総括
FX「人民元は日銀介入で対円5%下落、対ドルで0.5%程度の上下で動意なし」人民元見通し
(通貨5位、株価18位)
予想レンジ 人民元/円 20.9-21.4
(ポイント)
*人民元は日銀介入で対円5%下落、対ドルで0.5%程度の上下で動意なし
*金利は景気減速低下
*心配なのは株価で、3中全会やLPR引き下げがあっても上昇せず
*3中全会の骨子は10年前の政策目標再確認
*退職年齢を段階的に引き上げへ 少子高齢化対策
*日本と台湾の海保合同訓練に抗議
*トランプ次期大統領候補は中国に60-100%の追加関税を課すと発言
*2Q・GDPなど指標は悪化、若者失業率は13.2%
*米下院議長は中国批判
*デフレリスクは消えず
*乗用車販売が3カ月連続減少
*米国経済を中国から切り離すべき(トランプ前大統領高官)
*G7首脳、中国過剰生産に懸念表明
*中国の米国債保有額、2009年ぶりの低水準に
(人民元は日銀介入で対円5%下落、対ドルで0.5%程度の上下で動意なし)
大規模円買い介入で、7月11日の22.21円から、昨日は21.048円まで、5.23%下落した。ただ対ドルでは通貨バスケット制度を採用しているので、殆ど動いていない。1ドル7.26-7.3で収まっている。0.5%程度の動き。
心配なのは株価で、3中全会やLPR引き下げがあっても、上昇することはなく、上海総合指数は年初来2.45%安、ハンセン指数は1.55%高。
10年国債利回りは年初の2.59%から2.18%まで低下。
(3中全会、社会主義市場経済体制の確立)
3中全会では「改革のさらなる全面深化と中国式現代化の推進に関する決定」を採決した。2035年までに高水準の社会主義市場経済体制を完全に確立し、国家統治体系・統治能力の現代化や、社会主義現代化を実現させるとした。以下の7分野に注力する。
・高水準の社会主義市場経済体制の構築
・全過程で人民民主の発展
・社会主義文化強国の建設
・国民の生活水準の向上
・「美しい中国」の建設
・高水準の「平安中国」の建設
・共産党の指導力と長期的政権運営能力の向上
10年前の政策目標が再確認されたが、これに対し実現に向けた懐疑的な見方が広がっている。
(ローンプライムレート引き下げ)
人民銀行は7月22日、最優遇貸出金利の指標であるローンプライムレート(LPR)の期間5年以上を3.95%から3.85%に、期間1年を3.45%から3.35%にそれぞれ0.10ポイント引き下げると発表した。
米利下げ観測が高まっていることもあり、人民銀行には利下げ余地があった。
中国はデフレに近づきつつあり、不動産危機の長期化、債務の急増、消費者・企業マインドの低迷に直面している。世界の指導者たちが中国の輸出攻勢への警戒感を強める中、貿易摩擦も再燃している。
(退職年齢を段階的に引き上げへ)
中国政府は現在世界で最も低い水準にある法定退職年齢を段階的に引き上げる。多くの省では年金が赤字となっており、財政負担を軽減する狙いがある。
中国の平均寿命は1960年の約44歳から2021年には78歳に伸び米国を上回った。20500年までに80歳を超えると予測されており、年金改革は緊急の課題となっている。
男性の定年年齢は現在60歳で、ほとんどの先進国より5-6歳低い。ホワイトカラーの女性は55歳、工場で働く女性は50歳となっている。
保健当局は60歳以上の人口が35年までに2億8000万人から4億人以上に増加すると予想している。これは現在の英国と米国の全人口を合わせた数に相当する。