特集『Hidden unicorn企業~隠れユニコーン企業の野望~』では、各社のトップにインタビューを実施。さらなる成長が期待される隠れたユニコーン企業候補のトップランナーたちに展望や課題、また今後の戦略についてヒアリングし、各社の取り組みを紹介している。
株式会社WorldLink & Companyは、ドローンの販売からドローン用のシステム開発までドローンに関する幅広い事業を行う会社だ。本インタビューでは、代表取締役社長である須田信也氏に同社の企業概要や日本経済の展望、今後の事業展開などについてうかがった。
(取材・執筆・構成=山崎敦)
2018年9月には株式会社GeoLink Japanを設立し、地理的情報の活用による世の中のあらゆるアセットのデータ管理や有効活用のサービス化を開始。2020年11月、デジタルツインプラットフォーム「4D」LinkCloud」、2021年8月、愛好家・事業者向けドローン総合プラットフォーム「UAVOOM」のサービス提供開始など事業分野の拡大を図り現在に至る。
ハードとソフトの両方を備えたドローンビジネスを行う
――株式会社WorldLink & Company様のカンパニープロフィールと、現在までの事業内容についてお聞かせください。
株式会社WorldLink & Company代表取締役社長・須田 信也氏(以下、社名、敬称略):まずは、私の簡単な自己紹介ですが、高校を卒業してアメリカに留学したあとに日本食材のデリバリーサービスを立ち上げました。こちらのサービス事業を売却したあと、日本の大手企業で営業職を経験し、2014年に株式会社WorldLink & Companyを立ち上げました。
そういった経緯がありますので、外資的な思考を持ちながらも基本的には日本人の気質を持ったハイブリッド型の経営方針を持っています。弊社は、60名(2022年4月1日時点)の社員規模の会社です。成長の変遷というところですが、メインとなるドローン事業でドローンをたくさん販売して成長してきました。
ただ「販売だけではいつか立ち行かなくなるだろう」と考え、2017年にドローンサービスを開始。その後、NTT様の「株式会社NTT e-Drone Technology」という合弁会社に参画させていただきました。中国が台頭しているドローン市場からシェアを取るための事業展開活動を行っています。
2023年時点ではドローンをメインとしたビジネスを行っていますが、今後は水中ドローンや陸上ロボットのようなものも組み合わせた「フィールドロボティクスソリューション」も行っていく予定です。ただ弊社は、事業のベースとしてハード売りをしているので、まずはハードをしっかりとお客様に届けながらサポートしていきたいと思っています。
またメインビジネスで売上を立てていくなかで、上澄みの部分としてのソフトやサービスをしっかりと伸ばしていくことも目標です。ハード、ソフトの両輪でがんばっていこうと思っています。ソフト面では「4DLINK 」といったようなソフトウェアの開発も行っていますので、SaaSビジネスも進めていく予定です。
弊社では「技術とアイディアで、より良い未来を創る(Link Tomorrow)」という経営理念を掲げています。基本的には、私もエンジニア出身なので技術を大切にしていますが、一つの技術だけではなかなか売り出すことはできません。
そのため「マッシュアップやインテグレーションと呼ばれるさまざまな技術を重ねることでお客様の課題を解決し、より良い未来を創っていこう」という考えからこの理念を掲げています。
創業当初は、ドローンを主事業にしようとしていたわけではなく「世界中の素晴らしい商品やサービス(⼈類の文化向上に貢献し革新的なもの)を繋ぐ事により、人々がより豊かな暮らしを実現する事」を企業目的としていました。
そのため社名の「& Company」の部分には、「世界中に仲間を増やしてさまざまな会社様と協業していきたい」という思いが込められています。そんななかで、創業してすぐにドローンに出会いドローン事業を開始することに。
その後、一つのブランドにするためにグループ事業の「SkyLink Japan」というブランドを作りました。SkyLink Japanのミッションは、企業目的に合わせて「ドローンと社会を正しくつなぐ」と定めています。
ブランドとしてSkyLink Japanを作ったのは、2015年にドローンの店舗を出したことがきっかけです。その際に「分かりやすいロゴを作ったほうがいいだろう」といった経緯でブランド化に至りました。最初は、店舗名のようなものをイメージしていましたが、現在はブランド名というところに落ち着いています。
また弊社は、ドローンの技術だけを展開しているわけではなく、超高解像度カメラやGIS(地理情報システム)など、さまざまな技術を保有しています。それに伴い、赤外線カメラや位置情報測量に明るい技術者がいたり、ネットワークやAIのエンジニアがいたりするなど、さまざまな技術職のスタッフを抱えているのが特徴です。
商品サービスを開発するにあたり、さまざまな技術を組み合わせたものをお客様へパッケージとして提供できることを強みとしています。このようなマッシュアップを考えた経緯としては、日本人の気質として0から1を生み出すことがなかなか難しいという現状があります 。
ただ日本の高度経済成長期に活躍されたメーカー様が海外の部品を組み合わせて世界一の家電製品を生み出していった事例があることも事実です。日本人は、0から1を生むのは苦手でも1を10にする、例えば小型化のようなより良く使いやすい製品に進化させることに長けていると思っています。
世界中には、0から1を生む技術者の方がたくさんいらっしゃいます。そういった海外のさまざまなメーカー様と協業させていただいて、技術同士を組み合わせることが重要です。今後は、世界のメーカー様が日本の市場で技術を伝えるサポートをしたり、サービス化したものを海外へ再輸出したりすることも行っていきたいと思っています。
――WorldLink & Company様はドローンや地理情報システムの販売などをドローン関連の事業を中心に展開されていますが、この事業展開に踏み切った経緯と、業界内における競合優位性はどのようなポイントでしょうか?
