ニデック、次の標的はどこ?
工作機械業界ではDMG森精機のケースを別として、国内同業間の本格的なM&Aはわずかにとどまる。古くは2002年に当時の森精機(現DMG森精機)が経営破綻した日立精機から事業を承継した。2011年にはシチズンマシナリーとミヤノが合併(現シチズンマシナリー)したが、これを最後に途絶えていた。
こうした状況に風穴を開ける形になったのがニデックによる異業種からの参入だ。わずか2年余りで今回のTAKISAWAを含めて国内で3社、海外で1社の買収となれば、ニデック脅威論が台頭し、業界が身構えるのも無理はない。
ニデックは当初、主力のモーターや減速機、EV(電気自動車)用駆動装置などの製造に欠かせない工作機械をグループ内に取り込み、価格競争力の向上などにつなげることを主眼としていた。だが、今では工作機械事業そのものを新たなビジネスの柱として育成するスタンスに完全に軸足を移している。
実は、工作機械はそれほど大きな業界ではない。2023年の受注総額の予想は1兆6000億円(前年比9.1%減)で、大小合わせて100社以上の工作機械メーカーがひしめく。これに対し、ニデックの売上高は2兆2000億円を超え、資金力も強力だ。
ニデックは今後さらに工作機械メーカーの買収を進める構えで、株式市場では次の買収の標的がどこになるのかに早くも関心が移っている。ニデック旋風を契機に、業界内では合従連衡を模索する動きも広がりそうだ。
文:M&A Online