さまざまな企業の業務改善に関するキーワードに「QCD」というものがあります。とくに製造業では、生産する商品の品質に大きく関わり、安定して経営するための重要な要素でもあります。
本コラムでは、製造業におけるQCDについて解説します。優先順位や改善方法についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
QCDとは
QCDとは、Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)の単語の頭文字をとった用語です。
製造業では、生産する製品の品質により顧客の満足度が変わるため、一定の水準をクリアしたものを作り、提供しなければなりません。しかし、品質を求めるばかりでコストが大きくなれば利益が出ず、継続して生産できなくなるでしょう。また、クライアントが求める期日(納期)までに商品を生産し、納品する必要があります。
この3つは製造業にとって重要な要素であり、企業にとって利益を高める要因になるでしょう。それぞれを具体的に理解することが大切です。
品質(Quality)
QCDにおけるQualityとは、商品やサービス自体の品質を指しており、顧客にとって満足できるものかどうかが問われます。
品質が一定条件をクリアしており、その商品を通じて顧客の課題・悩みを解決できるものであれば、満足度は高くなるでしょう。顧客満足度が高い商品であれば、リピートにつながり、売り上げを増やしやすくなります。
これに対し、品質の悪い商品が顧客の手元に届いた場合、商品だけでなく企業としての評価や信頼も下がってしまうでしょう。重大な欠陥であり、顧客の安全を脅かすものであれば大きな問題にも発展しかねません。そのため、製造業のQCDではQualityを最優先にすることが多いです。
コスト(Cost)
Costは、商品を生産する過程で発生するさまざまな費用のことです。原材料の価格だけでなく、設備投資にかかる費用や人件費、工場を稼働させるために必要な光熱費なども含まれます。
高品質で高価な原材料を使い、最新の設備をそろえ、人材を増やすことで商品の品質は高まるでしょう。しかしコストを上げられるだけ上げていては、企業としての利益を確保できなくなります。そうなれば、企業は生産活動を続けられなくなるでしょう。
そのため、企業として売り上げだけでなく利益を最大化するためには、コスト削減に努める必要があります。
納期(Delivery)
Deliveryは、生産した商品を顧客の元に届けるまでの納期です。品質が良い商品を最小限のコストで生産しても、顧客が希望する納期に間に合わなければ信用を失ってしまうでしょう。QCDの納期には製品が完成するまでの期間だけでなく、出荷から手元に届くまでの期間も含まれています。
また、納期を過ぎることは明らかに問題ですが、前倒しで納品することも好まれない可能性があります。例えば、保管する倉庫に余裕がない状況で商品が届いても置く場所はないでしょう。そのため、リードタイムの短縮を考えるときは配送ルートの最適化なども考慮しなければなりません。
QCDの相関関係
QCDはそれぞれに密接な相関関係があります。ここでは、品質、コスト、納期のどれかを優先する場合、QCDがどのように影響しあっているのかを見ていきましょう。
まず、品質を優先する場合を考えてみます。一般的に品質を向上させるためには、設備投資や人材育成、品質管理の強化といった幅広い分野での取り組みが必要であり、当然これらにはコストがかかります。また、品質向上に向けた検査が必要になるなど、納期の観点でもマイナスの影響が出るでしょう。このように、品質向上を最優先とした場合には何らかの形でコストと納期に影響が発生します。
次に、コストを優先するケースを考えてみましょう。コスト削減のためには原材料を安価なものに変更する、検査工程を簡素化するといった施策が考えられます。これらの施策には、品質低下のリスクが伴うことに注意が必要です。一方で、納期については効率的な物流ルートの見直しや運送業者の再検討などにより、コスト削減と納期短縮が両立できるケースもあります。
最後に、納期を優先する場合を考えます。納期を短縮するためには、工程の見直しや品質検査の簡略化といった施策が考えられます。特に製造業の場合、出荷までにかかる時間を短縮するには検査工程の見直しは欠かせませんが、安易に簡素化することで品質の低下を招くリスクがあるでしょう。また、何らかの事故により出荷済みの製品を回収する必要に迫られた場合、多額のコストが発生することも考えられます。