須田:ドローンを始めた経緯ですが、初めてドローンに出会ったのはまだ日本にもそれほど輸入されていなかった2014年でした。2014年は、DJI様という中国メーカーが「Phantom2」というドローンを出していた時代で、ちょうどドローンにカメラが搭載されたタイミングなのですね 。
それまでは、空を飛ぶものは「ホビー」という形でヘリコプターなどがありました。しかし弊社が海外のおもしろいものをリサーチしながら並行輸入販売などを行っているときに、ちょうどアクションカメラの「GoPro」がドローンに搭載されたニュースを受けたのです。
「これは何かに使えるのではないか」と思い、DJI様にコンタクトをして日本での販売を相談したというのが経緯になります。その時点から、「ドローンはホビーだけでなく産業にも使える」という市場性を感じていました。
弊社が最も得意とするのは、パッケージ化です。ドローンを大量に売るだけではなく、ドローンで何をするのかがお客様のなかで明確になってきた場合、ニーズにお応えするサービスをパッケージにしてお届けする能力があります。
例えば、経営者側は「工場の点検をドローンでやりたい」など 、さまざまな要望があります。しかし現場には、経営者の意向が伝わりづらく何をやっていいか分からないケースもあり、経営者側と現場で温度差があることも少なくありません。
そんな際に弊社が間に入らせていただいて「経営者側がやりたいことをある程度現場でも使いやすいような形にしたうえでご提供する」という本社と現場をつなぐような役割をさせていただいています。
システム関連など、弊社のなかで対応しきれない技術領域の場合には、さまざまなIT企業様に協力いただき、一緒に課題を解決していくこともあります。また弊社は「ハードの販売」と「SaaSサポート的なサービス」の両方を行えることも強みです。
「ドローン自体を提供して欲しい」「レーザーによる測量をやって欲しい」など、多岐にわたるお客様の声にもしっかりと提案できます。SaaS事業だけではなかなかビジネスとしての広がりを作りにくい部分がありますが、用途に合わせたハードとソフトを取りそろえられるのは他社様にはない要素といえるのではないでしょうか。
――昨今、日本国内においてはドローンに関してさまざまな規制が入っているかと思いますが、何か苦労されたことはありますか?
