主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年5月17日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼16日(火)の為替相場
(1):RBA議事要旨を受けて追加利上げ期待がやや後退
(2):中国経済指標は予想を下回る
(3):英雇用統計は若干悪化
(4):独ZEW 3カ月連続で悪化
(5):米小売売上高コアが予想を上回る
(6):米債務上限問題週末に合意の可能性も
▼16日(火)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:200日移動平均線を目指す可能性/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
16日(火)の為替相場
期間:16日(火)午前6時10分~17日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):RBA議事要旨を受けて追加利上げ期待がやや後退
豪中銀(RBA)は5月理事会の議事録を公表。予想外の利上げ再開を決めた理由について「労働市場が引き続きタイトでインフレ圧力も著しい様子が前月のデータで確認され、インフレ見通しの上振れリスクも示唆された」と説明。その上で「政策委メンバーは、追加利上げがなお必要かもしれないが、景気とインフレの動向次第との認識で一致した」ことが明らかになった。ただ、利上げと据え置きの「2つの選択肢を比較検討する中で、議論は微妙なバランスだった」としたことで、次回6月の追加利上げ期待がやや後退した。
(2):中国経済指標は予想を下回る
中国4月鉱工業生産は前年比+5.6%と3月の+3.9%から上昇幅が拡大したが、市場予想(+10.9%)は大きく下回った。同小売売上高も前年比+18.4%と大幅に伸びたが市場予想(+21.9%)には届かなかった。これを受けて中国の景気回復期待が萎むと豪ドルが下落した。
(3):英雇用統計は若干悪化
英4月失業率は4.0%(前回3.9%)、同失業保険申請件数は4.67万件(前回2.65万件)となった。英1-3月国際労働機関(ILO)基準失業率は3.9%で予想および前回(3.8%)を上回った。また、英1-3月の週平均賃金は前年比+5.8%となり、予想および前回と同じだった。
(4):独ZEW 3カ月連続で悪化
独5月ZEW景気期待指数は-10.7と市場予想(-5.0)を下回り3カ月連続で悪化。同時に発表されたユーロ圏1-3月期域内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.1%で速報値からの修正はなかった。また、ユーロ圏3月貿易収支は、輸出が伸びて輸入が減少したことから256億ユーロの黒字となった。
(5):米小売売上高コアが予想を上回る
米4月小売売上高は前月比+0.4%と市場予想(+0.8%)を下回った。自動車を除いた売上高は前月比+0.4で予想と一致。自動車、建材、ガソリン、食品サービスを除いたコア売上高は前月比+0.7%と予想(+0.4%)を上回った。初動はドル売りに傾いたが、国内総生産(GDP)の算出に用いられるコア売上高の上振れを受けて米長期金利が上昇に転じるとドル買いが優勢となった。なお、その後に発表された米4月鉱工業生産は前月比+0.5%と予想(±0.0%)を上回った。
(6):米債務上限問題週末に合意の可能性も
マッカーシー米下院議長(共和党)は、バイデン大統領や民主党議会指導者との債務上限引き上げを巡る会談後に「双方の間には依然大きな隔たりがある」としながらも「合意が数日以内にまとまる可能性がある」との見解を示した。バイデン大統領はその後、債務不履行(デフォルト)は選択肢でないという「圧倒的なコンセンサスがあった」と発言。その上で「まだやるべきことがある」と付け加えた。大統領はまた、G7広島サミット出席後に予定していたオーストラリアとパプアニューギニア訪問を取りやめ、21日にワシントンに戻って債務上限交渉の合意を目指す考えも明らかにした。
16日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:200日移動平均線を目指す可能性
昨日のドル/円は米長期金利の上昇を背景に小幅続伸。米4月小売売上高のコア指数(自動車、建材、ガソリン、食品サービスを除く)が市場予想を上回ったことで米個人消費の底堅さが意識されると、2週間ぶりに136.68円前後まで上昇した。その後は米国株の下落などを重しに伸び悩んだが、前日比0.2%高の136.40円前後で取引を終えた。
なお、米債務上限問題を巡る大統領と議会指導部の交渉に目立った進展はなかった模様だが、共和党のマッカーシー下院議長は「隔たりはあるが、今週内の合意は可能」との認識を示した。また、G7広島サミットに出席するため本日米国を離れるバイデン大統領は、予定を短縮して21日に帰国すると発表した。これらを受けて米国の債務不履行(デフォルト)を巡る警戒感が和らいでいるようだ。
こうした中、本日のドル/円は200日移動平均線が通る137.07円前後を目指して上伸する可能性があろう。上値抵抗と見られるこの水準付近では戻り売り圧力が強まると予想されるが、それだけに突破できれば月初来高値(137.77円前後)の更新に向けた機運が高まりそうだ。
注目の経済指標:米住宅着工件数
注目のイベント:ECB高官発言
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1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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