総括
FX「消費者物価(米墨豪東京スイス)と日本の貿易統計に注目。1月上旬のドル買いはデータ通り」
ドル円=142-147、ユーロ円=156-161、ユーロドル=1.07-1.12
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨最下位(11位)、株価7位(4位)、データ通りの展開続く。今週は東京消費者物価と貿易統計に注目」
1月第一週はデータ通りドル円は上昇している。11月中旬、12月初旬、下旬のドル円下落とは様変わりだ。実需の需給は季節的にはっきりと変わるので前週、前月を引きずってはいけない。実需のクセを見極めて取引したい。実需のクセを無視するとは、NYが休日で仲値のドル買いもないのに、朝からドルを買って失敗するようなものだ。
さて1月中旬、下旬はセンチメントがドル高になったところだが、偏ったクセはない。こういう時はより指標やチャートに従うべきだ。ただ3連休明けの1月9日とゴトビの10日の朝はドル買いが強いだろう。
材料は12月東京消費者物価、欧州の物価は12月は上昇、米国も予想は上昇だが、東京は小幅低下の予想。能登の地震での資金供給もあり、マイナス金利解除見通しはやや後退した。ただ財界は大手企業を中心に賃上げを続け日銀に金融正常化を求めているようだ。余剰資金に振りされることが狙いだろう。
また中長期的にドル円相場に影響する12月上中旬の貿易統計にも注目したい。2023年は2022年の貿易赤字から半減しそうだ。日銀支店長会議や日銀地域経済報告の発表もある。
(今週の仲値決定前のドル需要=1/8なし、1/9やや多い、1/10 多い 1/11 普通 1/12やや多い)
*米ドル「通貨2位(11位)、株価(NYダウ)10位(11位)、消費者物価はヘッドラインに加えてコアにも注目。米経済には大きな問題なし」
12月のドルは弱く、12通貨中9位であったが、1月は第一週は2位と強い。前回のFOMCでの利下げ示唆で弱含んだが、今週発表される、12月消費者物価予想は11月の3.1%から3.2-3.3%へ上昇する予想であり、巻き戻しも入ったのだろう。米12月雇用統計は改善したが、ISM非製造業PMIは悪化と指標はマチマチだ。
GDPナウは2.5%、CPIナウは3.32%、コアは3.93%、サプライチェーンインデックスは-0.15で米経済には問題はない。今週の消費者物価はヘッドラインCPIの上昇とコアの低下との争いとなる。一方、米国の敵対勢力は原油価格の引き上げや、サプライチェーンの破壊などで混乱させようとしているが、米国のニアショアリング政策も着実に進行しており、コロナ発症時やロシアのウクライナ侵攻時のショックほどのことは起きないだろう。
紆余曲折ありながら、物価は落ち着いていくと見ている。上昇の要因は新興国の成長でのゆるやかな価格上昇であり、突発的な事件ではない。
米経済には大きな問題はないが、あるとしたら、トランプ大統領を大統領選挙に出馬させるかどうかの司法判断となる。
*ユーロ「通貨6位(4位)、株価11位(6位)DAX)、テクニカル要因で物価上昇も景気は弱い」
1月は6位スタート、ドルが買い戻されて下落するも、12月のユーロ圏と独の消費者物価が上昇したことで買いも入りまずまずの動きとなった。インフレ上昇の要因は、域内の各国政府が高騰していたエネルギーコスト対策の支援を打ち切ったことが背景にある。独10年国債利回りは2%を割り込んでいたが、物価上昇で2.18%まで戻している。市場が織り込むECBが3月に利下げに着手する確率は約50%。物価指標発表前は約70%だった。
ただ経済指標は弱いことから金利が上昇し続けることはないだろう。独の11月の小売売上高指数は前月比2.5%減少した。今週発表されるユーロ圏11月の小売売上も前月比で0.3%減少の予想と期待できない。また12月のユーロ圏総合PMI改定値は47.6と、11月と同水準だった。 好不況の分かれ目となる50を7カ月連続で下回った。サービス業の低迷が続いており、ユーロ圏がリセッション入りしていることを示唆している。ただ主要な動きは米国12月消費者物価に左右されるだろう。
