貯蓄から投資へ本格シフト? Z世代とミレニアル世代によるお金の座談会

このイベントは、GA technologiesが発表した「Z世代とミレニアル世代のお金に関する意識調査」の結果を受けて行われたもの。

現政権でも掲げられる「貯蓄から投資へ」のスローガンや高校での金融教育開始(2022年)、新NISA制度(2024年)など、投資へのシフトが注目されるいま、未来を担う若者はお金についてどのように考えるのか。座談会には、次の若者4名が参加しました。

座談会に参加した4名

  • 資産形成は未経験だが関心のあるZ世代
    平沼さん
    佐藤さん
  • 資産形成を20代から始めたミレニアル世代(RENOSYオーナー)
    渡邉さん
    福永さん

参照: GA technologiesプレスリリース「老後のお金の対策、何歳から?Z世代の2人に1人は、老後が不安。社会人1〜3年目で資産形成を始めた“ミレニアル世代”投資家、老後は「なんとかなる」と考える割合が最多に」(2023年4月19日)

Z世代ならではのお金や資産形成に関する悩み

ーZ世代のお2人へ質問です。社会人になってからの収支状況、今後生活をする上でのお金について、どのように考えていますか?

平沼さん
平沼さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

お金については漠然とした不安があります。その理由は、社会人になって収入が学生の頃より増えたけれど、「今月は思っていた以上に支出が多いな」など、お金を計画的にコントロールできていないからです。もっと貯蓄をしたいと思っているけれど、なかなか難しいので、これから長期的に貯蓄をしていけるのか結構不安を感じています。

Z世代の平沼さん
Z世代の平沼さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

電子決済サービスの利用による全体収支の見えにくさ

佐藤さん
佐藤さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

電子決済サービスで支払いを済ませているので、以前よりもお金を現金で引き出す機会が減りました。お金を使っている自覚がなくなってしまっている気がしているので、今後には少し不安があります。

ー貯蓄について不安があるとのことで、Z世代の2人が貯蓄するにあたってどんなツールがあるといいと思いますか?

貯蓄をするためにこんなツールが欲しい!

平沼さん
平沼さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

便利さからいろんな電子決済サービスを使っているのですが、分散してしまってどこでいくら使ったのか把握できず、全体の支出が見えにくくなってしまっています。すでにアプリなどがあるかもしれないのですが、自分がどこにどれぐらい使っているのか、可視化しながら日々の生活を送れるようになるといいのかなと思ってます。

佐藤さん
佐藤さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

今はお給料が入ったタイミングで貯蓄用の口座に自動的に振り込む設定をしています。一応先取り貯金をしているのですが、その先のより良い貯蓄方法を知ることができたらいいなと思っています。

貯蓄が問題なくできるようになった先に「投資もチャレンジしてみよう!」といった余裕が生まれるのかもしれません。

ー投資経験のないZ世代の2人は「投資」と聞くとどんなイメージがありますか? 率直な意見を教えてください。

どんな投資をしたらいいかわからず、一歩が踏み出せない

平沼さん
平沼さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

率直に言うと、実際に投資を始める上で何から始めたらいいのか、いまいちわかっていません。それゆえに頭ではスタートした方がいいとわかっていても、一歩を踏み出せていない状況です。

佐藤さん
佐藤さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

投資についてはリスクがあって、ギャンブルのようなものなのかなって思っていました。最近は、大学の友人など周りに投資をやってみようかなっていう人が多くて、私も少し興味があるんですけど、平沼さんと同じように何から始めたらいいのかわからないです。

Z世代の佐藤さん
Z世代の佐藤さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

Z世代の2人は資産形成に関心はあるものの、貯蓄、投資どちらについてもどのような方法で行えばいいのか迷っているようでした。そこで、すでに資産形成を始めているミレニアル世代の2人にお話を聞き、アドバイスをいただくことにしました。

ミレニアル世代2人の「投資の師匠」は家族。分散投資でリスクヘッジ

ー投資経験のあるミレニアル世代の2人は、いつ、どんなきっかけで投資を始めましたか?

ポジティブな気持ちで投資の勉強をスタート!

