モーター大手ニデック<6594>の永守重信代表取締役会長(CEO)は、2024年1月24日に東京都千代田区の大手町サンケイプラザで開催した2024年3月期第3四半期決算説明会で、近く大型モーターメーカーを買収する考えを明らかにした。

同社がモーターの専業メーカーであるとの原点に立ち戻り、小型から大型まで品ぞろえするとし、自社で開発に取り組むと時間がかかるため、M&Aによって大型モーター事業に参入すると説明した。

永守会長は近く退任し、M&Aを主体に取り組むことを決めており、「大きなM&Aをやる」と意欲を示した。

30年かかる開発をM&Aで

説明会で永守会長は、事業の幅が広がっているが、主力の支柱はモーターであり、現在は車(トラクションモーター=電気自動車の駆動モーター)に傾注し過ぎているとの認識を示した。

モーターには「大きなマーケットがあり、この分野をより強くすることで、経営の安定や収益の増加につながる。シェアが高いことが、非常に高い収益を上げる基本。今後はモーターに経営資源を集中し、関連分野を広げていく」とした。さらに「異業種の全く違う分野に進出することはない」とも明言した。

大型モーターについては「元々我々は大型モーターの技術を持ってない」としたうえで、「大型モーターの開発を一からやると30年かかる」とし、大型モーターメーカーを買収することで、製造技術や制御技術を取り込む考えを示した。

5%の賃上げを計画

また賃上げについても言及。今春は初任給を15%引上げ、全体の賃上げ率は5%で準備をしていることを明らかにした。

永守会長は2020年に、2025年までに全社の賃金水準を30%上げると発言しており、今回の賃上げを実施することで目標が達成できるとの見通しも示した。

M&A Online
(画像=ニデックの決算説明会(中央が永守重信代表取締役会長)、「M&A Online」より引用)

利益を下方修正

ニデックは2024年3月期第3四半期決算時に、2024年3月期通期の業績予想を修正した。

売上高は1000億円多い2兆3000億円(前年度比2.5%増)に引き上げたものの、営業利益は400億円少ない1800億円(同80.1%増)に、税引き前利益は50億円少ない2050億円(同70.2%増)に、当期利益は300億円少ない1350億円(同3倍)にそれぞれ引き下げた。

中国でトラクションモーターの価格競争が激化しているため、不採算機種の受注を制限するなど、収益性を優先する戦略に転換したのに伴い、トラクションモーター事業の財務健全化と今後の収益性強化のための構造改革費用を計上するため、利益を下方修正した。

M&A Online
(画像=2024/3は予想、「M&A Online」より引用)

文:M&A Online