慶應義塾大学卒業、三井物産にて日本・欧州・中南米の再生可能エネルギーの新規事業投資・M&Aを担当。ブラジルの分散型電源企業に出向し、ブラジル分散型太陽光小売ベンチャー出資、メキシコ太陽光入札受注、日本太陽光ファンド組成などを経験。2019年にアスエネ株式会社を創業。2021年には、2021 Forbes Japan Rising Star Award受賞、2021 Forbes Japan 100に選出された。
起業から現在に至るまでの事業変遷について
―まずは、会社の設立から現在までの事業の変遷について教えていただけますか?
アスエネ株式会社・西和田 浩平氏(以下、社名・氏名略):アスエネは、2019年に設立しました。初期の段階から、インキュベイトファンドというベンチャーキャピタルから出資を受け、最初は再エネ電力小売サービスを始めました。その後、2021年にはCO2の見える化・削減クラウドサービス「アスエネ」を開始しました。これはB2Bのソフトウェアの事業で、現在の主力事業となっており、お客様も大幅に増えています。主に大手企業のお客様に利用していただいており、新たな追加機能やビジネスモデルの拡充も進めています。
そして、2022年には新しい事業として、ESG評価サービスの「アスエネESG」を展開し始めました。これは企業のサプライチェーン調達におけるESGの取り組みを可視化するサービスで、ESGデータの回収・評価を自動化して、改善提案を基にコンサルティングまで行うビジネスモデルです。
直近では、2023年6月にCarbon EX(カーボンイーエックス)という新会社をSBIホールディングス社と共に設立しました。Carbon EXは、CO2見える化の後の削減の取り組みのひとつになるサービスとして、カーボンクレジット・排出権取引所を開設し、新しい金融の経済圏を一緒に作っていきたいと考えています。さらに当社のクライメートテック領域のサービスを通じて、脱炭素・ESG経営をワンストップで推進できる事業を展開しています。
資金調達の状況については、私たちはこれまでにシード、シリーズA、シリーズBという3回のラウンドを行い、エクイティで約26億円、融資を含めると、合計で51億円の資金調達ができております。このCO2の見える化のビジネスモデルにおいては、日本、アジアで最も資金調達額が多い企業です。また、お客様の導入数も4000社を超えており、こちらもアジアでナンバーワンです。
自社事業の強み
―なるほど、ありがとうございます。それでは次に、アスエネの強みについて教えていただけますか?
アスエネの最大の強みは、脱炭素のワンストップソリューションを提供できることです。企業がCO2削減を実行する上で、最初に「アスエネ」を使って自社のCO2排出量を見える化します。その後、排出量の削減方法や、どのようにCDPやTCFDなどのイニシアチブへ報告するか、というサステナビリティコンサルティングを行います。コンサルティングでは、再生可能エネルギーの導入や省エネ施策といった具体的なCO2排出量の削減策を提案します。その上で、どうしても減らせない部分をカーボンクレジットの購入でオフセットできるのがCarbon EXのサービスです。さらに、昨今、注目度の高いESG経営を支援する「アスエネESG」により、環境問題への対策だけではなく、社会・ガバナンスなどESG全体の取り組みも可視化と改善ができます。
これら一連のサービスを提供することで、企業の脱炭素やESG経営を全面的にサポートできます。さらに、脱炭素だけではなく、ESGの規制にも全て対応可能ということがアスエネの強みです。
―唯一無二のサービスを提供しているんですね。海外での展開もしているのでしょうか?
はい、すでに海外でも展開しています。昨年、シンガポールにオフィスを設立し、APAC(アジア太平洋)の企業をターゲットにサービスを提供し、お客様からの受注も増加しています。また、2023年10月にアメリカのカリフォルニア州にも100%現地法人を立ち上げ、アメリカ顧客向けの営業・販売も開始しております。
―なるほど、グローバルで成果を出すことが重要ですね。
アジア・アメリカを中心に進めながら、グローバルに活動を広げていくことを考えています。今後はグローバル展開と人材育成の部分にも力を入れていきます。
また、我々のもう一つの強みとして、プロフェッショナルとして仕事を遂行する強いカルチャーを持っています。これは、私自身が前職の三井物産時代の経験や共同創業者の岩田がキーエンス時代に学んだことを基にカルチャーを創っています。この強いカルチャーを形成できていることが、我々が結果を出すことができている一つの理由だと思っています。
過去のブレイクスルー
―前職に基づいた経験が今に生きているのですね。その過去を振り返って、西和田代表が体験したブレイクスルーについて教えていただけますか?
私は、毎年ブレイクスルーを経験していると感じています。 ゼロイチでの会社立ち上げは初めての経験でしたし、未経験のエンジニアとのシステム開発など大変なこともありましたが、その結果、最初の製品をリリースできお客様に使っていただけるようになったのは一つのブレイクスルーでした。 また、素晴らしい人材を採用でき、チームとして結果を出せているため、事業が急速に拡大していることもブレイクスルーと言えます。
思い描く未来構想とビジョン
―周りの方々とともに常にブレイクスルーできているのですね。素晴らしいです。そのような成長をし続けている御社が思い描いている、未来の構想について教えていただけますか?
私たちはクライメートテックやESGテックといった分野で、日本を代表して世界で勝つ企業になることを目指しています。そのためには、一つのベンチマークとして、最低でも一兆円、十兆円以上の企業価値に到達することを本気で目指しています。
―なるほど、ベンチマークをおきつつ、日本の代表となるような会社を目指しているのですね。今回のインタビューを通じて、西和田代表自身の経験ややりたいことに基づいた唯一無二の事業を確立することによる、御社の強さを感じとることが出来ました。ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
プロフィール
- 氏名
- 西和田 浩平(にしわだ こうへい)
- アスエネ株式会社
- 企業名
- 役職
- Co-Founder&代表取締役CEO