主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年8月3日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼2日(水)の為替相場
(1):フィッチ 米国債格下げを発表
(2):内田日銀副総裁「出口を意識したものではない」
(3):欧州株下げ幅拡大
(4):ADP雇用統計は予想を大幅に上回る
▼2日(水)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:堅調を維持/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
2日(水)の為替相場
期間:2日(水)午前6時10分~3日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):フィッチ 米国債格下げを発表
大手格付け会社フィッチ・レーティングスは米国の外貨建て長期債格付けを最高位の「AAA」から「AA+」に引き下げたと発表。フィッチは債務上限問題で顕在化した「ガバナンスの低下」を格下げの理由に挙げた。これを受けてドル売りが入るとドル/円は下落。ドル売りの受け皿としてユーロが買われたためユーロ/円は下げ渋った一方、豪ドル/円やポンド/円はドル/円につれ安した。
(2):内田日銀副総裁「出口を意識したものではない」
日銀の内田副総裁は「引き締めが遅れて2%目標超のインフレ率が続くリスクより、拙速な緩和修正で2%実現の機会を逸するリスクの方が大きい」とした上で、28日のイールドカーブ・コントロール(YCC)柔軟化について「不確実性が高い中で粘り強く金融緩和を続けるために行った」措置であり「出口を意識したものではない」と強調した。
(3):欧州株下げ幅拡大
フィッチによる米国債の格下げを受けたアジア株安に続いて欧州株が下げ幅を拡大。リスク回避ムードが広がる中で円買いが優勢となり、ドル/円やクロス円が下落した。
(4):ADP雇用統計は予想を大幅に上回る
米7月ADP全国雇用者数は32.4万人増と市場予想(19.0万人増)を大幅に上回った。これを受けてドル/円は143円台を回復した。
2日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:堅調を維持
昨日のドル/円はほぼ横ばいの143円台前半で取引終了。ドルは格付け会社フィッチによる米国債の格下げを受けて142.23円前後まで下落したものの、米7月ADP全国雇用者数が予想を大幅に上回ると143.47円前後へと反発した。
市場では、米国債格下げの影響は軽微かつ一過性との見方が多く、すでに関心は明日の米7月雇用統計に向かっているようだ。ADPの上振れを受けて雇用統計の良好な結果への期待が高まる中、ドルは本日も堅調を維持しよう。
本日のNY市場で発表される米新規失業保険申請件数と米7月ISM非製造業景況指数の結果にも注目したい。一方、円を巡っては日銀の動きが注目される。本邦長期金利は昨日、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)柔軟化後としては最も高い0.63%前後へと上昇した。日銀が臨時買い入れオペを発動して金利上昇を抑え込む姿勢を示せば円売りが強まる可能性があろう。
注目の経済指標:米ISM非製造業景況指数
注目のイベント:ベイリーBOE総裁発言
※時間は日本時間での表示になります。
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※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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