牛丼の「すき家」や回転ずしの「はま寿司」などを展開するゼンショーホールディングス<7550>が、またしても外食企業の買収に踏み切った。
同社は北米と英国を中心に、持ち帰りずし店など約3000店を展開するスノーフォックス・トップコ(英領ガーンジー)の全株式を取得する。買収価格は約874億5000万円で、同社として過去最高額となる。
ゼンショーは2023年4月にハンバーガーチェーンのロッテリアを子会社化、翌5月にはドイツの持ち帰りずし店や回転ずし店を運営するSushi Circle Gastronomie を傘下に収めた。
5年ぶりのM&Aとなったロッテリアの買収からわずか3カ月で今回の3件目に達したわけで、ゼンショーがコロナ禍後を見据えた積極策にカジを切ったと言って問題なさそうだ。
メニュー開発や食材調達などでシナジー
スノーフォックスの2022年11月期の売上高は522億2000万円で、営業損益は2600万円の赤字だった。ここ数年営業赤字が続いており、349億円ほどの債務超過に陥っている。
ゼンショーによる株式取得により、スノーフォックスの借入金などの返済が予定されており、これによって債務超過状態は解消されるという。株式の取得日は未定だが、米国規制当局の許認可が得られ次第、速やかに実行するとしている。
スノーフォックスは3000店の持ち帰りずし店のほか、すしの製造卸売業などを手がけており、ゼンショーグループ内に取り込むことでメニューの開発や食材調達、物流、店舗運営、店舗立地開発などでシナジーが込めると判断した。
海外事業の成長力を強化
5月に子会社化したSushi Circleは、ドイツで221店の持ち帰りずし店と、7店の回転ずし店を展開しており、ゼンショーが食材調達や物流、店舗運営などの支援を行うことで事業を拡大する。
ゼンショーの海外比率は20%ほどで、Sushi Circleに続いてスノーフォックスが加わることで、海外比率は一気に高まることになる。同社はスノーフォックスの買収について「海外事業の成長力をさらに強化する」としている。
ゼンショーの2024年3月期の売上高は8984億6600万円で、3年連続で2ケタ増収を見込んでおり、営業利益は400億9000万円と2年連続で2倍前後の増益を見込む。
コロナ禍からの急激な回復軌道をたどっており、これに買収による3社の数字が加わることで、さらなる上振れが予想される。ゼンショーはどこまで業績を伸ばすことができるだろうか。
文:M&A Online