主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年1月11日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼10日(水)の為替相場
(1):鈍い日本の賃金統計
(2):豪州のインフレは鈍化
(3):ECB副総裁「将来は依然として不確実」
(4):NY連銀総裁「景気抑制的なスタンスを維持する必要」
▼10日(水)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:大きめの変動が続く公算/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
10日(水)の為替相場
期間:10日(水)午前7時10分~11日(木)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):鈍い日本の賃金統計
日本11月毎月勤労統計で現金給与総額が前年比+0.2%と市場予想(+1.5%)を大きく下回った。これを受けて物価上昇を加味した実質賃金総額は前年比-3.0%と予想(-2.0%)以上に低下した。
(2):豪州のインフレは鈍化
豪11月消費者物価指数(CPI)は前年比+4.3%と市場予想(+4.4%)を下回り、前月(+4.9%)から伸びが鈍化。生鮮食品や自動車燃料などを除いたコアCPIも前年比+4.8%と前月(+5.1%)から鈍化した。
(3):ECB副総裁「将来は依然として不確実」
欧州中銀(ECB)のデギンドス副総裁は「2023年下期のテクニカルリセッション(景気後退)の可能性が確認された」として「入手したデータは、将来が依然として不確実であり、見通しが下方に傾いていることを示している」と述べた。一方で、その後シュナーベルECB専務理事は「インフレ率は2025年に目標の2%に達する」との見通しを示した上で「地政学的な緊張がインフレ上振れのリスクのひとつだ。したがって我々は引き続き警戒を怠ってはならない」と述べた。
(4):NY連銀総裁「景気抑制的なスタンスを維持する必要」
NY連銀のウィリアムズ総裁は「当局の目標を完全に達成するにはしばらくの間、景気抑制的な政策スタンスを維持する必要があるだろう」「インフレ率が持続的に2%に向かうと確信したときにのみ、抑制の程度を緩めることが適切となる」と発言。また、ウィリアムズ総裁はダラス連銀のローガン総裁が今月6日に量的引き締め(QT)の減速に言及したことについて「銀行の準備預金はQT開始前の水準とほとんど変わっていない」として異論を表明した。
10日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:大きめの変動が続く公算
昨日のドル/円は終値ベースで約0.9%上昇。日米の株高を背景に低金利の円を売る動きが強まった。11月の毎月勤労統計で日本の賃金の伸びが鈍かったことから日銀のマイナス金利解除がさらに後ずれするとの観測が出ている模様。
そうした中、本日は日銀支店長会議が予定されている。植田総裁は同会議を地方中小企業の生の声を吸い上げる重要な機会と位置付けており、昨年12月の金融政策決定会合後の会見でも注視する考えを示した。
また、本日のNY市場では米12月消費者物価指数(CPI)が発表される。市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始時期を巡りCPIに注目している。現在、米金利先物は次々回3月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始を有力視しているが、その織り込み度合いは65%前後でまだ確信には至っていない。12月CPIの結果次第で織り込みが大きく変化する可能性もあるため注目したい。なお、米12月CPIの市場予想は前月比+0.2%、前年比+3.2%で、食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+3.8%が見込まれている。本日のドル/円は、日米金融政策の次の一手に関する思惑で大きめの変動が続く公算が大きい。
注目の経済指標:米消費者物価指数
注目のイベント:日銀支店長会議
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経済指標・イベントの結果について
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経済指標カレンダー
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。
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