レクサス初のBEV専用モデルとして2023年3月にデビューしたのが「RZ450e」です。その実用性は、どのようなものなのでしょうか?ラゲッジやパッケージングなど、そのユーティリティの内容を解説します。文・鈴木ケンイチ/写真・PBKK

BEV専用プラットフォームならではの広い室内

レクサスRZ
(画像=「Car Me」より引用)

レクサス初のBEV専用モデルである「RZ450e」には、BEV専用のプラットフォーム「e-TNGA」が採用されています。これはバッテリーを床下に搭載することで重心を低くし、慣性モーメントを小さくなり、走行性能の向上に大きく貢献します。

前後の車軸には、モーターとインバーターなどを一体化したe-Axelを搭載。フロントのe-Axelは前後長を短く、リヤのe-Axelは高さを抑えることで、広い室内空間を生み出しています。

前後のe-Axelを小さくたことで、ホイールベースを長くしているのが「e-TNGA」の特徴。これにより、前席と後席の乗員の距離は1000mmに。また、前後にモーターを搭載することで、車両中央に前後に横たわるプロペラシャフトが不必要になりました。その結果、「RZ450e」はフラットな床を実現しています。

こうしたBEV専用プラットフォームを使うことで、「RZ450e」は、後席の乗員に、広々とした足元空間を提供します。

頭上を広くする調光機能付きの「パノラマルーフ」

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(画像=「Car Me」より引用)

床下にバッテリーを搭載する欠点のひとつが、乗員の座る位置が高くなること。そこで、「RZ450e」は、窮屈さを解消するために、頭上に「パノラマルーフ」を採用しています。また、頭上空間を広くするために、サンシェードを廃止しました。

ただし、サンシェードがなくとも、厳しい直射日光や紫外線から乗員を守るために「RZ450e」では遮断・断熱、99%の紫外線をカットする「Low-Eガラス」を採用。さらにレクサス初の調光機能も与えられています。スイッチを押すことで、パノラマルーフのガラスの色の濃さが瞬時に変化します。

522リッターのラゲッジスペース

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(画像=「Car Me」より引用)

「RZ450e」のラゲッジ容量は522リッターです。後席を倒すことなく、9.5インチのゴルフバッグであれば3個、スーツケースであれば110リッターと97リッターを1つずつ積み込むことが可能となります。

トノカバーは2つ折りの軽量タイプ。取り外して床下に収納することもできます。

限りある電力を有効活用するエアコン・システム

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(画像=「Car Me」より引用)

車内の空調を電力で賄うBEVにとって、エアコンの高効率化は重要な課題です。「RZ450e」には、高効率なヒートポンプシステムを採用。また、フィルム式の輻射熱ヒーターが、運転席のステアリングコラム下と助手席の足元に設置されています。輻射熱ヒーターは、最高約100度まで素早く温度を高めることが可能であり、空調システムよりも、素早く乗員を温めることができます。一方で、人体に接すると瞬時に温度を下げることで安全性も担保されています。

さらに輻射熱ヒーターにシートヒーター&ステアリングヒーター、エアコンを協調制御することで、温かさと消費電力削減を両立しています。

静粛性を高める工夫の数々

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(画像=「Car Me」より引用)

レクサスは高級車ブランド。しかも「RZ450e」は、エンジンのないBEVですから、優れた静粛性は重要なストロングポイントになります。

その実現のために「RZ450e」は数々の工夫が採用されています。床下に配置されたバッテリーは、そのものが遮音壁としての機能が持たされています。ボンネットフードは、全周にわたってシールを設定。走行中にボンネット内の空気が、フードの隙間から外に出ることを抑え、その結果、走行風の流れを乱すことがなくなりました。これによりノイズの発生を抑えています。また、前後席のドアの窓にアコースティックガラスを採用。高速走行時でも、車内の会話を邪魔しない、優れた静粛性を実現しています。

一方で、ドライバーと車が対話できるような走行音のチューニングも行われています。速度に合わせた周波数、加速度に応じた音量を、ドライバーにフィードバックすることで、ドライバーが走行状況を把握しやすくなっています。

スマートフォンの充電と外部給電機能

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(画像=「Car Me」より引用)

今やスマートフォンは、ひとりに1台という高い普及率を持つ、必須のデバイス。そのスマートフォン充電のための装備が、センターコンソールに2個、センターコンソール後部に2個用意されたUSBタイプC充電口です。通信用USBタイプCも1個センターコンソール前部に用意されています。

さらにオプションで、センターコンソール前部に「おくだけ充電」機能を設定することもできます。

また、AC100V/1500Wのアクセサリーコンセントが、センターコンソール後部とラゲッジルーム内に設置されています。アウトドアでの家電製品の使用や、万一の停電時の電力供給に利用することができます。

スマートフォンを車の鍵に

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(画像=「Car Me」より引用)

便利な機能がデジタルキーです。専用アプリをスマートフォンにインストールすれば、お持ちのスマートフォンを、車の鍵とするデジタルキーにすることができます。スマートフォンを携帯しているだけで、自動でのドア・ロックの開閉や、リモートでの車の駐車などを可能とします。さらにスマートフォンのデジタルキーの受け渡し機能まで用意されています。

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(画像=「Car Me」より引用)

レクサス初のBEV専用モデルとして、数多くの先進機能を持っているのが「RZ450e」です。そうした数々の先進機能が利便性にも大いに貢献しています。