資産運用しないほうがいい理由とは?しないリスク・向いていない人を解説

「資産運用しないほうがいい」という意見がネット上で一部散見される。このネガティブな意見が気になり、資産運用をするべきか迷っている人もいるのではないだろうか。結論からいえば資産運用はすべての人がするべき類のものではない。なぜなら「資産運用をしないほうがいい理由」や「資産運用をしないリスク」を比べて最終的に自分で判断することが重要だからだ。

本コラムでは、その詳細と「資産運用したほうがよい」と考えた場合にどのような方法を選べばよいかの参考となる情報を紹介する。

資産運用しないほうがいい理由は?

老後資金や人生設計のために必要といわれる資産運用だが「しないほうがいい」という意見もある。なぜ資産運用をしないほうがいいと思うのか、「しないほうがいい」と思う人の主な理由を確認しよう。

<資産運用しないほうがいいと思う人の3つの理由>

・元本保証ではないため資金がなくなるリスクがある
・短期間でお金が増えるわけではない
・投資にネガティブなイメージを持っている

元本保証ではないため資金がなくなるリスクがある

「資産運用しないほうがいい」と思う人の理由として、元本保証がされないことが挙げられる。例えば、お金を現金や預金で所有している限り額面以下になることはない。しかし資産運用をすると利益を得られる可能性もあるが、逆にお金が減るリスクもある。また一時的に利益を得ても、それが持続する保証はどこにもない。

短期間でお金が増えるわけではない

資産運用は長期投資が前提になることから、資産運用で得られるリターンは、リスク(値上がりと値下がりの振れ幅)と相関関係にある。「短期間で多くのリターンを得たい」という人は、それだけ多くのリスクをとることになるため、手元資金を一瞬で失ってしまう可能性がある。

投資にネガティブなイメージを持っている

過去にバブル崩壊を経験した日本では、投資に対するネガティブなイメージが根強い。この影響によって「資産運用しないほうがいい」という考え方になっている人も少なくないだろう。しかし資産運用は、ギャンブルではない。次の項目で詳しく紹介するが、「資産運用をしないリスク」があることにも留意したい。

資産運用をしないリスク

ここまで「資産運用しないほうがいい理由」について整理してきたが、一方で資産運用をしないリスクもある。これらのリスクを踏まえた上で「資産運用すべきか否か」を判断しよう。

<資産運用をしないリスクとその対策>

リスクその対策
インフレで資産の目減りリスク物価上昇率に近い、あるいは物価上昇率を上回る利回りの資産運用に投資する
預金の利子だけでは増えづらい預金の利子に加えて資産運用を行い、物価上昇率を上回る
年金だけでは将来が不安将来に備えて、今からNISAやiDeCoで資産形成する

インフレで資産の目減りリスクがある

資産運用をしないと、インフレが進む状況下では実質的に資産が目減りしてしまう。これが1つ目の資産運用をしないリスクだ。例えばインフレが進むと、これまで1,000円で売っていたものが1,100円、1,200円……といった具合に値段が上がってしまう。これに対して、インフレ下で1,000円を現金で所有していても1,000円のままだ。

<対策>目減りを上回る利回りを確保する
インフレが進む状況下では、資産運用の重要性が高まる。なぜなら、物価上昇率に近い、あるいは物価上昇率を上回る利回りを確保できればインフレから資産を防衛できるからだ。

預金の利子だけでは増えづらい

インフレから資産を守る方法としては、金融機関に預金をすることも一定の効果がある。現金で持っていると額面はそのままだが、預金をすれば利子がつく。ただし、普通預金や利率がやや高い定期預金だけでは利子が増えづらく、預金の利子だけで物価上昇率をカバーできるかは不透明である

<対策>物価上昇を預金と資産運用でカバーする
資産防衛を意識するのであれば、預金だけではなく、それにプラスαの資産運用をするのが賢明といえるだろう。

年金の支給だけでは将来の不安を拭えない

日本の公的年金に対しては「実質的に大幅減額する」といったネガティブな意見が散見される。最終的に公的年金がどうなるかは将来にならないとわからないが、ネガティブな意見がある以上、これに備えておく必要があるだろう。

<対策>将来に向けてNISA・iDeCoを検討する
近年、国は少額投資非課税制度(愛称:NISA)や個人型確定拠出年金(同iDeCo)など国民が自身で老後資金を用意するための制度を拡充させている。これらの制度をしっかりと活用すれば、公的年金の不安を軽減することが期待できるだろう。

