経産省、中小企業対策に1336億円
経済産業省は8月31日、2024年度予算の概算要求・税制改正要望を発表した。中小企業対策費には前年度当初予算に246億円を上乗せした1336億円を計上。うち、親族内承継やM&Aを含む第三者承継を契機とした変革の推進などを盛り込んだ地域の中堅、中小企業・小規模事業者の発展、投資環境の整備に1143億円を充てる。
経産省の概算要求総額は前年度当初予算比7719億円(45%)増の2兆4615億円。うち1兆985億円がGX推進対策費で、国庫債務負担行為なども活用して総額1兆8691億円の投資促進策を新規要求した。一般会計は同791億円(12%)増の4286億円。
事業承継総合支援事業は223億円
地域の中堅、中小企業・小規模事業者の発展、投資環境の整備では、イノベーション支援などによる成長志向の中小企業創出、経営者保証に依存しない融資慣行の推進などにも取り組む。中小企業活性化・事業承継総合支援事業(223億円)は前年度当初予算の157億円を66億円上回り、103億円を重要政策推進枠として要望した。
後継者支援ネットワーク事業(6億円)も重要政策推進枠とし、地域の社会課題解決企業支援のためのエコシステム構築実証事業(7億円)を新規で盛り込んだ。中小企業信用補完制度関連補助事業は前年度当初予算(35億円)から倍増の70億円とした。
スタートアップ育成・新陳代謝の促進に168億円
スタートアップ育成・新陳代謝の促進には前年度当初予算(141億円)より27億円多い168億円を配分。ディープテック・スタートアップの起業・経営人材確保等支援事業に31億円、ユニコーン創出支援事業にも12億円を投じる。
リスクマネー供給の強化をはじめとした資金供給、人材確保、出口戦略の強化に向けた環境整備を推進する。未踏事業の育成規模拡大やIT分野以外の横展開、革新的な医療・スタートアップの研究開発支援、海外ビジネス拠点の創設などを通じた国内外のスタートアップの協業なども推進する。
スタートアップをめぐっては内閣府も研究開発支援などを概算要求に盛り込んでおり、科学技術・イノベーション政策の推進に前年度当初予算の573億円から93億円を積み増しした666億円を計上している。
2024年予算の概算要求総額は一般会計で過去最大の114兆円規模となる見通しで、3年連続で110兆円を突破。防衛費や社会保障費、国債費の増加が反映されている。政府は物価高や少子化の対策費について金額を示さない事項要求を認めているため、年末にかけての予算編成はさらに金額が膨らむ可能性もある。
文:M&A Online