*ポンド「通貨3位(3位)、株価9位(17位)、今年も好スタートを切る」
昨年同様に今年も上位(3位)スタートと強い。物価指標やその他の経済指標が幾分、ユーロ圏より強いことも寄与している。12月消費者物価は1月17日に発表でヘッドラインは3.9%の予想、コアは前月はまだ5.1%と高い。前回、英中銀は政策金利を5.25%に据え置いたが、3人の委員(9人のうち)は0.25%の利上げを主張していた。会議では利下げが議論されることはなく、インフレが米国やユーロ圏よりも粘着性が高い可能性を引き続き懸念した。
経済指標では、11月の小売売上高は前月比1.3%増加し、予想を大きく上回った。12月の建設業PMIが前月から改善し、金利高騰による最悪の低迷期を脱した可能性を示唆した。住宅金融ハリファクスが発表した12月の住宅価格は前年同月比で8カ月ぶりに上昇し、不動産市場の安定化の兆しを示した。ただ3Q・GDP確報値は前期比0.1%減少で、横ばいから下方修正された。英経済が現在リセッションに陥っている可能性がある。
さて、スナク首相は1月4日、総選挙の実施時期について「私の想定では今年下期になる」と述べ、野党が求めていた総選挙早期実施の可能性を排除した。 スナク首相は減税など、選挙までに「取り組むべき多くのことがある」と語った。
*豪ドル「通貨10位(7位)、株価12位(13位)、インフレ高止まりと、マイナス成長予測もありRBAにも迷い」
2024年も昨年同様に円よりは強いが全体では12通貨中10位と低迷のスタートとなった。年初の指標では12月製造業PMI確定値が47.6、サービス業PMIが47.1、総合PMIが46.9といずれも50以下が長く続いている。
3Q・GDPは、前期比0.2%増と1年ぶりの低い伸びにとどまり、予想の0.4%増を下回った。4Qに実質GDPがマイナス成長に転じるリスクがあると指摘されている。
今週は11月消費者物価の発表。7月の4.9%から10月の5.6%まで上昇したことでRBAは11月に政策金利を4.1%から4.35%へ引き上げたが、10月は4.9%へ低下したことで12月は据え置いた。予想は4.4%で2か月連続の低下となるか。豪の12月商品価格は前年比で10.7%低下、11月も12.8%低下だった。10か月連続で低下し、これも豪ドルの頭を押さえている。前回のRBA議事要旨では、2会合連続の利上げを検討したが、インフレ動向に明るい兆しが見られることを踏まえ、今後のデータを見極めるために政策金利の据え置きを決定した。
メンバーはインフレ率が中銀目標の2-3%へ向かって低下している「心強い兆候」を確認しており、この状況が続く必要があると指摘した。海外でディスインフレが加速しており、豪国内でも同様の動きが見られるとした。
さて、アルバニージー首相は、5月の来年度予算策定に先立ち、新たな生活費軽減策を検討すると発表した。 首相は「インフレ圧力を高めることなく、家計に対する圧力を和らげる措置を検討するよう」財務省に指示したと述べた。
今週は他に11月小売売上、建設許可、貿易収支の発表がある。2024年の最初の政策金利決定は2月6日となる。
*NZドル「通貨9位(8位)、株価6位(18位)、明るい材料も出てきた」
豪ドル同様に円より強いが全体では低迷している。NZ株価指数も僅かながらもマイナスでスタート。11月から続いていた米金利低下でのNZドル高は年初は逆に米金利上昇となりNZドルも反落している。
経済状況はすっきりしない。NZ中銀オア総裁は、3Q・GDPが驚くほど弱かったことについて「複雑な状況」と述べた。ただ、次の政策判断までに発表されるデータが他にもあると指摘した。 2月の次回会合前には雇用データなど他の重要指標の発表が予定されており政策判断の材料になるとした。 総裁は、金利が引き続き支出を抑制しているが、中銀は依然としてインフレのサプライズを警戒していると表明。「特にコアインフレ率が依然として高すぎるため、まだ長い道のりがある」と述べた。