資産運用の成功のポイントは「リスク対策」

前項の内容で「資産運用の必要性」については、理解できたのではないだろうか。「資産運用しないほうがいい」と硬直的にばかり考えてしまうと後悔する恐れがある。とはいえ、やみくもに資産運用をすれば損失をこうむる可能性も否めない。そこでここでは、資産運用におけるリスク回避のポイントを確認しよう。

元本割れでも耐えられるよう余裕資金で投資をする

資産運用には、元本割れ、さらには元本を上回る損失リスクがある。このことを意識すると、資産運用に投じるお金は「余裕資金」が鉄則だ。余裕資金とは、当面使うことのないお金のことで具体的には「お財布資金」と「目的確定資金」を除いたお金が余裕資金である。

余裕資金の構成要素内容
お財布資金・日常生活における決済用のお金のこと
・毎月の出費を参考にすると、お財布資金を計算しやすい
目的確定資金・使う時期や目的が明確なお金のこと
・教育資金や旅行資金などがある
・お財布資金と別に生活費の6~12ヵ月分を用意するのが理想
出典:国民生活センター資料「お金と賢くつきあう」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

上記のお金を除いた余裕資金に限定して資産運用を行うことで、たとえ損失により資産が減ったとしても日常生活への影響はある程度抑えられる。

一喜一憂せずに長期間で取り組む

資産運用は、運用期間が長くなるほど有利になる傾向がある。そのため日々の短期的な値動きに一喜一憂せず、数年~数十年などの長期間で取り組むのが基本だ。長期間の運用を行うと有利になる理由は「複利」が得られるからである。一方、短期間の資産運用は「単利」しか得られない。「複利」と「単利」の違いを比較すると以下の通りだ。

計算方法特徴
複利・元本に利益を加えた金額をもとにリターンを計算する方法
・継続的に利益を得られるとお金が雪だるま式に増える
単利・運用期間中の元本のみに利息をつける方法
・複利よりも効率性で劣る
出典:一般社団法人全国銀行協会「金融商品を見るときに知っておきたい金利表示」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成

リスクを低減させる分散投資に取り組む

資産運用において、分散投資をすることも有効なリスク対策になる。主な分散投資は、以下の3つだ。

・資産銘柄の分散
・地域の分散
・時間(時期)の分散

これらを組み合わせることで、一時的に市場急落などのダメージを受けても回復力のあるポートフォリオになりやすい。

分散投資の方法内容
資産銘柄の分散・種類の異なる資産を組み合わせる方法
・資産の種類例としては投資信託・株式・債券などがある
・性格の違う資産を組み合わせたほうがリスク軽減になりやすい
地域の分散・複数の地域の資産を組み合わせる方法
・組み合わせ例としては、国内と海外、先進国と新興国などがある
・性格の違う地域を組み合わせたほうがリスク軽減になりやすい
時間(時期)の分散・資産を購入するタイミングを分ける方法
・代表的な手法に一定額の資産をコンスタントに買い続ける「ドル・コスト平均法」がある
・上記により購入価格が標準化され高値つかみを防ぎやすくなる

資産運用で失敗する人の特徴

資産運用をしても失敗する人が一定数いることだ。失敗の理由はさまざまだが、一般的に以下のような特徴の人は資産運用に失敗しやすいと考えられる。

日常生活を送ることにギリギリで余裕資金がない

余裕資金がない人が資産運用を行うと損失が発生した際、日常生活や教育資金などが足りなくなる恐れがある。また大きな損失が発生していない段階でも「生活費が足りなくなるのではないか」との不安から、購入した商品の価格が下がるたびに資産運用に回したお金を取り崩す行動をとりやすい。

こういった日々の値動きに神経をすり減らすような環境では、資産運用で成功するための行動(長期投資や分散投資など)は難しいだろう。

将来に必要な費用を具体的に考えたことがない

資産運用が成功したかどうかは一般的に「設定した期間で目標を達成できたか」が判断基準となる。そもそも「ただお金儲けがしたい」「目標設定を考えるのが面倒」といったタイプには資産運用に不向きだ。

なぜ資産運用において目標設定が重要なのだろうか。例えば20年間で3,000万円の資産をつくったとしよう。これは、資産運用の目標が2,000万円の人にとっては成功となるが、目標が5,000万円の人にとっては失敗になる。つまり目標がなければ投資成果の判断ができないということだ。

資産運用の適切な目標を設定するには、以下のような項目を決める必要がある(老後資金づくりを重視する場合)。

・将来、必要になる老後資金や毎月の収支(現状認識)
・老後資金のうち資産運用でまかなう金額(目標)
・目標達成のための投資期間
・目標達成のための平均利回り など