QCDの優先順位
QCDのうちいずれを優先するかは企業の方針によって異なりますが、一般的には品質の重要性が最も高いでしょう。コスト削減や納期遵守も重要に違いありませんが、製品の品質が基準を下回っていれば、根本的な顧客のニーズは満たせないでしょう。
品質を最優先と考えたとき、次に重視されるのは納期です。製造業では、品質が良い商品を納期までに生産し納品することが求められます。コストは自社の利益に関係する要素で、コストが高くなれば利益率は低下しますが、それは顧客や取引先にとっては関連性が低いといえるでしょう。
もちろん、コストが大きくなることは商品の価格に影響するため無関係ではありませんが、QCDの中の優先順位においては低いのが一般的とされ、企業によってはその優先順位から「QDC」と表現することもあります。
QCDのバランス・優先順位を決めるコツ
QCDは各要素が密接に絡み合っていることから、優先順位の決め方に迷うことがあるでしょう。例えば品質とコストについては、トレードオフの関係にあることが一般的です。ここでは、QCDのバランスや優先順位を決めるコツについて解説します。
まずはQCDの中でも品質を最優先に据えましょう。いかに低価格で、かつ早期に納品されたとしても、顧客の求める品質を満たしていなければビジネスとして無意味であるためです。また、品質が低いことによって、顧客からの信用がなくなるとQCD以前にビジネスの土俵にも上がることができません。最低条件として、顧客が定める品質基準は満たせるような品質管理を心がけましょう。
次に、コストと納期について考えます。コストと納期は顧客の置かれた事情によって優先順位が変わるため、慎重に検討することが重要です。例えば、顧客が製品を必要とする時期が明確に決まっている、あるいは今すぐにでも必要といった場合には、多少コストがかかったとしても納期を優先する必要があります。一方で、顧客側の予算上限が決まっているケースなどではコストが最優先となります。コストと納期の優先順位を検討するにあたっては、顧客との丁寧なコミュニケーションを通して、顧客の潜在的なニーズを把握するようにしましょう。
最後に、顧客の要望や市場環境といった外的要因のみならず、自社の製造現場にも目を配ることが重要です。例えば、過剰なQCDの追求によって現場に負荷がかかっていないか、自社内での業務効率化によってQCDのバランスを改善できないかといった観点があります。業務プロセスや材料の調達方法、物流ルートの見直しといった内部での施策を通じて、QCDの全面的な向上につながるケースもあるでしょう。
QCDを改善する重要性
製造業においては、品質・コスト・納期のいずれの要素も重要であり、各要素をバランス良く管理することでさまざまなメリットを得られます。ここでは、QCDを改善する重要性を解説します。
商品の品質改善・利益率の向上
製造業は作り出した商品が売れることで利益が生まれるため、品質が悪ければ顧客のニーズを満たすことはできず、売り上げにつながりません。そのため、QCDの改善はいずれの製造業が抱える課題です。
商品の品質の水準が向上すれば売り上げアップを図ることができ、コストを削減できれば支出を抑えられて利益率も改善するでしょう。QCDはそれぞれの要素がお互いに影響を及ぼし合っているため、バランス良く改善する必要があります。このように、QCDを改善することにより商品の品質や利益率の向上が見込めます。
生産プロセスの最適化
QCDを改善するためには、生産プロセスの無駄を削減するなど全体の見直しが必要です。例えば、原材料の見直しや生産効率が高まる機械・システムの導入、作業員のスキルアップなども生産プロセスの効率化をもたらします。
そのためには、まず現状の生産プロセスの状況を把握する必要があります。生産工程を可視化するシステムを導入すると、各工程の不良品率や時間当たりの生産数などの数値を得られるでしょう。もし目標に達していない数値があれば、改善することにより生産プロセスを最適化できます。
顧客・取引先との良好な関係の構築
QCDの品質と納期は、自社だけでなく顧客や取引先も関係します。品質を改善することで、商品を使用するユーザーの満足度は高まるでしょう。ミスがなく安定して高品質な商品を納品していれば、顧客からの信頼を得られます。
