6月27日は3月期決算上場企業の今年の株主総会集中日。経営陣の刷新や株主還元などを求める物言う株主(アクティビスト)との攻防戦も最高潮に達する。株主総会シーズンの最終盤を飾る注目会社にフォーカスする。
ダイドーに経営陣刷新を求める国内ファンド
「株主価値向上に向けて」と題する全面見開き広告が6月4日付の日本経済新聞朝刊を飾った。広告主は国内投資ファンドのストラテジックキャピタル(東京都渋谷区)。株主総会を前に、株主提案を行った7社の投資先について各社の課題や株主提案の意図を説明した。
なかでも、1社だけで見開き紙面の4割近いスペースを割いたのが「ニューヨーカー」や「ブルックスブラザーズ」などのブランドで知られる衣料中堅のダイドーリミテッドだ。ストラテジックは筆頭株主としてダイドー株の約29%(議決権ベースで約32%)を保有する。
ダイドーは6月27日、本社近くの神田明神ホール(東京・外神田)で定時株主総会を開く。会社側は取締役候補6人の選任(うち4人は外部招集)を求めている。会社側は当初、鍋割宰社長ら4人の取締役再任を発表していたが、ストラテジックの反対で、取り下げた経緯がある。しかし、ストラテジックは会社側が新たに提示した取締役候補にも反対し、独自の取締役候補6人の選任を諮る。
ストラテジックはダイドー以外に、東亜道路工業、大阪製鉄、日産車体、極東開発工業、京阪神ビルディング、淀川製鋼所(いずれも見開き広告に掲載)、文化シヤッターに対して株主還元、上場廃止などの株主提案を行った。ただ、経営陣の刷新を要求するのはダイドーだけだ。
ダイドーはアパレル不況で業績不振が常態化し、本業のもうけを示す営業損益は過去10年間赤字。2023年3月期、24年3月期は不動産売却で辛うじて最終黒字を確保した。2020年のブルックスブラザーズジャパン買収も裏目に出ている。
ストラテジックが提案する取締役候補には、アパレル大手のオンワード樫山で社長、会長を務めた大沢道雄氏、ブルックスブラザーズジャパンの元CFO(最高財務責任者)である中山俊彦氏らが名を連ねる。会社側は反対し、株主総会招集通知には議決権行使書と一体となった「委任状」を送付し、支持固めに躍起だ。
今回の株主総会では会社とストラテジックの双方が「総会検査役」を立てた。総会検査役は株主総会の招集手続きや決議の方法が適法であるかどうかを調べ、裁判所に報告書を提出するのが役割。近年、物言う株主との対立など株主総会をめぐる紛争の増加に伴い、総会検査役を選任するケースが増えている。