須田:DJIの「Phantom3」が発売された2015年4月に日本の首相官邸にドローンが落ちる事件があったことで、そこから世の中にドローン認知度が上がりました。そして2015年12月に航空法の改正(ドローン規制法)が実施されることに。その間となる4~12月までは、明確なルールがなかったので、逆にドローンが売れた時代もありました。
そして法律でルールが決まると企業様がさまざまな場面で使い始めました。そのため弊社は「2015年12月の法改正で何かビジネスが変わった」ということはありませんでした。それよりも2022年のドローン機体登録義務化とライセンス制度の影響のほうが大きかったです。
これが結構ややこしくて、ホビー目的のユーザー様にとっては機体登録自体がかなり面倒なものだと思います。これにより、ドローン市場としてはかなり落ちてしまったのではないかという認識です。
またユーザーに届く情報も不足しています。これからドローンを飛ばしてみたい方が「自分のドローンにライセンスが必要なのか」「どこで飛ばしていいのか」ということが周知されていません。
一般ユーザーに対して情報がなかなか展開されていないことは、とても悩ましいところです。もちろん弊社も逐一情報発信は行っていますが、末端のユーザーまでは届いていない現状があります。
弊社の取引先は、ほぼBtoBです。そのため機体登録制度やライセンス制度のような情報が発表された場合は、ウェビナーやWebページを通じてお客様に情報をお伝えしています。その際にも、やはり機体登録制度に対して面倒というお声は少なくありません。
大手企業様は、自社でドローンを持っていることがあまりありませんが、中堅の企業様からは「機体の管理を弊社で行ってくれないか」と相談されています。そういったニーズを満たすべく2023年にサービスセンターを作り、メンテナンスを含めた保管サービスを開始していく予定です。
こちらは、お客様が保有するドローンをお預かりして現場ごとに必要な機体をお送りするというものになります。使い終わったら返送いただき修理が必要であれば修理を行い、また保管させていただくサービスです。また新たなドローンが発表された場合は、そちらに置き換えていくことも行っています。
つまり情報を弊社へ集約し、お客様が行いたい課題解決に対して適宜紹介していく仕組みを作ろうとしているのです。そうするとロングテールのビジネスモデルになりますので、お客様側でわざわざネット調べて探すよりも弊社に依頼したほうが満足いただけると思っています。
例えば、新型ドローンの比較表を見ながらのご提案やメンテナンス、買い替えのタイミングなどの通知といった具合です。これにより次の売上につながるといったようなサポートソリューションを行うために、現在サービスセンター拠点を立ち上げています。
サービスセンター自体は、2023年4月から工事を開始し、年内には建設を終え2024年から稼働する予定です。また場所が福島県双葉町になりますので、立地協定を結んで復興支援もさせていただいています。
これからの時代は、買う時代から使われる時代に変化していくのではないでしょうか。そのため、サポートを一括で行ったり、法改正のような情報をお客様にしっかりと展開していったりすることも一つの強みになっていくのではないかと思っています。
規制があったとしても逆にビジネスチャンスと捉え、弊社に委託いただければすべての情報はしっかりと伝えたうえで、お客様がやりたいことを継続できる仕組みを作っていくサービスです 。
専門的な知識は専門の会社に聞かなければ分からないということは往々にしてありますので、そういったことも弊社としての責務と思っています。
――WorldLink & Company様はコーポレートサイト内において「ドローンと社会を正しくつなぐ」というミッションを掲げていらっしゃいますが、顧客との接点で特に大事にされているポイントをお聞かせください。
須田:日本にドローンの業界が生まれた際は「儲かるかもしれない」ということで非常に多くの方がビジネス参入しましたが、間違った情報発信や拡散があふれたときもありました。民間の講習があたかも国家ライセンスとして取り扱われているような状態ですね 。
弊社は、単にドローン商材をお金儲けのツールにすることはしていません。ドローンが社会に浸透するうえで正しい情報を発信してお客様の信頼を得ていきたい気持ちを込めて「ドローンと社会を正しくつなぐ」というミッションを掲げました。
今でも「ライセンス制度が出たのでライセンスを取らなければいけない」という情報を発信されている方は多いです。しかし企業様によっては、業務上で本当に免許が必要かといわれれば特に必要がないケースもあります。
そういった際に正しい情報を伝えていけることが、WorldLink & Companyの信頼感、SkyLink Japanのブランディングにつながりますので、そこは非常に重要視しています。また福島県双葉町に建設するサービスセンターもそうですが、やはりサポート面も大事にしていきたいですね。
お客様に何かあった際にドローンを使った活動をやめないようなサポート体制を構築していきたいと思っています。
国産メーカーを増やすのがドローン市場拡大のカギ
――2022年末に日本政府からスタートアップ企業の育成に向けた方針が打ち出されるなど成長企業にとってはビジネスチャンスが期待されますが、代表様の目線から見た現在の日本経済が直面している課題と、今後の日本経済において成長企業はどう立ち回っていくかというお考えをお聞かせください。
須田:経済産業省の方とお話する際、特にお伝えしていることが「政府は予算にベンチャー企業枠のようなものを設けていかないと、どんなに素晴らしい技術を持っていてもベンチャーは大手の下請けにしかならない」ということです。結果的に、その技術も大手に取られていくといった流れは、日本の企業でよくあることだと思います。
欧米などでは、政府調達もベンチャーに投資します。一方で、日本は安心感を取って大手のコンサル会社様や大手SIer様に依頼してしまう傾向です 。そのため弊社のような技術を直接的に政府機関に使ってもらえないことが一番の課題だと考えています。
予算のうち30%くらいを「ベンチャー企業枠」として、そういった会社様の技術やシステムを使っていかないとスタートアップ企業の育成はかなり厳しいのではないでしょうか。また政府機関の入札は、書類の準備が非常に大変です。
スタッフ5名くらいで活動しているようなスタートアップ企業が書類を準備するのは手間でしかありません。その体制を整えた大手しか入札できないとなると問題ですので、報告書や管理体制みたいなものの簡略化も結構重要なのではないかと思います。
ユニコーン企業を作っていきたいと思うのであれば「日本政府が実際に使っています」ということも重要ではないでしょうか。そうすれば海外にもアピールしやすいと思います。本当にベンチャー企業からユニコーン企業を輩出したいのであれば「日本政府自身がベンチャー企業の技術を使っていく」という枠を作ることも大事なのではないでしょうか。
――WorldLink & Company様と同様の事業領域を持つ企業が2023年以降の市場において成長していくためのポイントは何だとお考えでしょうか?