これらの内容を決める方法は、専門的な知識をつけるもしくは、ネット上で提供されているシミュレーターの利用やファイナンシャルプランナーのアドバイスを受けるなどがある。

ハイリスク・ハイリターンでお金を増やそうと考えている

短期間で一攫千金を狙う「投機」と長期間で目標の利回りを目指す「資産運用」は、根本の考え方や選択する商品が異なる。

自身がやりたいのは、ローリスク・ローリターン(またはミドルリスク・ミドルリターン)の資産運用なのか、それともハイリスク・ハイリターンの投機なのかを十分に整理した上で商品を選ぶことが大切だ。

投機資産運用
目的短期で一攫千金を狙う長期で目標の利回りを目指す
メリット・短期で大儲けできる可能性がある・元本割れリスクはあるものの投機と比較し限定的
デメリット・元本を失う、またはそれ以上のリスクがある・短期では運用成果を得にくい
相性のよい商品例・FX
・新興企業の株式
・新興国の通貨
・暗号資産 など
・投資信託(債権型、バランス型など)
・日本の個人国債
・定期預金
・不動産投資 など

自分で考えずに言われたことを鵜のみにしてしまう

資産運用で目標を達成するには、それぞれの商品のメリット・デメリットやポートフォリオの考え方など、投資の基本となる知識が必須だ。

これらの知識がなくても、業者やコンサルタントなど専門知識のある人に相談することができる。しかし、なかには悪徳業者も存在するため、彼らの話を鵜呑みにすると失敗してしまう。このような失敗経験をした人は資産運用に向いていないだろう。

資産運用のメリット

資産運用には、数多くのメリットもある。メリット・デメリットを理解した上で、「資産運用しないほうがいい」という意見に賛同すべきか否かを判断しよう。

・本業をしながら収入源として期待できる
・長期間での複利効果が期待できる
・経済やお金に対して興味がわいてくる

本業をしながら収入源として期待できる

本業をしながら資産運用をすることで「本業」+「副業」という2つの財布を持てる。これは、資産運用の大きなメリットだ。例えば2つの財布を持つことで本業の収入だけでは難しかった老後資金の準備ができる。ほかにも資産に余力ができた結果、子どもに教育資金を十分にかけられるようになる場合もあるだろう。

ただし本業をしながら資産運用する際の注意点がある。それは、運用に時間や手間をかけすぎて「本業をおろそかにしないこと」だ。こうなると本業の収入が減りトータルの収入が激減する恐れがある。資産運用では「手間や時間がかからない種類を選ぶ」という視点も大切だ。

長期間での複利効果が期待できる

前述のように長期間で資産運用をしていくことで複利効果が期待できる。複利とは、元本に利益を加えた金額をもとにリターンを計算する方法だ。これにより、運用収益の増加が期待できる。

複利の効果は、実際にシミュレーションしてみると実感しやすい。金融庁の「資産運用シミュレーション」を利用し、以下の条件でシミュレーションしてみよう。

投資資金:毎月3万円の積み立て
利回り:5%
期間:20年間

運用収益と積立総額(元本+運用収益)は以下のようになる。

経過年数2年目8年目14年目20年目
元金72万円288万円504万円720万円
運用収益約3万5,578円約65万2,215円約223万7,949円約513万1,010円
積立総額約75万5,578円約353万2,215円約727万7,949円約1,233万1,010円

上記の表の「運用収益」の部分に注目してみよう。8年目の段階で運用収益は、約65万2,215円(積立総額353万2,215円)だが、20年目には約513万1,010円(同約1,233万1,010円)まで増加した。

ただし、これは利回り5%が継続した場合の試算だ。相場は浮き沈みするのが当たり前だ。下落基調がメインとなる期間ではこうした結果にはならないだろう。もっともベストの状況が続けば……という点は理解しておきたい。

経済やお金に対して興味がわいてくる

資産運用を始めたときの間接的なメリットとして、「経済やお金に対して興味がわいてくる」ということも挙げられる。安定的な利益を目指す「長期・分散・積立投資」においては、必ずしも同じ商品を買い続ければよいわけではない。場合によっては。マーケットの状況に合わせて購入する商品や銘柄を変更したり保有する資産の割合を調整したりすることも必要だ。

こういった行動を適切に行うことを意識すると、経済やお金に関する情報への感度が高まりやすくなる。また「なかなか資産運用を始められない」という人は、まず少額の投資商品を買ってみることも一案だ。なぜなら実際に個人投資家になることで資産運用について学ぶ意欲が高まる可能性もあるからだ。