中銀は11月、政策金利を5.5%に据え置くことを決定した。ただ、インフレ率は依然高すぎるとし、物価上昇圧力が鈍化しなければ追加引き締めが必要になる可能性もあると警告した。 総裁は高水準の移民流入が続いていることに驚きを示し、この状況が需要とコアインフレに影響を与えていると指摘した。
明るい材料もある。12月企業信頼感は、2015年3月以来の高水準を記録した。大半の企業活動が上向いた。今後1年で景気が改善すると回答した割合は差し引き33.2%で、11月の30.8%から上昇した。
向う1年の自社の事業回復を予想した企業は差し引き29.3%で、先月の26.3%から上昇した。ANZはインフレ指標がまちまちであるにもかかわらず、過去や今後の活動の双方で回復を確認したと指摘。「活動や収益への期待、輸出や雇用への意欲、住宅建設への期待は全て上向いた」とし、住宅建設に関する期待は急上昇したと説明した。
テクニカル分析
*ドル円「データ通りドル円上昇。ボリバン下限から上限への旅を終える」
日足、12月28日のボリバン2σ下限からの上昇は1月5日の上限で一服。1月5日は上ヒゲが長い。1月上旬は例年通りドル高か。1月4日-5日の上昇ラインがサポート。12月7日-1月5日の下降ラインが上値抵抗。5日線。20日線上向き。
週足、12月18日週-25日週の下降ラインを上抜いて上昇。12月25日週-1月2日週の上昇ラインがサポート。11月27日週-1月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線下向き。
月足、実需の季節的ドル下げのデータ通り11月、12月は陰線。年初からはそのドル下げのデータはない。1月は陽線スタート。22年4月-12月の上昇ラインがサポート。22年10月-11月の下降ラインが上値抵抗。5か月線下向き、20か月線は上向き。
年足、2022年、2023年と長い上ヒゲの陽線となった。151円後半がダブルトップとなる。22年-23年の上昇ラインがサポート。1985年-2022年の下降ラインが上値抵抗。
*ユーロドル「週足、4週ぶり陰線。ボリバン2σ上限から中位へ下落」
日足、ボリバン2σ上限から中位へ下落、12月13日-1月5日の上昇ラインがサポート。12月28日-1月5日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き、20日線上向く。
週足、4週ぶり陰線。12月11日週-1月2日週の上昇ラインがサポート。12月25日週-1月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向き、20週線上向き。
月足、11月は9月-10月の下降ラインを上抜いてスタートで大陽線。11月、12月連続陽線も1月は陰転スタート。7月-12月の下降ラインが上値抵抗。11月-12月、10月-11月の上昇ラインがサポート。5か月線上向き、20か月線上向き。
年足、2023年は陽線。ドルより強かった。ボリバン2σ下限到達し長い下ヒゲでサポ―ト。22年-23年の上昇ラインがサポート。14年‐21年の下降ラインが上値抵抗。
*ユーロ円「ボリバン2σ上限まで上昇」
日足、2σ上限まで上昇。雲の下。1月3日-4日の上昇ラインがサポート。12月1日-1月5日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向く。
週足、ボリバン3σ上限から2σ下限へ下落。12月4日週-1月2日週の上昇ラインがサポート。11月27日週-1月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線上向き。
月足、年初来高値から反落。10月-11月の上昇ラインを下抜く。23年3月-23年12月の上昇ラインがサポート。11月-12月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線上向き。
年足、4年連続陽線。22年-23年の上昇ラインがサポート。08年-23年の下降ラインが上値抵抗。24年も陽線スタート。