須田:ドローンの市場自体は、今後も広がっていくと思います。しかし現状最も懸念しているのが情報セキュリティの部分です。中国産のドローンでは、日本の重要インフラの点検などはできませんので、私としてはやはり国産のドローンメーカーを増やす必要があると思っています。日本企業のなかで唯一上場されているのはACSL様一社しかないという状況です。
日本国内に小型のドローンを作る技術はあります。しかし何が足りないかといえば予算です。ベンチャー企業には、予算がありません。小型のドローンを開発しようとすると約30億~40億円の資金が必要になりますが、それを捻出できるような会社はありません。作る技術自体はあるので、そういったところを投資家の皆様にお願いしたいと思っています。
車業界において過去には市場で世界に負けていた時代から、トヨタやホンダ、日産という日本のメーカーががんばって業界を奪還したケースもあります。ドローン市場もDJIという巨人がいますが日本が技術で奪還できる可能性はすごくあると思っています。
弊社が取り扱っているのも結局は海外のメーカー様の商品ばかりです。日本産の商品は、価格が高かったり、ちょっと足りない部分があったりする場合があります。それは、単純にお金が入ってきていないからだと思っています。
そのため経済産業省の方には、ACSL様だけに負担させるのではなく、さまざまなメーカーが進出できるように予算を組んでいただけるようにお伝えしています。基本的に海外のドローン市場は、軍事産業です。
例えば、アメリカであればベンチャー企業を5社選定して300億円ずつ予算を入れています。なぜなら軍が使うからです。300億円という下駄を履かせたうえで、例えばSkydio様などは日本市場に展開しています。
ただ現状の日本の場合は「軍事産業をしろ」というわけではありません。軍事も民生もないので国家安全保障上の観点からも日本政府はドローンメーカーをしっかりと支えるような仕組みを作って発展させていかなければならないと思っています。
どなたもDJI社製ドローンに対する代替機がないため、どうしても足踏みしているという状況です。私は、ホワイトブランドのようなものを作ってしまうのが良いと思っています。結局、ハードウェアとなるドローンはデータを取得するための手段です。
その背後で動くAIやデータ解析のシステムに価値があるので、そこに力を入れて開発を行い、競争領域を作るほうがいいのではないかと思っています。テスラ様などが分かりやすい例ではないでしょうか。
ハードを売ったあともソフトウェアアップデートでどんどんブラッシュアップしています。ドローンも一緒で、撮影機能にAIを組み込んで不具合をしっかりと見つけてくれるような仕組みをアップデートしていくことが大切です。
ソフト周りでさまざまな企業が競争していくべきだと思います。ただベースとなるハードが中国製であればセキュリティ上の懸念があったり、SDK(Software Development Kit)をオープンソースにしていなかったりする部分もあります。
そのためオープンソースでAPI連携可能なシステムを一つ作ってしまえば市場がすごく活性化していくのではないでしょうか。
フィールドロボティクス業界のキーエンスが目標
――WorldLink & Company様の今後の目標(売上、成長、事業展開など)、5年後、10年後に目指すべき姿についてお聞かせください。
須田:弊社の目指しているところは、フィールドロボティクス業界におけるキーエンス様のような存在です。キーエンス様は、ファクトリーオートメーションの大手ですが、すごい利益率を誇っています。キーエンス様は、物売りのところでの利益率も高いですが、やはりコンサルティングでの付加価値がすごく大きな利益を生んでいるという認識です。
弊社も強い営業部隊を作ったうえで、しっかりと最先端のテクノロジーを伝えながら商品を売っていきたいと思っています。お客様の課題をどのように解決するのかという営業活動、もしくはそのロボティクスやセンサーなどでお客様のデジタル化のサポートを10年後くらいまでに目指していく予定です。
一方、足元の部分でいえば「お客様の課題を解決する」というところは変わらないので、まずパッケージ化に注力しています。そのなかで、弊社は「フィールドソリューション」と「プロダクトソリューション」という2つを持っています。