資産運用に向いている人

ここまで解説した内容をもとに資産運用に向いている人を整理してみよう。

・預金を定期的に積み立てている
・人生設計がイメージできている
・老後資金を早くから計画的に準備したい

預金を定期的に積み立てている人

資産運用で目標を達成するには「長期」「分散」「積立」の3要素が欠かせない。つまり堅実かつ地道に同じことを続けられる性格の人が資産運用に向いている。なかでも現時点で預金を定期的に積み立てている人は、スムーズに資産運用を始めやすいだろう。なぜなら預金で積み立てているお金を運用に回すだけで済むからだ。

人生設計がイメージできている人

結婚・子育て・マイホーム購入などライフプランがある程度イメージできている人も資産運用に向いている。このようなタイプの人は、「何歳ごろにいくら必要なのか」を見通しやすいため、資産運用の目標金額や期間を設定しやすい。

老後資金を早くから計画的に準備したい人

公的年金だけでは老後資金が足りない可能性が高い。この現実と向き合い「老後資金を早くから計画的に準備したい」と考えている人は、資産運用を有利に進めやすいだろう。同じ利回り・積立金額であれば期間が長いほどより多くの運用収益が得られる可能性がある。

資産運用に適した6つの方法

「資産運用しないほうがいい」という意見に流されず、「投資を始めてみたい」と考えた人におすすめの個人投資家に人気がある商品や制度を紹介する。

投資信託

投資信託(ファンド)とは、投資家から集めた資金をひとまとめにして運用の専門家(投資信託運用会社)が株式や債券などで運用する商品だ。投資対象の選定は、運用方針に基づき専門家が行う。

投資信託で得られる可能性のある利益は、「分配金」と「売却益」の2種類がある。売却益は、購入時よりも基準価額が上がっていれば得られるものだ。一方の分配金は、投資対象から得られた利益の一部を投資家に還元するものである(ただし分配金を還元せず再投資する銘柄もある)。このほか満期を迎えたときに投資家に戻す「償還益」を設定する銘柄もある。

債券

債券とは、国や企業などが投資家から資金を借り入れる目的で発行する有価証券のことだ。満期(償還日)を迎えるまでの間は決められた利子が払われ、満期が来れば額面金額が投資家に戻される。

資産運用の初心者が利用しやすい債券は「個人向け国債」だろう。なぜなら「1万円から購入可能」「中途換金も可能」「最低金利保証0.05%」といった特徴があり、銀行などの金融機関の窓口でも購入できるからだ。

希望する運用期間や利子によって次の3種類から選べる。

・固定金利型3年
・固定金利型5年
・変動金利型10年

株式

株式投資とは、証券取引所に上場している株式を購入する方法だ。株式を保有していることで、「売却益」「配当金」「株主優待」が期待できる。ただし新興株などの場合、配当金を設定していないケースもある。また配当金を予定していても業績悪化などで配当率が変わることなどもあるため、注意したい。

これから資産運用を始める人に適しているのは、長期間にわたって高配当を還元し続けている銘柄だ。将来も高配当が続くとは限らないが、直近の業績や事業計画などを精査して購入・保有すれば、比較的リターンを狙いやすい。

不動産投資

不動産投資とは、アパートやマンションなどの賃貸物件を購入し、入居者に物件を貸すことで家賃収入を得る方法だ。物件の条件やマーケット環境が良好であれば、物件を処分したときに売却益を得ることも可能だ。

<不動産投資で利益を得る仕組み>

資産運用しないほうがいい理由とは?しないリスク・向いていない人を解説

ただし不動産投資は、物件購入費の大半をローンでまかなうことが多い。借入前に融資審査があるため、誰にでもできる資産運用の方法ではない。融資審査では、「安定収入がある」「潤沢な資産がある」「勤続年数が長い」など属性が高い人が有利な傾向がある。

次に資産運用を始めたい人におすすめの制度を2つ紹介する。

NISA(少額投資非課税制度)

NISAとは、一般的な個人投資家の資産形成を目的として2014年から国内で始まった制度だ。金融機関で開設したNISA口座を通して購入した金融商品の売却益や分配金/配当金には、税金が課税されないという大きなメリットがある。

2023年までのNISAは「非課税枠が少ない」「運用期間が短い」などの声もあったが、2024年1月から始まる新NISAではこの点が大きく改善された。詳細について知りたい人は、以下の記事をチェックしてみよう。

【関連記事】新NISAは大幅制度拡充!何がスゴイ?整理して解説【税理士監修】

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoとは、自分で運用先と毎月の掛け金を選定し、積み立てしながら老後資金に備えられる私的年金制度だ。毎月の掛け金(5,000円以上)や運用商品(金融機関によって異なる)を本人が自由に設定できるのが特徴。以下の3つのタイミングで税制優遇を受けられることが最大の魅力だ。

