学研ホールディングス<9470>は、傘下の学研エデュケーショナル(東京都品川区)を介して、講談社(東京都文京区)傘下の講談社パル(同)が運営する「講談社こども教室」事業を譲り受ける。

同事業に関わる社員やスタッフは継続して教室を運営し、会員サービスもこれまで通り行うという。

学研は2025年9月期を最終年とする2カ年の中期経営計画で、期間中の2年間にM&Aなどを含む成長投資に150億円を投じる方針を明らかにしており、今回のM&Aはこの方針に沿った第一弾となる。

こうした取り組みで、2025年9月期には売上高2000億円(2023年9月期比21.8%増)、営業利益70億円(同13.4%増)を目指す計画だ。

今回のM&Aに関して、学研と講談社はともに「学習教室市場の活性化に大いに寄与する」としている。

【学研ホールディングスの業績推移】2024年9月期は予想、2025年9月期は計画

決算期売上高(億円)営業利益(億円)
2020年9月期 1435.64 50.75
2021年9月期 1502.88 62.39
2022年9月期 1560.32 64.27
2023年9月期 1641.16 61.70
2024年9月期 1850.00 64.00
2025年9月期 2000.00 70.00

こども教室を18都府県、120カ所で運営

「講談社こども教室」は0歳からの幼児知育、英語教育、小学生の国語、算数などを指導しており、教室数はショッピングセンターなどの商業施設を中心に18都府県、120カ所にある。

同教室を運営している講談社パルは2024年5月末時点で266人の社員、講師、アシスタントが在籍しており、帝国データバンクによると2023年5月期の売上高は7億7000万円だった。

学研教室の会員数は36万人強

一方、学研エデュケーショナルは、国内外で幼児から高校生までを対象とした学研教室を1万8000カ所以上で運営しており、会員数は36万人強に達するほか、1600カ所で学研幼児教室を運営している。

帝国データバンクによると、2023年9月期の売上高は128億円(前年度比横ばい)、当期利益は3億5400万円(同30.3%減)だった。

M&Aを含む投資を戦略的に実施

学研ホールディングスは、学習教材などの出版をはじめ、教室や学習塾事業、サービス付き高齢者向け住宅事業などを手がけている。

2023年9月期を最終年とする3カ年の前中期経営計画では、児童書や学習参考書の販売が振るわず、教室や塾の生徒募集も低調に推移したことなどから、計画が未達に終わったという。

このため現中期経営計画では、事業構成の見直しと重点領域への経営資源の集中投資を行うことで教育事業を立て直す方針で、「M&Aを含むグループの変革と成長に資する投資を戦略的に実施する」としている。

そのM&Aに関しては、前中期経営計画期間中の2023年9月に、高齢者住宅向けに介護サービスを提供するグランユニライフケアサービス(京都市)を子会社化することを決めており、今回の講談社のこども教室事業の取得はこれに次ぐものとなる。

【学研ホールディングスの近年のM&A】

発表年月発表内容
2022年4月 英字ニュースサイト運営のジープラスメディアを子会社化
2023年5月 知育玩具・文具子会社の学研ステイフルを日本出版販売に譲渡
2023年9月 高齢者向け介護サービスのグランユニライフケアサービスを子会社化
2024年6月 講談社傘下の講談社パルが運営する「講談社こども教室」事業を譲受

文:M&A Online