ステーキの需要が戻ってこない。ステーキ宮などを展開するアトム<7412>は2023年11月9日に、2024年3月期の業績予想を下方修正した。当初17億8100万円を見込んでいた営業利益が2億2500万円と8分の1ほどに縮小し、当期損益は黒字(3億8000万円)の見込みから赤字(-6億6200万円)に転落する。
売り上げが当初予想よりも6.0%下回ったほか、原材料やエネルギー価格の高騰などによって利益が圧迫されたのが要因だ。
「いきなり!ステーキ」などを展開するペッパーフードサービス<3053>も2023年8月に発表した2023年12月期第2四半期決算時に2023年12月期の業績を下方修正し、営業、経常、当期の全段階で赤字幅を広げた。
この予想には同第3四半期以降の業績も織り込んでいるが、2023年11月14日に発表した第3四半期決算では、当初予想よりも減収営業減益が進んでおり、さらに厳しい状況に陥る可能性もある。
両社ともにコロナ禍後の生活様式の変化や、物価高による消費意欲の低下などの影響を受け売り、上げの回復が遅れている。当面ステーキには、冷たい風が吹き続けそうだ。
減収分をカバーできず
アトムは2021年3月期に営業赤字に転落し、その後3期連続で営業赤字が続いていたが、2024年3月期にはコロナ禍前の2019年3月期の営業利益15億9900万円を上回る業績を予想していた。
それが一転、4期ぶりの黒字は何とか確保できるものの、大幅な営業減益が避けられない見込みとなった。売上高が396億8500万円から372億8700万円に23億9800万円減少するのが響いた。
親会社であるレストランや居酒屋などを展開するコロワイド<7616>グループとの共同仕入れなどでコスト削減に取り組んだが、原材料価格の高騰などもあり減収分をカバーすることができなかった。
4期連続の営業赤字に
ペッパーフードサービスもコロナ禍の中、2020年12月期に営業赤字に転落し、3期連続の営業赤字に陥っていた。2023年12月期は当初1億3000万円の営業黒字を見込んでいたが、4期連続となる4億900万円の赤字に修正した。
売上高は2020年7月に「ペッパーランチ」事業を売却したことから大きく減少し、その後も減少が続いていたが、2023年12月期は1.2%の小幅ながら4期ぶりの増加に転じる。
ただ、中期経営計画で見込んでいた150億円の売り上げには届かず、149億5600万円に留まる見込み。
第4四半期に、いきなり!ステーキの10周年創業祭を実施し、売上高の増加を計画しており、この結果がどうなるのかで、上振れ、下振れどちらにも動きそうだ。
文:M&A Online