主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年5月25日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼24日(水)の為替相場
(1):RBNZ利上げ停止示唆
(2):英CPIは予想ほど鈍化せず
(3):独IFO 7カ月ぶりに低下
(4):ウォラーFRB理事タカ派発言
(5):FOMC議事要旨公表
(6):米下院議長 債務上限問題の先行きに楽観的な見方
▼24日(水)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:140円を意識した動きとなる可能性も/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
24日(水)の為替相場
期間:24日(水)午前6時10分~25日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):RBNZ利上げ停止示唆
NZ中銀(RBNZ)が大方の予想通りに25bp(0.25%ポイント)の利上げを決めると同時に利上げ打ち止めを示唆したことからNZドルが急落。豪ドルも一時つれ安した。
(2):英CPIは予想ほど鈍化せず
英4月消費者物価指数(CPI)は前年比+8.7%と、前月の+10.1%から伸びが鈍化したものの、市場予想(+8.2%)を上回った。エネルギー・食品・アルコール・タバコを除いたコアCPIは前年比+6.8%に加速した(予想、前月ともに+6.2%)。これを受けて英中銀(BOE)が利上げを継続するとの観測が強まりポンドが上昇した。なお、ベイリーBOE総裁はその後、「全般的なインフレ率の低下は勧化すべきことだが、食品価格とコアインフレ率が上昇したことに焦点を当てる必要がある」と指摘。「今後、インフレが緩やかにしか低下しないリスクがある」と述べた。
(3):独IFO 7カ月ぶりに低下
独5月IFO企業景況感指数は91.7と市場予想(93.0)を下回り、7カ月ぶりに前月比で低下した。
(4):ウォラーFRB理事タカ派発言
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は「6月に利上げをするか見送るかはデータ次第」「今後数週間のデータは6月の利上げを裏付ける可能性がある」「コアインフレの進展の欠如を懸念」「インフレが明らかに抑制されるまで利上げ停止しない」などと発言。これがタカ派的と受け止められて米長期金利が上昇するとドル/円は続伸した。
(5):FOMC議事要旨公表
米連邦公開市場委員会(FOMC)は5月会合の議事録を公開。「複数の参加者は現在の見通し通りに経済が進展すれば、今回の会合後にさらなる政策引き締めは必要ないかもしれないと指摘した」として、6月の利上げ停止に含みを持たせた。これを受けてドルは反落した。しかし議事録では、「ほぼ全員」がインフレ率の上振れリスクもあると見ており、金利を据え置くか引き上げるかで「多くの参加者が選択肢を持たせておく必要性に焦点を当てた」ことも明らかになった。さらなる利上げが必要になる「可能性が高い」との見方をする参加者もいたとのことで、ドルは持ち直した。
(6):米下院議長 債務上限問題の先行きに楽観的な見方
米共和党のマッカーシー下院議長はホワイトハウスとの債務上限問題を巡る協議の後に「合意に達して、それを成し遂げる時間はある」と語り、先行きに楽観的な見方を示した。一方でイエレン米財務長官はこれより前に「6月初めまでに資金が枯渇する可能性が非常に高い」との見解を改めて示し、「より正確な時期に関する最新情報を近く議会に説明する」と述べた。
24日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
<外為注文情報はこちら>
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:140円を意識した動きとなる可能性も
昨日のドル/円は半年ぶりに139円台へと上昇。東京市場で付けた138.24円前後を下値に切り返すと、NY市場では昨年11月30日以来の139.47円前後まで上値を伸ばした。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が「6月利上げの有無はデータ次第」「利上げサイクルが終わったと宣言するのは時期尚早」と発言したことなどから米長期金利が上昇する中、ドル買いが優勢だった。米金利先物市場では、先週時点で一時10%台に低下していた6月の25bp(0.25%ポイント)利上げの織り込み度が40%近くまで上昇している。
ドル/円は、本日発表される米新規失業保険申請件数などの「データ次第」では心理的節目の140.00円を意識した動きとなる可能性もあろう。
もっとも、今朝方には米格下げ観測で一時138円台へ反落するなど、ドル/円は米債務上限問題の動向も気にしている。昨日行われたホワイトハウスと下院共和党議員の協議でも合意には至らなかったが、下院議長によれば「状況は若干好転している」とのこと。本日も続くと見られる協議の行方にも注目が集まりそうだ。
注目の経済指標:米新規失業保険申請件数
注目のイベント:FRB高官発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
●免責事項
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。