ゴルフやパチンコなどの事業を手がける平和<6412>が、2024年3月期の業績予想を下方修正した。
パチンコ機の販売が低調だったのに加え、型式試験適合に手間取り、計画していた数機種の発売を来期に見送ったのが要因で、この修正によって、増収増益予想から一転、減収減益予想に陥った。
もう一つの柱であるゴルフ事業は好調に推移しており、来場者数、客単価ともに陰りは見られない。
若者の利用者が増えつつあるゴルフ事業は、市場が縮小傾向にあるパチンコ事業の落ち込みをどこまでカバーできるだろうか。
パチンコ機の販売台数、当初予想の3分の1に
平和は2024年2月9日に、2024年3月期の売上高を192億円少ない1354億円(前年度比4.8%減)に、営業利益を74億円少ない226億円(同16.0%減)に引き下げた。
2024年3月期のパチンコ機の販売台数見込みが、当初予想の7万9000台に対し、2万8000台と3分の1ほどに留まるのが足を引っ張った。
この結果、2024年3月期第3四半期のパチンコなどの遊技機事業の売上高は前年同期と比べ39.3%減少し(部門売上高263億2200万円)、これに伴って営業利益は82.7%の大幅な落ち込み(部門営業利益26億1700万円)となった。
平和は2021年3月期にコロナ禍の影響で2期連続の減収減益となったあと反転し、2024年3月期は3期連続の増収増益を予想していたが、パチンコの不振で再び減収減益に転じることなる。
計画を上回る客単価
一方、ゴルフ事業は来場者数が増加し、客単価も計画を上回って推移しているほか、エネルギー価格の上昇などの影響が想定を下回ったことから、売り上げ、利益ともに当初予想よりも上振れした。
来場者数は718万人(2024年4月-12月)で、前年同期よりも6万7000人増え、客単価は9677円(同)となり、こちらも前年同期より398円増えた。
この結果、2024年3月期第3四半期のゴルフ事業は5.0%の増収(部門売上高764億8100万円)、23.2%の営業増益(部門営業利益186億8500万円)となり、ゴルフ事業と遊技機事業の差は、売上高で3倍近くに、営業利益は7倍以上に開いた。
ゴルフの買収で収益を向上
ゴルフ事業では2022年に取得したPGM御殿場カントリークラブ(旧足柄森林カントリー倶楽部、静岡県小山町)が増収に貢献しており、さらに今後は2023年10月にグループ入りした武庫ノ台ゴルフコース(神戸市)の業績が加わってくる。
平和は保有するゴルフ場数を増やすことで、収益の向上を目指しており、コロナ禍の中(2020年以降)でも七つのゴルフ場を取得しており、今後の買収についても意欲を見せている。
振るわない遊技機事業をゴルフ事業がカバーする構図は、いつまで続くだろうか。
文:M&A Online