主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年9月12日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼11日(月)の為替相場
(1):円全面高で取引スタート
(2):中国人民銀、人民元安をけん制
(3):ユーロ圏成長率見通しを下方修正
(4):英中銀、追加利上げへの支持を示唆
▼11日(月)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:本邦5年債入札後の金利動向に注目/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
11日(月)の為替相場
期間:11日(月)午前7時00分~12日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):円全面高で取引スタート
植田日銀総裁は、9日付の讀賣新聞に掲載されたインタビューで2%物価目標の実現にはまだ距離があると前置きした上で「賃金と物価の好循環を見極めるためのデータが年内にも揃う可能性がある」とし「賃金上昇をともなう持続的な物価上昇に確信が持てる段階になれば、マイナス金利の解除も含めていろいろなオプションがある」と発言。これを受けて円は全面高で取引が始まった。その後、日銀は5年物の共通担保オペを14日に実施すると発表したが、長期金利の低下は限定的でドル/円やクロス円の反発も一時的にとどまった。
(2):中国人民銀、人民元安をけん制
中国人民銀行(PBOC)は「人民元には合理的で均衡取れた水準で適切な安定状態を維持する強固な基盤がある」との見解を示し「市場の秩序を乱す投機的な取引などの行為に断固として終止符を打つべきだ」として人民元安を強くけん制。これを受けて人民元高・ドル安が進むと幅広くドル売りが入り、ドル/円は続落した。
(3):ユーロ圏成長率見通しを下方修正
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は最新の経済予測を発表。2023年のユーロ圏成長率見通しを0.8%とし、従来の1.1%から引き下げた。域内最大の経済規模を持つドイツについては-0.4%とマイナス成長を見込んだ。2024年のユーロ圏成長率見通しは1.6%から1.3%へ下方修正した。
(4):英中銀、追加利上げへの支持を示唆
英中銀(BOE)のマン金融政策委員会(MPC)委員は「中立金利は以前よりも高くなった可能性」「引き締めの行き過ぎによる間違いの方がましだ」などと述べて追加利上げを支持する考えを示唆した。
11日(月)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:本邦5年債入札後の金利動向に注目
昨日のドル/円は一時145円台後半へと下落。週末9日に植田日銀総裁が「賃金上昇をともなう持続的な物価上昇に確信が持てる段階になれば、マイナス金利の解除も含めていろいろなオプションがある」との見解を示したことで円買いが強まった。前週終値から約1円安い146円台後半で取引が始まると、その後も断続的に下値を切り下げて今月1日以来の145.90円前後まで下落した。売り一巡後は146.90円台に戻す場面もあったが買い戻しは続かず146円台半ばで取引を終えた。20日移動平均線や日足一目均衡表の転換線が位置する146円台前半がひとまずサポートとなったが、引き続き下値警戒感がくすぶっている。
本日は本邦長期金利の動向にあらためて注目したい。植田日銀総裁の発言を受けて昨日の10年債利回りは9年ぶりに0.70%台まで上昇。金利先高観が強まる中で本日の5年債入札(12時35分)は需要が読みづらく、仮に不調に終わるようだと長期金利に一段の上昇圧力がかかると見られ、円買いを誘発しそうだ。
一方で、長期金利が急ピッチで上昇すれば日銀が「臨時オペ」を発動して上昇を抑えるとの見方もある。そうなれば一転して円売りに傾くことも考えられる。本日のドル/円は本邦債券市場の動向と日銀の対応を睨んで不安定な動きが続きそうだ。
注目の経済指標:ZEW景況感調査
注目のイベント:本邦5年債入札
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経済指標カレンダー
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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