主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年9月6日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼5日(火)の為替相場
(1):財新サービス業PMIの低下を受けてドル上昇
(2):RBAは予想通り据え置き
(3):ユーロ圏のインフレ期待が上昇するもユーロは下落
(4):インフレ懸念でドル円上昇
▼5日(火)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:神経質な相場展開となりそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
5日(火)の為替相場
期間:5日(火)午前6時10分~6日(水)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):財新サービス業PMIの低下を受けてドル上昇
中国8月財新サービス業PMIは51.8と市場予想(53.5)を下回り前月(54.1)から低下。これを受けて人民元安・ドル高に振れると対円でもドルが上昇した。一方、中国景気に敏感な豪ドルは人民元につれ安した。
(2):RBAは予想通り据え置き
豪中銀(RBA)は大方の予想通りに政策金利を4.10%に据え置いた。据え置きは3会合連続。RBAは声明で「豪州のインフレはピークを過ぎた」とした上で、「合理的な時間枠でインフレ率が目標に戻るよう万全を期すには、金融政策のさらなる引き締めが必要となる可能性があるが、それは引き続きデータと進行中のリスク評価次第になるだろう」と改めて指摘した。ほぼ予想通りの決定だったことで当初こそ豪ドルの反応は小さかったが、RBAの利上げサイクルが終了したとの見方が徐々に広がると軟化した。
(3):ユーロ圏のインフレ期待が上昇するもユーロは下落
欧州中銀(ECB)の7月調査で3年先のユーロ圏消費者インフレ期待が2.4%に上昇(6月2.3%)したことで独長期金利は上昇したがユーロは軟調。中国の景気不安などから欧州株が弱含む中、ユーロに対して円やドルが上昇した。
(4):インフレ懸念でドル円上昇
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は年内の追加利上げについて明言は避けたが「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」「何もしないでデータを待つことが可能だ」として9月19-20日の連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きを支持することを示唆。これを受けて米長期金利が上げ幅を縮小する場面もあったが、直後にサウジアラビアとロシアが供給削減の方針を延長したことで原油価格が急伸したためインフレ懸念から金利が再び上昇するとドル/円もあらためて上昇した。その後、NY原油(WTI)は需給ひっ迫への懸念から1バレル88ドル台へ上昇して年初来高値を更新した。これを受けて資源国通貨の豪ドルに買い戻しが入った。
5日(火)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:神経質な相場展開となりそう
昨日のドル/円は年初来高値を更新して147円台後半へと上伸。中国人民元の下落や米長期金利の上昇を受けてドル高が進むと、NY市場で147.80円前後まで上値を伸ばして昨年11月4日以来の高値を付けた。今朝も147円台後半でスタートしており、10カ月ぶりの148円台を窺う展開となっている。今週4日には複数の大手金融機関がドル/円相場の年内見通しを上方修正したことが伝わっており、市場では節目の150円に向けた先高観が強まっているようだ。
ただし、昨日のように1日で1円以上の急ピッチの上昇が続けば本邦政府・日銀による円買い介入のリスクが高まることになる。
本日は、神田財務官が為替相場を「高い緊張感を持って注視」「あらゆる選択肢を排除せず対応」と述べており、けん制のトーンがやや上昇した印象もある。「口先介入」の効果は限定的と見るが、ドル/円は先高期待と介入警戒の綱引きで神経質な相場展開となりそうだ。
注目の経済指標:米ISM非製造業景況指数
注目のイベント:ベイリーBOE総裁講演
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経済指標カレンダー
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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