すかいらーくホールディングス<3197>、サイゼリヤ<7581>のファミリーレストラン大手2社の業績回復の過程が今一つ力強さに欠ける展開となっている。
足引っ張る原材料費や光熱費の高騰
すかいらーくは2022年12月期に当初5億円の営業利益を見込んでいたが、ふたを開けてみると55億円の赤字に沈んだ。
2023年12月期の営業利益は60億円の予想だが、同社では原材料費、物流費、光熱費の高騰などが続き事業環境が悪化するとの認識を示しており、60億円の目標は流動的といえそうだ。
一方、サイゼリヤも原材料価格の上昇などを理由に、2023年8月期に75億円を見込んでいた営業利益を14億円引き下げ、61億円に下方修正した。
同社では2023年8月期第2四半期時点で営業利益が17億9500万円下振れしているため、下期は営業利益が改善方向に向かうとの予想だ。今のところ原材料価格に大きな変化は現れておらず、果たして予想通りの展開になるのか予断を許さない状況といえる。
ただ、来店客数、客単価は順調に伸びており、2023年1-3月の平均では両社ともに前年度比20%台の増収となった。この状況が続けば、サイゼリヤは今期、コロナ禍前の2019年8月期の売上高を上回り、すかいらーくも今期は2019年12月期にあと5%(金額は203億円)ほどのところにまで迫ることになる。
両社の業績回復に力強さが現れるのはいつなのか。そう遠い先のことではないかも知れない。
M&Aによる事業拡大も
すかいらーくのコロナ禍前の2019年12月期の売上高は3753億円、営業利益は205億円だった。これに対し2023年12月期の売上高は3550億円、営業利益は60億円の見込み。この間に2度の営業赤字に陥っており、厳しい状況下にあった。
サイゼリヤのコロナ禍前の2019年8月の売上高は1565億円、営業利益は95億円だった。これに対し2023年8月期の売上高は1772億円、営業利益は61億円の見込み。やはりこの間に2度の営業赤字を経験しており、同様に厳しい環境にさらされた。
コロナ禍による休業や時短営業などは解除され、外国人旅行者も増えるなど回復の兆しは見えるものの、原材料やエネルギ-価格の上昇、さらには物価高による消費マインドの低下なども加わり、回復の足取りが遅れているのだ。
こうした状況を踏まえ、すかいらーくでは2023年-2025年の間に既存店の収益改善や新規出店、業態転換、海外事業の本格化などを進め、2025年以降はM&Aによる事業規模拡大や外食だけでなく内食の事業拡大などにも取り組む計画だ。
サイゼリヤでもアフターコロナを見据えた出店戦略や販売戦略を進めるとともに、店舗や工場での食材ロスの削減、店舗や工場の設備改善による作業の生産性向上などに取り組む。
これら取り組みの成果次第では、遅れている回復の足取りにも力強さが戻ることになりそうだ。
文:M&A Online