フィールドソリューションとは、基本的に役務提供です。例えば、お客様から「ここの部分を点検したいので方法を提案してください」と相談されるようなことを指します。プロダクトソリューションとは、例えば「点検に際して最適なシステムを構築していく」ということです。
この2つのソリューションを同時にお客様に提案することに注力しているので、そこの事業展開を考えています。ドローン業界で何十億円という売上をSaaSのみで確保することは、やはり難しいと思います。
そのため「ハードウェアベースで事業を行いながら、少しSaaSを入れていくことが最適」という考えです。もちろん企業様によって得意不得意はあると思いますが、私としては物売りが得意なので得意な部分を伸ばしていきたい思いがあります。
そのためのバリエーションとして「4DLINK 」という地理空間情報プラットフォームというものを作っています。これは、実際にドローンで撮ったデータを三次元化するシステムです。専用のソフトを必要とせず、いろいろなデータ方式の三次元データをクラウドにアップすることで地図上に反映することができます。
当初、4DLINKは「これから撮影していく三次元データをとりあえずクラウドに残し、弊社内で業務実績のような形で地図上に落とし込んでいく」というところから開発し始めました。現在は、国土交通省が主導で作る「PLATEAU」という三次元データを使用するように地方自治体へ指示が来ています。
しかし弊社の4DLINK の強みは、こういったオープンになっている国土地理院のデータの上にPLATEAUのデータを載せたり、各自治体が持っているIoTデータを載せたりすることも可能です。いろいろなデータを重ねることで、お客様の見たい情報を表現することを得意とするクラウドシステムといえるでしょう。
これまでお客様側で三次元データのようなデータは持っていても描写する方法がなかったり、Webサイトで公開する方法がなかったりするケースがありました。例えば災害対策のようなシミュレーションも専用のソフトでなければできませんでしたが、4DLINKのようにクラウド上で表現できればお客様のWebページに公開することも可能になります。
実際に大阪府の摂津市様には、すでに実績として納品させていただきました。また国土交通省の方ともスマートシティへの展開分野でディスカッションさせていただいています。また4DLINK は、弊社が運用するのではなく各自治体のどんな担当者様でも運用できることをベースに開発しています。
これまでの地理情報システムは、技術者でないと取り扱えないことが課題としてありました。しかし4DLINKなら位置情報のあるデータがあれば運用できるため、庁内での管理負担を減らしたり年間コストを削減したりすることが実現できます。
――最後に、弊媒体の読者層である投資家、資産家を含めたステークホルダーの皆様へ、メッセージをお願いします。
須田:世の中では、SaaSビジネスが取り上げられがちですが、私はやはりハードを売ることは重要だと思っています。ハード売りは、バリエーションの面でどうしても評価されづらいということはありますが、新しい技術の商品や売る仕組み、売れる人材はもっと評価されるべきです。
そういったものが物売りとして一緒くたに評価されてしまうと小売りビジネスのような印象になってしまいます。しかし「新しい技術の商材をいかにお客様に届けていけるか」ということは、結構なノウハウになっていると思います。
皆様も日常生活においてスマートフォンのアプリなどでさまざまな技術を体感されているのではないでしょうか。ただ結局は、生活のなかで何かしらの物を買わなければならず、その最初には新しい技術を伝えて物を売る人がかならず存在します。
そういった新しい技術を伝えられる仕組みをしっかりと作り、お客様の課題をヒアリングして解決するために今ある技術を組み合わせて提案する弊社の能力に注目していっていただきたいと思っています。今後は、より一層投資家の方々ともいろいろなコミュニケーションを取っていきたいと思っていますので、何かあればぜひコンタクトいただければ幸いです。