渡邉さん
渡邉さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

社会人1年目の22歳の頃に投資を始めました。はじめに投資について知ったきっかけは祖父です。高校生の時に、祖父が見せてくれた株主優待券に興味を持ち、祖父に投資について教えてもらいました。それから大学生になってアプリで株の運用シミュレーションをしてみたり、お金に関する雑誌やネットで情報収集をしたりしていました。

徐々に知識を身につけていき、お金を稼げるようになったら投資を始めようと計画を立てていました。社会人になってから、つみたてNISAを始め、実際に自分のお金で投資をすることによって、投資への実感も湧き、社会情勢にも目を向けられるようになりました。

ミレニアル世代の渡邉さん
ミレニアル世代の渡邉さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)
福永さん
福永さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

社会人2年目、23歳くらいの時に始めました。きっかけは、社会人になってお金に関する知識を身につけると、知見が広がり業務に活かせると思ったから。あとは渡邉さんと似ているのですが、父が株を持っていて株主優待券や配当金をお小遣いとしてもらうことがありました。

家族が投資をしているから投資に対してネガティブな印象はなく、「とりあえずやってみよう精神」で始めることができました。まずはチャレンジをして勉強するタイプなので、始めるのは早かったかなと思います。

2人とも家族が投資の師匠とのことで、ポジティブな気持ちで投資をスタートして、投資の勉強を進めていたようです。

投資の勉強が楽しくてどんどんチャレンジ

ー実際にどんな投資商品を購入しているのか可能な範囲で教えていただけますか?

渡邉さん
渡邉さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

つみたてNISAを始めた後は、個別株式、バイナリーオプション、変額保険、不動産投資、iDeCoというように広げていきました。その理由は、1つの投資商品だけすることはリスクが大きいと考えているから。

少額でもいいのでリスクを分散することによって、最適なポートフォリオを組めると思っています。投資を始めた当初は、ここまで種類を増やそうとは思っていなかったのですが、投資の知識を増やしていくことで、いつの間にか増えていきました。今でも情報収集は行っていて、自分の気になる企業のIR情報のページに株式投資家向けの資料がまとまっているので、定期的にチェックしています。

※バイナリーオプション:為替相場や株価指数などを対象に、あらかじめ決められた時点、期間の騰落を予測し、ある値よりも高いか低いか、一定の範囲に収まっているかなど、二者択一で選ぶ取引のこと。
参照:バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!:金融庁

※変額保険:運用の実績によって保険金や解約返戻金が増減する保険のこと。
参照:変額保険とは?|公益財団法人 生命保険文化センター

福永さん
福永さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

最初に始めたのは個別株式でした。チャレンジをしようと思いつつも、失敗したらどうしようといった気持ちもあったので、個別株式を購入する際は、安定していそうで配当金のある大手の企業を選びました。そこから投資について調べるようになって、これから伸びそうな会社にも投資をする範囲を広げていきました。

今では個別株式に加えて、投資信託と不動産投資の3つに絞って投資をしています。その理由は、コロナの影響で資産が半分ぐらいに減ってしまったこともあり、その経験から1点集中はまずいなと肌で感じたから。

リスクヘッジのために分散投資をして、投資の幅を広げていきました。

※投資信託:投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品のこと。
参照:そもそも投資信託とは? - 投資信託協会

ミレニアル世代の福永さん
ミレニアル世代の福永さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

経験の豊富さから投資未経験のZ世代2人も驚きを隠せないようでした。リスクヘッジのために分散投資をしているとのことでしたが、純粋に投資そのものを楽しんでいる様子が伝わりました。

投資未経験のZ世代に向けたアドバイス

ー投資への一歩が踏み出せないZ世代に向けて、おすすめの投資や勉強方法についてアドバイスをお願いします。

会社制度の活用や少額投資にチャレンジ! 初心者の勉強はYouTubeがおすすめ!

