総括
FX「8年振り対円高値。政策金利は据え置き。過去5年のペソはどうだったか」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.5-8.0
(ポイント)
*5月17日に年初来高値を更新、7.84をつけた
*財務副大臣もペソ高は郷里送金とニアショアーによるものと発言
*政策金利は11.25%で据え置かれた
*経済指標は概ね強い
*コロナ非常事態を終了
*4月消費者物価は伸び幅鈍化
*米国移民規制法タイトル42が失効、移民の増加も予想される
*大統領はドル基軸体制を支持
*1Q・GDPは予想を上回る
*3月貿易収支は黒字に転換
*通貨は年初来最強、株価指数も強い
*政府の成長見通しは3%と高い。民間予想の約倍
*政府のインフレ率見通しはを2023年は3.2%から5.0%へ引き上げ
*2024年に大統領選挙がある
*4Qの経常収支は赤字から黒字へ転換
(政策金利は予想通り11.25%で据え置き。約2年の利上げサイクル終了)
政策金利は予想通り11.25%で全会一致で据え置かれた。これまで2年弱にわたる急激な引き締めを受け、消費者物価指数の前年比上昇率が4月まで3カ月連続で鈍化したことが据え置きの要因だ。ロドリゲス中銀総裁は既に利上げの一時停止を示唆していた。
中銀は「インフレ率を政策目標内に抑えるためには一定期間、政策金利を現在の水準で維持することが必要だろう。インフレ見通しは予測期間全体を通じて複雑かつ不確実であり、上向きリスクがある」と指摘した。また中銀は「多くの圧力が緩和されたことから、経済はディスインフレのプロセスに入った」との見方も示した。 経済界からはペソ高による輸出産業の収益減を懸念する声があがっているが、利上げ停止によってペソ高に歯止めがかかるかどうか。
(政策金利据え置き後のメキシコ市場の動き)
昨日はペソ円は変わらず、ドルペソは0.76%のペソ安。ボルサ株価指数は0.36%高、10年国債は9.04%から9.07%へ上昇した。
(年初来高値更新どころか、2015年7月20日(7.81)以来の高値を更新)
ペソ円は5月17日に7.84をつけ、年初来高値更新どころか、2015年7月20日(7.81)以来の高値を更新した。米国債務上限問題がこじれてデフォルトすれば隣国メキシコにも悪影響が及ぶとされるが市場は米国もメキシコもパニックにはならずに落ち着いている。
ペソの強さは、繰り返しになるが、ヨリオ財務副大臣が言うように郷里送金と米国と組んだ「ニアショアリング政策」によるものだ。現地新聞のビジネス欄は日々、海外からの直接投資が取り上げられている。今日は米国、イタリア、オーストリア、中国、日本がメキシコへ新規投資を行ったことを伝えている。ニアショアリングで生産が刺激され、漸増する郷里送金で消費が盛り上がる。
(経済指標は概ね強い)
経済指標は概ね強い。ただ3月鉱工業生産は前年比1.6%増、で前月の3.3%増からは伸び幅を縮小した。今夜は3月小売売上が発表される。
(コロナ非常事態終了宣言)
メキシコ政府は新型コロナウイルスによる「衛生上の非常事態」の終了を宣言した。経済活動の活性化が期待される。5月8日時点でメキシコの新型コロナ感染者数は759万5863人で、33万3961人が死亡した。
テクニカル分析
8日連続陽線後、一服。上位で横ばい
日足、ボリバン中位から反発、8日連続陽線。5月16日は一服し陰線もその後は横ばい推移、年初来高値は8.4で更新。5月17日-18日の上昇ラインがサポート。5日線、20日線上向き。
週足、5週連続陽線、今週もここまで陽線。ボリバン2σ上限。5週線、20週線上向き。4月24日週-5月1日週の上昇ラインがサポート。
月足、ボリバン上位。今年は3月だけ陰線も、その3月も下ヒゲが長かった。5月もここまで陽線。3月-4月の上昇ラインがサポート。5か月、20か月線上向き。
年足、一時22年の長い上ヒゲを上抜くも、その後23年も長い上ヒゲに転じる。21年-22年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
5年間のメキシコのインフレ、政策金利、対ドル、対円
・インフレ
・政策金利
・対ドルレート
・対円レート