人型ロボット「Pepper」や掃ロボット「Whiz」などを手がけるソフトバンクロボティクス(東京都港区)は2024年4月に、米国シリコンバレーのフードテックベンチャーであるYo-Kai Expressが展開していた日本国内での自動調理ロボットの販売事業を譲り受ける。
これまでソフトバンクロボティクスはYo-Kai Expressと共同で、オフィスや宿泊施設、商業施設、飲食店向けに、有名店監修のラーメンを提供する自動調理ロボット「CHEFFY」の国内販売を行ってきた。
またYo-Kai Expressは日本で駅や空港、高速道路を中心とした公共交通機関に自動調理ロボットを展開していた。これら事業を全て引き継ぐことで、同事業の活用シーンやサービス提供エリアを拡充する。
ソフトバンクロボティクスは、ソフトバンクグループのロボット事業を統括する持株会社であるソフトバンクロボティクスグループ(東京都港区)の子会社で、2023年3月期は30億円を超える最終赤字となった。赤字幅は減少しているものの、厳しい状況が続いている。
Yo-Kai Express事業の譲り受けによって、黒字化は近づくだろうか。
事業譲受後もパートナーとして活動
Yo-Kai Expressは独自の調理技術を用いて、温かい食事を24時間提供できる自販機型の自動調理ロボットを提供しており、米国ではオフィスや空港、ホテル、病院、大学、ショッピングモール、スキー場などを中心に展開しており、現在世界で100台以上が稼働している。
2023年9月から日本で販売を始めたCHEFFYは、「中華蕎麦とみ田」や「飯田商店」など有名ラーメン店11店が参画して開発したもので、熱々のラーメンを最速90秒で自動調理できる。
ソフトバンクロボティクスは、CHEFFYの事業を譲り受けたあともYo-Kai Expressの事業パートナーとして、「飲食業界に新たな価値を提供し続ける」としている。
2023年3月期は37億円の当期赤字に
ソフトバンクロボティクスは、2014年に「Pepper」を発表し、これまでに「Whiz」のほか配膳、運搬ロボット「Servi」や、床洗浄ロボット「Scrubber 50」、配膳ロボット「Keenbot」などの販売を手がけており、世界12カ所に拠点を構えている。
これに伴って売り上げは伸びているものの、当期損益は赤字の状況が続いている。帝国データバンクによると2023年3月期の売上高は110億円(前年度比2.57%増)で、当期損益は37億9600万円の赤字(前年度は124億2300万円の赤字)だった。
一方、親会社であるソフトバンクグループ<9984>は2020年に、米マサチューセッツ工科大学発のロボットベンチャーであるボストン・ダイナミクスを韓国の現代自動車に売却することを決めた。
ボストン・ダイナミクスは2013年に米グーグルが買収したあと2018年にソフトバンクグループが傘下に収めていた。
ソフトバンクグループのロボット事業はどこに向かうのだろうか。
文:M&A Online