たびたび紹介している広告ヴィジュアル制作会社のアマナ(東証グロース上場)は9月20日に事業再生実務家協会(法務大臣から認証紛争解決事業者として認証を受け経済産業大臣からは特定認証紛争解決事業者として認定されている団体)に事業再生ADR手続きを申請し受理されたと発表。「同協会と連名で、全ての取引金融機関に対して、金融債務弁済の一時停止の通知書を送付。この事業再生ADR手続の申込は取引金融機関と協議のもとで行っている。9月29日開催予定の年1回債権者会議において事業再生計画案の概要を説明し、上記一時停止について賛否を諮る予定だ。その後、事業再生実業家協会から調査・指導・助言を受け、事業再生計画を策定する」とアマナ。なお事業再生ADRは金融機関を対象に進められ、一般の取引先に影響はないとアマナはしている。
同社は2021年12月期に債務超過を解消したかのような不適切な会計処理が露見するなど、内部管理体制の強化が必要として2023年7月4日付で特設注意市場銘柄に指定されている。また四半期ごとの決算発表の遅延で監理銘柄に指定されることもたびたびだが、今回の再生ADR申請受理は民事再生法申請のまさに一歩手前である。民事再生法は言い換えれば倒産してやり直すことである。上場会社なら上場廃止である。今回の再生ADRは上場をキープしながら業績を回復して、金融機関債務弁済一時停止を解除して返済を復活するということである。収益力を回復してそんなミラクルをこの会社が起こすことができるのか?
とりあえず9月29日の集まった金融機関の賛成を得るのが第一関門になる。
アマナの株価は下がり続けているが9月22日の終値は前日比2円高の286円。100円以下でもおかしくはないが意外に下がらない。もっとも上場した2004年には6760円(7月2日)の史上最高値があった株である。上場時には創業者進藤博信社長など創業者グループはいい思いをしたはずだが、今回の創業以来の危機を乗り越えられるか。