同様に納期を守ることは、商品が完成した後に出荷を担当する配送業者とも良好な関係を築けるでしょう。また、原材料を調達する際も自社の倉庫に余裕がなければ納品できません。生産プロセスを見直し、計画通りに生産・出荷できるようになれば、原材料も遅延することなく納品できるようになるでしょう。
そのため、QCDの向上を目標に生産プロセスを改善することは、既存の取引先からの信用を得やすくなり、今後のビジネスの長期的な発展が見込めます。
QCDの管理方法
QCDを適切な水準に保つことは、企業の利益確保を容易にします。そのため、品質・コスト・納期の各要素の管理を徹底することが必要です。ここでは、QCDの管理方法について要素ごとに紹介します。
品質の管理
品質管理の主な方法は一定の基準を設け、その基準を満たしているか生産プロセスの各ポイントでチェックします。製造業で製品を生産する際には、いくつかの工程が存在します。細かくチェックすることにより品質を保ちやすくなるでしょう。また、製品の品質だけでなく生産設備の確認も重要です。
現在では、多くの製造工程が機械化・自動化されているため、その設備に問題が発生すると商品の品質にも影響します。他にも、エラーが多く発生している工程を優先的に見直すことにより、効率良く生産プロセスを改善できるでしょう。
ただし、チェック体制を厳格化しすぎると、コストと納期を圧迫する可能性があるため注意が必要です。
コストの管理
コストの管理では、まず現在の生産プロセスで発生している費用を洗い出します。原材料の費用だけでなく、人件費や生産設備に対して発生している費用を可視化・明確化しましょう。また生産プロセスに無駄が生じていると、コストの増大を招きます。生産プロセスの見直しや改善もコスト削減をもたらします。
ただし、必要以上にコストを削減し、原材料や生産設備、作業員の人数が必要数を下回ると品質や納期に影響が出る可能性があるため、注意しなければなりません。そのため、コストを管理する際は、品質と納期のバランスも考える必要があります。
納期の管理
納期を管理するためには生産スケジュール全体を把握する必要があります。そのためには、原材料の調達から生産工程、配送スケジュールなどサプライチェーン全体の動きを押さえることが重要です。
また、実際の生産スケジュールを考える際は、各工程で遅延するリスクを考えて設定すると良いでしょう。生産工程では、各プロセスでスケジュール通りに作業が進んでいるかを確認します。他にも、生産プロセスに無駄があるとリードタイムが伸びることになるため、不要な工程を削減し改善することも必要です。
QCDと5S
QCDを適切に管理するための基本的な考え方に「5S」があります。これは整理・整頓・清掃・清潔・しつけの単語の頭文字をとった言葉であり、とくに整理・整頓の2Sが重要とされています。
例えば、工場内に不要な道具・備品・原材料などがあると、5Sの清掃・清潔の効率が悪くなるでしょう。整理・整頓を徹底することによって必要なものだけに絞ることで、5Sを実現しやすくなります。
5Sが実施できていない生産環境の場合、事故が生じやすく不良品率も高くなりやすい傾向です。例えば、清掃できておらず清潔でない現場であれば、製品にホコリやごみが付着する可能性が高くなり、品質に影響を及ぼします。
不要なものが多く生産プロセスが非効率になれば、コストは大きくなりやすいです。必要な道具を探すのに時間がかかるなど、小さなことでも時間が発生することによってリードタイムが膨張し、納期に影響が出ることもあります。
QCDを改善するためには、システムの導入など大きな変革を実施するよりも先に、5Sを徹底するようにしましょう。
QCDを改善する手順
QCDを改善するためには、いくつかの手順に沿って実施する必要があります。適切な方法で課題を解決することによってQCDは向上するでしょう。ここでは、QCDを改善する手順の一例を紹介します。
1.現状を把握し課題を発見する
QCDを改善するためには、まず現状の生産工程を把握し課題点を発見します。重要なことは、自社にとって最適なQCDの優先順位を決定し、そのバランスを考えることです。そのためには、品質・コスト・納期のそれぞれの状況を把握します。
例えば、商品ユーザーへのヒアリングや、生産プロセスによる不良品率の算出によって品質をチェックできます。その結果が目標値を下回っていれば、問題提起し課題を明確にすることが必要です。