  • 積立時
  • 運用時
  • 受取時

拠出できる掛け金の上限額は、職業や加入している年金によって変わってくる。iDeCoの利用を検討している人は、上限額や制度の詳細を以下で確認してみよう。

【関連記事】なぜ「iDeCoで節税できるは嘘」と言われるのか?【税理士監修】

資産運用しない場合と資産運用した場合のシミュレーション

資産運用をしないで「預金だけの場合」と「積立投資をした場合」で20年後にどれくらいの差がつくのかを比較してみよう。

【条件1:毎月3万円を20年間運用(低利回り)】
・毎月の積立金額:3万円
・想定する利子/利回り:預金0.4%、資産運用3%
・現在年齢:45歳
・リタイア予定年齢:65歳
※預金利息は税引き後で計算

以下は、金融庁の「積立合計額シミュレーション」「資産運用シミュレーション」による計算結果だ。

預金だけの人積立投資をした人
準備できた老後資金約744万円約985万円
資産運用しないほうがいい理由とは?しないリスク・向いていない人を解説

この条件で「預金だけの場合」と「積立投資をした場合」の20年後の老後資金を比較すると、約241万円の差になった。

[条件2:毎月5万円を20年間積立(高利回り)]
・毎月の積立金額:5万円
・想定する利子/利回り:預金0.4%、資産運用5%
・現在年齢:45歳
・リタイア予定年齢:65歳
※預金利息は税引き後で計算

預金だけの人積立投資をした人
準備できた老後資金約1,239万円約2,055万円
資産運用しないほうがいい理由とは?しないリスク・向いていない人を解説

この条件で「預金だけの場合」と「積立投資をした場合」の20年後の老後資金を比較すると、約816万円の差になった。前出の「条件1」の結果と比べると、積立金額と資産運用の利回りが高いほど、両者の差が大きくなることがわかる。

将来になって「資産運用するべきだった」と後悔しても、時間を戻すことはできない。老後になって後悔しないように「資産運用をするべきか否か」を最優先で考え、決定することが賢明だ。

最後に補足だが、資産運用は「継続すること」が重要である。その意味では、収入や支出に変動があっても「ムリなく積み立てられる金額」を設定することも大事だ。もちろん、その時々の収入・支出の変化に応じて積立金額を柔軟に設定し直すのもよいだろう。

資産運用に関するQ&A

Q.資産運用をやらない理由は何か?

金融庁が2021年に行った「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査」によると、資産運用をやらない理由トップ1は「余裕資金がないから」である。そのほかは以下の通りだ。

Q.資産運用をしないとどうなる?

資産運用しないリスクの代表的なものは、「インフレで資産の目減りする可能性がある」というものだ。インフレが進む状況下では、現金の額面はそのままでも実質的に価値が目減りしていく。また預金の利子だけに頼ると低金利のため、資産が増えづらい面もある。

Q.投資をやめた理由は何か?

2017年にQUICK資産運用研究所が個人投資家を対象に行った調査によると投資をやめた理由(リスク商品保有をやめた理由)のトップ5は、以下の通りだ。

【リスク商品をやめた理由】
1位:損をしたから(33.3%)
・2位:取引が面倒だった(16.5%)
・3位:他に資金が必要になった(14.5%)
・4位:商品内容がよくわからなかった(12.0%)
・5位:売買のタイミングがわからなかった(9.2%)
・5位:値動きを気にするのが嫌になった(9.2%)
※その他とあてはまらない・該当しないは除く

Q.投資に向いている人の特徴は?

致命的な失敗をしにくいという観点では「余裕資金で投資をする人」が向いている。余裕資金の範囲内であれば、元本割れをしても日常生活への影響は少ない。このほか確度の高い情報を得た人が投資で有利なことを考えると「好奇心が旺盛な人」「情報収集が得意な人」なども投資に向いているだろう。

Q.20代で投資をしている人はどれくらいの割合か?

金融庁が2021年に行った「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査」によると、20代で投資をしている人の割合は全体の半数以上(53.3%)だ。実数では、20代の回答者834人のうち投資経験者は445人である。

資産運用しないほうがいい理由とは?しないリスク・向いていない人を解説

なお20代で投資をしている人を男女比で見ると男性52.9%:女性47.1%となっている。男性のほうが5.8ポイント高いものの、女性の投資経験者も少なくない。

(提供:manabu不動産投資

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