渡邉さん
渡邉さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

一番簡単なのは、会社がやっている確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(企業型DC)だと思います。自分の貯蓄から持ち出しをせずにスタートできるので。あとはやっぱりつみたてNISA。流動性が高くいつでも引き出せるからおすすめです。1万円など少額でもいいので、まずはやってみると、そこから投資の勉強をしようという意欲が湧くかもしれません。

※確定給付企業年金(DB):厚生年金保険の適用事業所において事業主が従業員と給付の内容をあらかじめ約束し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができる企業年金制度のこと。

※企業型確定拠出年金(企業型DC):厚生年金保険の適用事業所である事業主が単独または共同で労使合意に基づいて実施する企業年金で、事業主の拠出する掛金が加入者ごとに区分され、その掛金と加入者の運用指図による運用益との合計額をもとに給付額が決定される制度のこと。

参照:企業年金制度|企業年金制度と通算年金|企業年金連合会

福永さん
福永さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

私は投資や資産形成について、YouTubeで学びました。「両学長 リベラルアーツ大学」が初心者にとてもわかりやすいのでおすすめです。

※両学長 リベラルアーツ大学 - YouTube

「とにかくハードルの低いところからスタートしてみることが大事!」とのことで、Z世代の2人は真剣に話を聞いていました。

資産形成をしてワクワクする老後へ

ー続いて、Z世代の2人、ミレニアル世代の2人は老後についてどうお考えでしょうか?

平沼さん
平沼さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

恥ずかしながら「なんとかなる」と思っています。理由は、今までお金や投資について無知だったがゆえに踏み出せなかったので、この座談会をきっかけにこれから知識を深めていくと、40年後は問題ないのではないかなというのが正直な感想です。

佐藤さん
佐藤さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

私は「想像がつかない」です。人生100年時代といわれている中で、老後私たちの世代は、年金をもらえない可能性があるともいわれているので、不安な気持ちもあります。定年後も働く力があれば働いているかもしれないけれど想像がつかないです。

渡邉さん
渡邉さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

僕は「楽しみ」「ワクワク」しています。理由としては、若いうちから投資をすることによって、複利の効果が大きいと思っているからです。40年くらい複利の効果を使ったとしたら、どのくらい増えているんだろうと非常に楽しみです。

福永さん
福永さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

私は「なんとかなる」と考えています。40年後は不動産投資も完済している予定なので、家賃収入だけでも数百万円入ってくると見込んでいます。私も複利の効果が大きいと感じているので、今積み立てている投資信託が40年後、相当な効果が得られるのかなと思っています。

老後に対する考えは、若いうちから準備をしておくことが「ワクワクする老後」へのポイントのようです。

各世代から座談会の感想

ー最後に座談会を通して、Z世代・ミレニアル世代の皆さんに新たな発見やアドバイスなどがあれば、ひと言お願いします。

平沼さん
平沼さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

ミレニアル世代の話を聞いて、投資する目的は資産形成に加えて、投資を通して経済の動きも学んでいることにはびっくりしました。実際に運用しながら自分の知識をつけていくといった活用の仕方はすごく素敵。

佐藤さん
佐藤さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

ミレニアル世代の2人は、将来への不安が動機ではなく、お金に対してワクワクした気持ちを持っていて、プラスに考えて投資しているのが印象的でした。私もお金に対してマイナスじゃなくてプラスに捉えていきたいなと感じてます。

渡邉さん
渡邉さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

Z世代の2人とも投資に関心はあるけれど、踏み出せないのだろうなというのは感じました。やっている身としては「大丈夫だよ」と背中を押したい気持ちです。

福永さん
福永さん(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

Z世代も投資に興味があることを知ることができました。一方で、不安から一歩が踏み出せていないようなので、もっと投資に対してポジティブになれるような教育や発信が日本でもあればいいなと思います。

投資に前向きなZ世代の誕生!

ミレニアル世代からアドバイスをもらったZ世代の2人は、お金・投資への不安や疑問が解決したようで、「これから投資を始めたい!」と前向きに話していたのが印象的でした。

登壇者の話を聞いていた報道関係者も各世代のリアルな声に興味津々だったようで、座談会終了後には「収入のうちどれくらいを投資にまわしているのか」「消費が旺盛なZ世代が投資を始めるならどうするか」といった複数の質問が寄せられるなど、大いに盛り上がりを見せたイベントとなりました。

撮影:今井淳史