2.改善策を作成する
現状に問題提起し課題が明確になった後は改善策を考えます。改善策を考える際は、計測可能な目標や基準を設定することが重要です。品質であれば顧客満足度や不良品率であれば計測可能です。
それを踏まえた上で、現状の数値を明確化して改善するためのアイデアを出し、それを実現するための具体的な行動を改善策として立案します。また、コストであれば金額、納期であれば日数など具体的な数値を設定しやすいでしょう。
3.改善策の実施し検証する
改善策を立案した後はQCDを改善できるように実施します。このとき重要なことは、実際に数値が改善しているのかを検証することです。しかし、改善策を実施してもうまく行かないこともあります。そのため定期的に結果を検証し、改善策を修正するなどPDCAサイクルを回す必要があります。このようなプロセスを繰り返すことでQCDを改善できるでしょう。
QCDの改善に役立つ生産管理システム
製造業におけるQCDを改善するためには、現状の生産プロセスを適切に管理する必要があります。そのときに役立つものが生産管理システムです。ここでは、QCDの改善に役立つ生産管理システムについて紹介します。
生産におけるさまざまな情報を管理する
生産管理システムは製造現場の在庫の数量や生産スケジュール、コストなどを一元管理する仕組みです。現状の生産体制をExcelなどで管理する場合、同時に編集できないことからリアルタイムに更新できず、全社的に共有することが難しくなるでしょう。そこで、1つのシステムを使い効率良く状況を共有し管理できれば、効率化を図りやすくなります。
主な機能には、生産計画や生産数などの数値を把握する生産管理機能や、受注状況や出荷、請求、売り上げなどを管理する販売管理機能、各プロセスの稼働状況や生産プロセスを管理する工数管理機能などがあります。
余剰在庫やコストの削減につながる
生産管理システムを活用することにより、生産・在庫・販売の状況が明確になります。必要な量の原材料を調達し倉庫の保管状況も把握できるため、無駄を省き余剰在庫が発生しにくくなります。また、工数を把握することにより、過不足を管理しやすくなるでしょう。
必要最低限の人員に抑えることで人件費の削減につながります。他にも、生産プロセスにおける無駄を削減することは、リードタイムの短縮も実現しやすくなりやすいでしょう。生産施設の規模が大きい場合でも、管理しているさまざまな情報を一元管理できる点も大きなメリットです。
ITシステム導入の必要性
経済産業省・厚生労働省・文部科学省の3省で共同作成している「2022年版 ものづくり白書」によると、デジタル技術を活用している企業が67.2%にもなり、5割を超える企業が生産性の向上の効果が出ていると実感しています。また、製造のリードタイムの削減や作業効率の改善、在庫管理の効率化などの効果が出ていると回答しています。
▽ものづくりの工程・活動におけるデジタル技術の活用状況
既に生産システムを利用している場合でも、生産プロセスを一元管理できるものに見直したり、より自社に適したものを導入したりすることで、よりQCDの改善に役立つでしょう。
近年では、AIやIoT技術を活用することによって、不良品などのエラーを防止したり、工程を自動化したりすることにもつながります。結果として品質の向上や人件費(コスト)の削減につながるため、QCDも改善するでしょう。
QCDの派生語
QCDから派生した言葉は多くあり、それぞれの企業が意識しているものによって該当するものが変わります。よく使われるものに「QCDS」があります。これはQCDにSafety(安全性)を加えたもので、生産プロセスの安全性を保つものです。
製造業の生産プロセスでは小さなミスでも大きな事故につながりかねません。そのため、QCDSを意識することにより、従業員が安全に働ける環境を提供でき、企業としての評価も高まるでしょう。
また、QCDSにはSafetyではなく「Service(顧客対応)」が該当するケースもあります。他にもQCDにはさまざまな派生語の種類があります。
QCDE | QCD+E:Environment(環境) |
QCDF | QCD+F:Flexibility(柔軟性) |
QCDR | QCD+R:Risk(リスク) |
QCDD | QCD+D:Development(開発・発展) |
QCDSE | QCD+S:Safety(安全性) E:Environment(環境) |
