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(画像=AeroEdge株式会社)
森西 淳(もりにし じゅん)
AeroEdge株式会社代表取締役社長 兼 執行役員CEO
菊地歯車株式会社にて航空宇宙部門を立ち上げ、数々の航空機プログラムに参画し、当時日本の中小企業としては初の航空機エンジンメーカーとの直接量産取引締結を成し遂げる。2015年、AeroEdge(株)を創業。グローバル水準の品質要求を満たしながら、難削材であるチタンアルミ製低圧タービンブレードの量産体制を早期に確立。グローバル市場で通用する体制の構築と組織マネジメントを主導し、企業の成長をけん引する。
AeroEdge株式会社
栃木県足利市で創業80年を超える菊地歯車株式会社から、2015年9月にスピンアウトし設立。航空機エンジンメーカー大手、フランスのSafran Aircraft Engines社との間で、日本の中小企業としては初の直接取引契約を締結し、中小型機向け次世代航空機エンジン「LEAP」向けチタンアルミ製タービンブレードの量産供給を実現。 設立間もない新しい会社でありながらも、これをアドバンテージと捉え、『ゼロからイチを創る』という経営理念のもと、創造性を最大限に活かしてグローバルで意義のある仕事を展開し、日本の製造業のあり方に新風を吹き込む。

これまでの変遷について教えてください。

私は元々、歯車装置の製造設計会社である菊地歯車株式会社の製造部に勤めていました。工作機械が徐々に進化していく中で、最新の設備を設置したいと考えていましたが、その設備を駆使する仕事が会社にはありませんでした。そこで私は営業部に異動し、その設備を使う仕事を獲得することから始めました。結果的に、あるビジネスをきっかけに設備導入と投資を決めていただきました。さらに新しい設備を活用できるビジネスを開拓した結果、海外のLEAPという最新のジェットエンジンに搭載される、先端素材であるチタンアルミ製のタービンブレード(エンジンの中にある薄い羽)の仕事を獲得できました。この案件は航空宇宙分野でビジネスをしたいと思う人であれば必ず参画したいと思うような仕事であり、私個人的に今後も拡大していきたいという思いがあったものの、会社がなかなかこの案件の受注を許諾してくれませんでした。そこで新しい会社を作ろうと思い、AeroEdge株式会社を設立しました。

AeroEdge株式会社
(画像=AeroEdge株式会社)

この案件は2013年に契約をしたのですが、その当時は、ボーイングの787という新しい旅客機が発売されていました。日本の重工業を中心として、機体やエンジンにも参画して、航空宇宙という産業に、スポットライトが強まり始めた時期でした。なので、国としても この産業をさらに拡大していきたいという思いも強く、政策にもしっかりとコミットできる内容でした。 さらに、前職の菊地歯車社での信用力も相まって、経済産業省や金融機関、ステークホルダーの方々に理解をしていただくことができ、2015年に当社の設立に至りました。

その後はIPOを目指して日々拡大していき、今年の7月に東証グロース市場に上場することができました。支えてくれた仲間たちである社員や、新しい投資家などのステークホルダーの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

一番感銘を受けた書籍とその理由は?

私は雑誌や小説、漫画なども含めると年間で250〜300冊ほど読んでいて、月に20冊以上の本を読んでいます。さまざまな本から得られる知識や考え方は、その本ごとに新たな見方を提案してくれますが、その中でも特に私の生き方自体に影響を与えた本というのは、「チェ・ゲバラ 最後の真実」です。この本は、チェ・ゲバラという自由を獲得するためにキューバ革命を成功させた指導者の生涯を描いています。この本に出会ったのは10代の後半の時なのですが、自分自身の生活や安全さえも二の次にして、苦しんでいる仲間や家族のために、大義を持って革命を起こし続けた彼の姿勢に、私は深く感銘を受けました。自分の信念を追い求め、規範や周囲の意見に囚われずに自分の道を進む彼に、自分自身を見つめ直すきっかけを与えてくれました。

この本はどのように仕事に生かせたでしょうか。

この本の中の一説は私の人生だけでなく、会社の組織を運営していく中での指針になっています。チェ・ゲバラにとって最期となる革命に向かう際に、彼の上司にあたるカストロや家族、子供たちにあてた手紙が3通あったのですが、そのうちの子供たちへの手紙は、生きていく上で何が大事かということを愛情と厳しさも含めてメッセージを残しており、それがとても印象に残っています。

従業員と接する際、 根底に厳しさと愛情を持つというのは、会社を経営していく上で1番重要だと考えています。彼から学んだ生き方が従業員と関わる上での基盤になっています。

経営において重要としている考え方を教えてください。

経営を行う中で、会社として情熱と成長したいという意思を繋いでいくことを重要視しています。この会社を立ち上げたこと自体、私の中では革命だと考えており、チェ・ゲバラという人物の生き方や、考え方を参考にしています。 名と血を繋ぐような会社になるのではなく、製造業にかける未来への情熱や成長を共有して、存続し続ける、そのような意思を繋いでいく会社になりたいと思います。

AeroEdge株式会社
(画像=AeroEdge株式会社)

また、私たちは「ゼロからイチを創る」という経営理念を掲げています。創業当初は私たちの製品に成功例はありませんでした。誰も成功してないビジネスに踏み出すことは、非常に難しかったですし、勇気のいる決断でした。ただ、純粋に技術を探求して、課題を分析し、その解決に向かって最大限努力すれば実現可能だと考えています。今後も世の中に新しい価値を創出し、人々の幸せに寄与していきます。

最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。

未来を築くために積極的な挑戦を続ける会社でありたいと考えています。私は前職の時から誰も成功したことがないことに率先して取り組んできました。だからこそ従業員の皆さんには、挑戦することの重要さを日頃から伝えています。諦めずに何度でも挑戦して欲しいです。結果、成功しても失敗してもいいと考えています。 でも、挑戦だけは、やり続けてもらいたいです。生きている限り挑戦するべきだと考えているので、引き続き従業員の皆さんに伝えていきたいと思います。

氏名
森西 淳(もりにし じゅん)
会社名
AeroEdge株式会社
役職
代表取締役社長 兼 執行役員CEO