Varinos(東京都江東区)は子宮内にどのような細菌がどのくらいの割合で存在するのかを、それぞれの細菌の遺伝子(DNA)を調べることで正確に検査できる技術を持つ。この検査結果は不妊治療に活かせるという。

どのような技術なのか。不妊治療に新しい風を吹き込むVarinosの桜庭喜行社長に技術の内容や事業計画、出口戦略などについてお聞きした。

乳酸菌が多いと、妊娠率、生児獲得率が上昇

-DNAから細菌の割合を検出する技術とはどのようなものなのでしょうか。

細菌の遺伝子を調べるとDNAの塩基配列が全く同じ部分と、少しだけ違う部分があります。この少しだけ違う部分の量を調べることで、どの細菌がどのくらいの割合で存在するのかが分かります。

まずは子宮内から検査試料を採取し、前処理を行ったうえで細菌の遺伝子を増やし、DNAの塩基配列を高速で読み取る装置にかけます。細菌ごとに塩基配列は分かっていますので、データベースと照らし合わせることで、どういう細菌がどのくらいの割合でいるのかを網羅的に見ることができます。これを子宮内フローラ検査として不妊治療をされている方に提供しています。

-細菌の割合が分かることで、なぜ不妊治療が可能なのですか。

海外の研究でラクトバチルスという乳酸菌の一種の割合が90%以上のグループとそれ未満の二つのグループを調べたところ、乳酸菌の多いグループが少ないグループより、妊娠率が2倍以上高く、生児獲得率は8倍以上高いことが分かりました。

このため検査の結果、乳酸菌の割合の低い人は、乳酸菌を増やすか、乳酸菌以外の細菌を減らす治療を行えば、妊娠率や生児獲得率が上がるのです。

生児獲得率が上がるというのは流産や早産が減るということです。妊娠率が高まるだけでなく、妊娠期間中ずっと乳酸菌の割合を高く保つことで、流産や早産を減らすことができます。

-この技術は他社でも実現できるのですか。

この技術は6年前に我々が世界で初めて実用化したもので、その一年後ぐらいに、スペインの会社が同じような検査を始めています。その後、国内でも何社か似たようなことをしようとした形跡はありますが、未だに実現されていません。

現在、海外では数社が始めようとしていると聞いていますが、本格的に始まっているのは1社ぐらいです。現状、我々の検査が感度・精度において世界トップクラスと言えます。

-この検査ができる病院は増えているのでしょうか

昨年この検査が先進医療という仕組みに取り入れられ、より使いやすくなったことから、いろんなところから引き合いがきています。特に大学病院は自由診療だと使いづらいようですが、先進医療になったことで、採用していただけるところが増えています。