QCDSM | QCD+S:Safety(安全性) M:Morale(やる気) |
QCDRS | QCD+R:Risk(リスク) S:Sales(セールス) |
QCDDM | QCD+D:Delivery(納期) D:Development(開発) M:Management(管理) |
PQCDS | QCD+P:Products(品種/生産性) S:Safety(安全性) |
PQCDSME | QCD+P:Productivity(品種/生産性) S:Safety(安全性) M:Morale(やる気) E:Environment(環境) |
QCDSE
QCDSEは、従来のQCDの概念に「S:Safety(安全性)」と「E:Environment(環境)」を追加した用語です。QCDSEにおいては、労災防止の対策を通じた職場の安全確保、周辺環境や近隣住民への配慮などが求められます。特に、現場で事故が起こるリスクがあり、騒音や振動などによって周辺環境に悪影響を与える可能性がある建設業で重視される考え方です。
QCDSM
QCDSMは、従来のQCDの概念に「S:Safety(安全性)」と「M:Morale(やる気)」を追加した用語です。QCDSMにおいては、従業員のモチベーション向上を促すことでQCDにもプラスの影響を与えることを目的としています。やる気は従業員個々の感じ方に依存する部分があるため、的を絞った対策は難しい部分ですが、職場の生産性や離職率にも影響する重要な要素といえるでしょう。
QCDRS
QCDRSは、従来のQCDの概念に「R:Risk(リスク)」と「S:Sales(セールス)」を追加した用語です。QCDRSは、従業員の成果評価、プロジェクト管理において重要視される5つの要素を含んでいます。QCDRSの中でも特に「R:Risk(リスク)」については、ビジネスのあらゆる現場で発生することから新人教育の中でQCDRSの考え方を取り上げる企業もあります。
QCDDM
QCDDMは、従来のQCDの概念に「D:Development(開発)」と「M:Management(管理)」を追加した用語です。QCDDMは、調達を行う際のサプライヤー評価の基準として用いられています。「D:Development(開発)」はサプライヤーが持つ技術力や先進性、「M:Management(管理)」はサプライヤーの財務的な安定性、リスク管理体制などから判断することが一般的です。
PQCDS
PQCDSは、従来のQCDの概念に「P:Products(品種)」と「S:Safet(安全性)」を追加した用語です。PQCDSは、過去の大量生産と大量消費を前提とした価値観を改め、市場に必要とされるものに絞って生産するマーケットインの考え方へ意識改革を図る際に提唱される考え方でもあります。
「P:Products(品種)」が最前に置かれているのは、顧客が必要とする品種を生産することがQCDよりの前提条件であることを意味します、また、Pは「Productivity(生産性)」と解釈されることもあるでしょう。
PQCDSME
PQCDSMEは、先述のPQCDSの概念に「M:Morale(やる気)」と「E:Environment(環境)」を追加した用語です。PQCDSMEにおいては、従来のPQCDSに加えて、働きやすい職場や従業員がやる気を持てる環境を実現する必要があります。PQCDSMEは求められる要素が多岐に渡ることから、実現に向けた客観的な評価指標を準備し、定期的に施策の効果測定を行うことが重要です。
自社に適した方法でのQCD改善を
QCDは多くの製造業にとっても重要な要素であり、QCDの水準を高めることにより企業としての利益が増えるなどのメリットが多くあります。一般的には、生産する商品の品質が最優先であり、次に納期が優先されるケースが多いです。
また、企業によってはQCDSなどさまざまな要素を加えることもあります。QCDを改善するためには、まず現状を把握して課題を見つける必要があります。改善策を考えて実行し、また改善するというサイクルを繰り返しましょう。一方で5Sを徹底することにより、生産現場の環境を改善できます。
さらに、ITシステムを有効活用することにより、生産プロセスを可視化でき改善しやすくなるでしょう。自社に適した方法でQCDを改善してみてください。
(提供:Koto Online)