“無風”だった京成電鉄、今年は状況が一変
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(OLC)は6月初め、「アナと雪の女王」などをテーマにした新エリア「ファンタジースプリングス」をオープンし、話題を集めた。そのOLCの筆頭株主が京成電鉄で、現在約21%を保有する。
京成の株主総会はこれまでほぼ“無風”だったが、今年は状況が一変した。
27日の株主総会では、英国投資会社のパリサー・キャピタルが京成に対してOLC株の保有比率を2026年3月末までに15%未満に引き下げるなどとする定款変更(資本配分政策の策定及び投資有価証券の管理に関する規定の新設)を提案したからだ。
京成の過去10年間で株主提案は今回が初めて。パリサーは京成株の約2%保有する。
現状、京成が保有するOLC株の時価総額(約1兆7300億円)は京成自身の時価総額(約9000億円)を大きく上回る。パリサーはOLC株を一部売却し、鉄道事業のサービス向上や将来の成長につながる投資に資金を振り向けるように求めているが、こうした主張はいわば正論で理に適っているといえる。
定款変更は特別決議を伴う。議決権の過半数にあたる株主が出席し、このうち3分の2以上の賛成が必要となるため、普通決議と違って可決へのハードルは高い。
永谷園、上場企業として最後の株主総会に
製紙大手の北越コーポレーションの株主総会では、香港投資ファンドのオアシス・マネジメントが同社の岸本晢夫社長の解任を求め、会社側と真っ向から対立している。
ダイキンの株主総会では井上礼之取締役会長の退任に際し、43億円の特別功績金贈呈を会社提案として諮るが、議場の株主がどう受け止めるのかが関心の的になっている。井上会長は1994年の社長就任時の売上高(3843億円)を、2024年3月期には4兆3953億円まで拡大し、世界トップの空調メーカーに飛躍させたカリスマ経営者。
一方、「お茶づけ海苔」で抜群の知名度を誇る永谷園ホールディングスは27日が上場企業として最後の株主総会になる見通しだ。同社は現在、MBO(経営陣による買収)で非公開化するための株式買い付けを進めており、1976年以来の上場にピリオドを打つ。
文:M&A Online