この記事は2023年12月1日に「CAR and DRIVER」で公開された「【ボクらの時代録】2006年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。4代目レクサスLS460(USF40型)が目指したプレミアム世界」を一部編集し、転載したものです。
ドライバーズカーとしても進化した4代目
精緻さにさらに磨きがかかり、上質な塗装をまとったLS460は、レクサスのフラッグシップらしいクオリティと存在感、そして華やかさをまず印象づけてくれた。
エンジンは4.6リッターのV8。385ps/51.0kgmを発揮し、世界初の8速ATを組み合わせている。ショートストロークのV8は、軽快に回る。エンジンを含めたパワートレーン全体の滑らかさと洗練度は、超一級。静粛性も申し分ない。
動力性能は素晴らしい。0→100km/h加速を5.7秒で走り抜け、250km/h(で制御される)の最高速度をマークする。その走りは「豪快」とか「力づく」といった表現が馴染む印象ではない。あくまでも、静かに滑らかに、そしてジェントルに、一級の速さを発揮する。
LS460は、高度な電子制御システムを備えたエアサスペンションを組み込んでいる。18㌅タイヤを履くバージョンUの乗り味と走り味は、かなり高いレベルに仕上がっていた。まず乗り心地がいい。とくにNモードでは、ほとんど文句なし。不整な路面もしなやかにパスし、うねりなども巧みにいなす。強い段差などのタイヤショック感にしても、十分納得できるレベルに達している。
ギア比可変ステアリング(VGRS)のチューニングも進化していた。ステアリングの初期応答ゲインは抑えぎみだが、それはリラックスした運転につながりこそすれ、退屈な運転を招くものではない。街からハイウェイ、そしてワインディングロードまで、軽快に、ほぼイメージしたとおりの身のこなしで駆け抜けてくれた。
量産型LS460の完成度は非常に高い。アメリカはもちろん、世界の各マーケットで成功するだろう。
(岡崎宏司/2006年11月26日号)
4代目レクサスLS460・プロフィール
4代目のレクサスLSは2005年10月の東京モーターショーでプロトタイプ(LF-Sh)を公開、翌年4月に正式デビューした。日本でもレクサスの販売がスタートした関係から、このモデルから車名は「セルシオ」から「LS」にスイッチ。世界統一ネームで販売されることになった。開発コンセプトは「高級の本質を追求する、これからのプレミアム」。すでに世界的にポジショニングを確立したLSの本質をゼロから再構築し、地球の未来を見つめた最先端の技術と日本らしい繊細さを積極投入。時代をリードする高い性能を実現した。
プラットフォームやパワートレーンなどクルマを構成する要素はすべてが新設計。460は4.6リッター・V8ユニットを搭載し、ドライバーズカーとしても優れたパフォーマンスを発揮する。LSならではの特質である静粛性と乗り心地も一段とレベルアップしていた。2007年には、ハイブリッド仕様のLS600hと、ロングホイールベース版のLS600hロングを追加。先進プレミアムというキャラクターをいっそう鮮明にする。4代目のLSは、立派で作りがよく、圧倒的に快適。フラッグシップの定番がセダンだった時代のひとつの完成形といえた。
2006年の時代録/第1回WBCで日本が優勝
【出来事】改正道路交通法が施行され、駐車違反の取り締まりが民間委託に/ナンバープレートにご当地ナンバー登場/第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催され、日本が優勝/夏の甲子園で優勝した早稲田実業の斎藤佑樹投手がハンカチ王子として話題に/sトリノ五輪、女子フィギュアスケートで荒川静香が金メダル獲得。イナバウアーが流行語に【音楽】オリコンシングル年間1位KAT-TUN『Real Face』【映画】邦画配給収入1位『ゲド戦記』洋画興行成績1位『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
2006年レクサスLC460主要諸元
グレード=LS460バージョンU・Iパッケージ
新車時価格=8SAT 965万円
全長×全幅×全高=5030×1875×1465mm
車重=2060kg
エンジン=4608cc・V8DOHC32V(385ps/51.0kgm)
サスペンション=前後マルチリンク
(提供:CAR and DRIVER)