ちゃんぽん店「リンガーハット」を展開するリンガーハット<8200>が、2024年2月期に4期ぶりに営業黒字に転換する公算が高まった。
2023年3月から11月までの9カ月間(2024年2月期第3四半期)の営業損益が黒字となり、残り3カ月のスタート月となる12月も順調に推移しているためだ。
当期利益は、2期連続の赤字から脱した2022年2月期の翌年に再び赤字に転落していたが、こちらも2024年2月期は黒字化の見通しとなった。
役員報酬の減額や固定資産の売却、不採算店の閉店などに取り組み、コロナ禍に耐えてきた同社に、ようやく日常が戻ってきたようだ。
来店客数や各単価が改善
リンガーハットの2024年2月期第3四半期の売上高は前年同期比8.0%の増加となり、営業損益は4億円を超える黒字(前年度は6億円強の赤字)に、当期損益も2億円を超える黒字(同3億円強の赤字)となった。
同期間の既存店の来店客数は前年同期比105.8%、客単価は103.6%でいずれも堅調に推移しており、12月に入ってもこの傾向は変わらず、来店客数102.8%、客単価100.7%と、いずれも前年実績を上回った。
新型コロナウイルス感染症の分類が5類に引き下げられたことで個人消費が回復し、来店客数や各単価の改善につながったのだ。
上半期は予想に届かず
リンガーハットの2024年2月期上半期(2024年2月期第2四半期)の業績は、当初の予想を下回っており、売上高で4億6800万円、営業利益で2億2400万円、当期利益で1億600万円届かなかった。
物価上昇に伴う消費の減速傾向に加え、原材料費や光熱費、人件費などの高騰が要因だが、通期の見通しはそのまま据え置いた。
2024年2月期に営業損益や当期損益の黒字化は実現できそうだが、予想通りの数値(売上高410億円、営業利益11億円、当期利益4億円)で着地できるのかは不透明だ。
飲食店の倒産が多発
飲食業界は新型コロナの5類移行で人流が戻り、インバウンド(訪日観光客)が増加するなど回復傾向が鮮明になっているが、その一方で、物価高や人手不足による倒産も相次いでいる。
帝国データバンクによると、2023年の倒産件数(768件)は前年の1.7倍に膨らみ、この10年間ではコロナ禍倒産が多発した2020年(780件)に次ぐ高い水準となった。
同社では「物価高に加えて深刻な人手不足によって、今後も飲食店の倒産は高水準で推移することが想定される」としている。
コロナ禍を乗り越えて日常を取り戻しつつあるリンガーハットだが、今後は物価高や人手不足という新たな課題に挑むことなりそうだ。
文:M&A Online