主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年10月10日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼9日(月)の為替相場
(1):中東の情勢懸念で有事のドル買い、リスク回避の円買い交錯
(2):マイナスが続く独鉱工業生産
(3):ダラス連銀総裁 追加利上げに慎重な発言
(4):FRB副議長発言受けてドル売り
▼9日(月)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:原油価格動向に注目/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
9日(月)の為替相場
期間:9日(月)午前7時00分~10日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中東の情勢懸念で有事のドル買い、リスク回避の円買い交錯
7日、パレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに対して大規模な越境攻撃を実施。週明けの為替市場では有事のドル買いとリスク回避の円買いが交錯したためドル/円は小幅な下落で取引が始まった。一方、クロス円はストレートドルの下げにつれて下落スタートとなった。なお、NY原油(WTI)はその後、中東の供給不安から一時87ドル台へと上昇した。
(2):マイナスが続く独鉱工業生産
独8月鉱工業生産は前月比-0.2%と予想(-0.1%)を下回り、4カ月連続のマイナスを記録した。
(3):ダラス連銀総裁 追加利上げに慎重な発言
ダラス連銀のローガン総裁は「政策金利を設定する際、米連邦準備制度理事会(FRB)はここ数カ月で大幅に悪化した金融状況を考慮する必要がある」「長期金利の上昇が期間プレミアムの上昇によるものであれば、FRBが利上げする必要性は低くなる可能性がある」などと述べて追加利上げに慎重な考えを表明。これを受けてドルが下落した。
(4):FRB副議長発言受けてドル売り
ジェファーソンFRB副議長が「債券利回り上昇の引き締めへの影響に留意」「リスクバランスが改善する中、FRBは慎重に進むことが可能」との認識を示すと、一時値を戻していたドル/円は再び下落。一方、クロス円は、追加利上げ観測の後退で上昇に転じた米国株を眺めて強含んだ。
9日(月)の株・債券・商品市場
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:原油価格動向に注目
昨日のドル/円は148円台へと反落。中東情勢を巡る懸念の高まりで円が買われた一方、追加利上げ観測の後退でドルが弱含んだため終値ベースで約0.5%下落した。7日に起きたイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃を受けて、イスラエルはハマスが実効支配するパレスチナ・ガザ地区への軍事作戦開始を示唆。円は売り持ちに傾いたポジションの解消と見られる買い戻しが優勢となった。ドルはローガン米ダラス連銀総裁やジェファーソン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長が長期金利の上昇に懸念を示し追加利上げに慎重な考えを表明したことで軟化した。
それでも、ドル/円の下落が0.5%程度にとどまったのは、原油高の影響と見られる。NY原油(WTI)は中東情勢の悪化による供給不安から前日比4%超上昇。原油高は純輸入国である日本の貿易赤字拡大につながる点などから円安要因として認識されている。
本日も、パレスチナ情勢やそれを受けた原油価格の動向が注目される。他方、FRBの追加利上げを巡りウォラー理事やカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁らの発言にも関心が集まりそうだ。なお、連休明けで取引が再開される米債市場の動向にも注目したい。
注目の経済指標:特になし
特になし
注目のイベント:FRB高官発言
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経済指標カレンダー
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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