。
3年で100億円を上積み
一方、ハイデイ日高の2023年2月期の売上高は381億6800万円(前年度比44.6%増)、営業利益は6億1500万円(前年度は35億2300万円の赤字)となった。
食材価格、人件費、光熱費などのコスト上昇を受けて、2022年8月に値上げを実施したが、値上げ後も来店客数は増加し単価も上がったことから、40%を超える大幅な増収となった。
こうした情勢を踏まえ、2026年2月期を最終年とする3カ年の中期経営計画「Hiday 500」を策定し、2026年2月期に売上高480億円、営業利益率7.5%(2023年2月期は1.6%)、店舗数500店(同446店)の目標を掲げた。
同社は2023年2月に創業50周年を迎えており、これを記念して2024年2月期第2四半期に1株当たり5円の記念配当を実施することも決めている。
食品をはじめとする多くの商品で価格が上昇しており、外食でも値上げに踏み切る店舗が少なくない。餃子の王将と日高屋も値上げをしたものの相対的に割安感があるため、来店客数が増加しているものと思われる。両社の健闘はしばらく続きそうだ。
文:M&A Online