特集「令和IPO企業トップに聞く 〜 経済激変時代における上場ストーリーと事業戦略」では、IPOで上場した各社のトップにインタビューを実施。コロナ禍を迎えた激動の時代に上場を果たした企業のこれまでの経緯と今後の戦略や課題について各社の取り組みを紹介する。

株式会社ライトワークス
(画像=株式会社ライトワークス)
江口 夏郎(えぐち なつお)――株式会社ライトワークス代表取締役社長
1965年生まれ、東京都出身。イェール大学経営大学院修了、東京大学卒。農林水産省、(株)グロービスを経て2001年ライトワークスを創業。ライトワークスでは『ミライの「はたらく」を、明るくする』というミッションを掲げて、企業と個人の両方の観点から、働くことがワクワクするような社会の実現に取組んでいます。
株式会社ライトワークス
株式会社ライトワークス(4267)は人材開発用プラットフォームCAREERSHIPを大手企業約300社に対してSaaSサービスとして提供しています。トヨタ自動車、三菱商事、ソフトバンク、セブン-イレブン・ジャパン、SMBC日興証券、JR東海などさまざまな業界で日本を代表する企業が導入しています。人的資本開示、リスキリングなど我が国にとって重要な施策を支えるプラットフォームとして481万人(2023年10月末現在)の企業内ユーザーが利用しています。

目次

  1. 創業から上場までの事業変遷(2001年に設立、2022年2月に上場)
  2. エクイティを活用しようと思った背景や思い(事業拡大や認知度向上)
  3. 今後の貴社における事業戦略や展望
  4. この金融/経済市場においての、貴社または代表ご自身のファイナンスにおける課題や重点テーマ

創業から上場までの事業変遷(2001年に設立、2022年2月に上場)

ーーこれまでの事業の変遷についてお聞かせいただけますか?

株式会社ライトワークス 代表取締役社長・江口 夏郎氏(以下、社名・氏名略):はい、設立当初はネット上で学べるコンテンツがあると面白いだろうと思い、ビジネスをスタートしました。しかし、2000年代の半ば頃から徐々にユーザーから学習用のシステム開発の注文や要望が増えてきたことで、現在はシステムをベースにした事業を展開しています。 2008年には現在のCAREERSHIP(キャリアシップ)という弊社の基幹システムの前身のバージョンがリリースされました。それ以降、システムの話が非常に多くなってきました。

ーーありがとうございます。御社が提供しているプロダクトの強みや優位性について教えていただけますか?

江口:お客様の様々な要望に合わせたシステムを提供できることが当社の強みです。 大手企業が人材開発や人材系のことをやる際に、世界的に展開されている企業も多く、深い階層を持った組織であるため、要求は様々です。

例えば、企業がERPのHRモジュールを切り替える際に、学習管理の使い勝手を改善したいなどが挙げられます。

株式会社ライトワークス
(画像=株式会社ライトワークス)

エクイティを活用しようと思った背景や思い(事業拡大や認知度向上)

ーー御社がIPOを行った際の思いや背景についてお聞かせいただけますか?

江口: IPOの一番の理由は採用です。 上場前は、会社の信頼や会社の情報が外部に出づらく、採用に苦労をしていました。さらに、採用候補者が、企業選びにおいて上場しているかどうかを重要視しているなど、上場をしていないと採用の土俵にも立てていない現状があり、IPOという手段を選択しました。 上場した効果もあり、直近の従業員数は、徐々に増えてきている状況です。

株式会社ライトワークス
(画像=株式会社ライトワークス)

今後の貴社における事業戦略や展望

ーー今後の展望や戦略についてお聞かせいただけますか?

江口:短期や中期の戦略は、システム提供だけでなく、一気通貫でのサポート体制を広げていこうと考えています。 人的資本開示などの外部環境もあいまって、弊社のシステム利用数は多くなっていますが、効率的に使えないことや、人事戦略から一緒に考えてほしいという声を多くいただいております。 したがって、戦略構築から始まり、システムを使って戦略的な人材開発や人事運用、BPOまで広げていく予定です。 上流から運用まで一気通貫で企業のサポートに力を入れていきたいと考えています。

ーー次に、ターゲットについてお聞かせください。現在はエンタープライズの企業が多いとのことですが、今後は中小企業も狙っていく戦略があるのでしょうか?

江口: 私たちのシステムの強みは、複雑なオペレーションをカバーできることです。そのため、中小企業にはあまりフィットしないと考えています。ターゲットは大企業や従業員数が1000人〜2000人規模で売上が数百億円程度の中堅企業が中心となります。今後もそのターゲットは変わらないと思いますが、システムに関連するコンサルティングやデジタルトランスフォーメーションなどのニーズは伸びていくと考えています。

この金融/経済市場においての、貴社または代表ご自身のファイナンスにおける課題や重点テーマ

ーー江口代表として日本の経済市場や業界の展望、課題、重点テーマについてどのようにお考えですか?

江口:私は日本の大企業に頑張って欲しいと思っています。大企業の人事や人材育成は、先進的な企業が出てきている一方、コンサバティブで新しい取組が進んでいない企業もあり、その差が大きくなっている印象です。 先進的な企業がさらに磨きをかけられるように、これから本格的に取組もうとしている企業の推進役になれるよう、私たちも一緒に頑張っていきたいと考えています。

ーー最後に、弊社のユーザーに一言お願いできますか?

江口:私たちは、GARP(成長性と割安性の両方を重視した投資手法)という投資スタイルの方々をターゲットに資本施策を作成しています。 この6月に、配当性向を30%から100%に上げる予定です。もちろん、利益が計画通りに上がるという前提ですが、現在の株価水準では3.3%程度の配当利回りが見込まれます。 また、私たちは長期的な期間での受注が多いため、既に次年度の売上の半分程度が確定しています。受注の動向を見る限り、売上はかなり安定していると言えます。 一方で、コスト面では、システムをメジャーバージョンアップしており、今年度末に終了する予定です。 それに伴い投資枠が減ることで、原価が下がります。本格的に利益を出すのは来年度、つまり2026年1月期からかなりまとまった利益が出てくるだろうと見ています。短期間の配当でお返しをする予定ですし、利益も上がってくるでしょう。その利益で株価も持ち上がると考えています。

投資家の皆様には、我々の戦略を理解していただき、関心を持っていただいて投資をしていただきたいと考えています。関心のある方には間違いなく満足していただけると思っておりますので、ぜひ私たちの会社に注目していただければと思います。

氏名
江口 夏郎(えぐち なつお)
社名
株式会社ライトワークス
役職
代表取締役社長