M&A Onlineが大量保有データベースで2023年9月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、ニデックがTOB(株式公開買い付け)を実施中のTAKISAWA株について、野村証券が4度買い増し保有割合を12.61%に高めたほか、東海東京証券も5.84%を新規に保有したことが分かった。

野村証券などがTOB中のTAKISAWA株を取得

報告義務発生日はいずれもTOBが始まった9月14日以降。TAKISAWAの株価は9月14日に買い付け価格である1株2600円に近い2591円を付け、その後は2590円台前半で推移している。

ニデックが2023年7月13日にTAKISAWAの賛同が得られなくても2023年9月14日からTOBを開始する意向を示していたため、敵対的TOBに発展する可能性があったが、TAKISAWAは9月13日に買収の受け入れを表明した。

TAKISAWAは中堅の工作機械メーカーで、数値制御の旋盤を手がけている。ニデックはモーターメーカーで2021年8月に三菱重工工作機械(現ニデックマシンツール)を、2022年2月にOKK(現ニデックオーケーケー)を、2023年2月にイタリアのPAMAを傘下に収めており、TAKISAWAが加われば、工作機械4社体制となる。

南青山不動産が焼津水産化学工業株を取得

9月は広告配信サービスを手がけるフリークアウト・ホールディングスが、ユーチューバー事務所大手のUUUMをTOBで子会社化したのに伴い、UUUMの創業者で元会長の鎌田和樹氏が30.28%を、メディカルノートCEOの梅田裕真氏が9.01%を手放し、保有割合をゼロにした。

このほか、動画配信を中心に活動するクリエイターの支援を行っているSTPRも保有していた5.16%をすべて売却した。一方、フリークアウト・ホールディングスは52.08%を新規に保有した。

旧村上ファンド系の南青山不動産は、業務用天然調味料大手の焼津水産化学工業株を5.96%新規に保有したあと、3度買い増し保有割合を10.36%まで高めた。提出理由は「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。

旧村上ファンド系ではレノが、自動車部品メーカーのヨロズの株式を11.58%を保有していた2021年2月以降、2023年9月までの間に0.97%売却し、保有割合を10.61%に引き下げた。ヨロズについては南青山不動産も10.61%を保有している。

2023年9月の大量保有報告などの提出件数は1045件で、このうち保有割合を増やしたのは229件、新規保有が153件、保有割合を減らしたのが580件、契約の変更などが83件だった。

文:M&A Online