8月に欧州最大のカフェチェーン「コスタコーヒー」の国内1号店となる「コスタコーヒー CIRCLES 渋谷店」(東京都渋谷区)がオープンした。9月1日には大手町店(同千代田区)、10月には銀座店(同中央区)を開店し、全国展開を目指す。この「コスタコーヒー」とは、どんな会社なのか?
コングロマリット・ディスカウント批判を受けてコカに売却
「コスタコーヒー」はイタリア出身のセルジオ・コスタ氏が1971年にロンドンで創業した。当初はコーヒー焙煎所で、地元のケータリング(飲食宅配)業者にコーヒー豆を供給していたという。カフェに参入したのは創業から10年目に当たる1981年のこと。ロンドン内環状道路沿いに初出店した。
45店舗まで拡大した1995年にコスタコーヒーは英国最大手のホテル・コーヒーショップ運営会社ウィットブレッド社に買収され、完全子会社化された。その後は店舗展開が加速し、2009年には1000店舗を突破している。同12月にコスタコーヒーはポーランドのカフェチェーン「コーヒーヘブン」を3600万ポンド(約52億7500万円)で買収し、東欧の79店舗を手に入れた。
2018年にウィットブレッド社は、大株主であるアクティビストグループのエリオット・アドバイザーズとヘッジファンドのサケム・ヘッドから、コングロマリット・ディスカウントを理由にコスタコーヒーの売却を迫られる。これを受けて同4月にウィットブレッド社は2年以内にコスタコーヒーを完全分割する方針を発表。2019年1月に米コカ・コーラ社へ49億ドル(約7180億円)で売却した。
現在、コスタコーヒーは45カ国に展開し、本拠地となる英・アイルランド両国で2800店舗以上、その他の国で1100店舗以上を出店中だ。日本の「コスタコーヒー」店舗は、双日<2768>とロイヤルホールディングス<8179>が設立した双日ロイヤルカフェ(東京都)が運営に当たる。
コングロマリット・ディスカウント=複数の事業を抱える複合企業(コングロマリット)の企業価値が、各事業ごとの企業価値の合計よりも小さい状態。その場合、分割して売却した方が企業価値の総額を押し上げることになる。
文:M&A Online