1977年10月16日、愛知県生まれ。
名古屋工業専門学校卒業後、地元建設会社にて現場監督を2年経験。
大手建設系人材派遣会社で営業を5年経験し、同社の社長を経て、2006年に当社を創業。
これまでの事業変遷について
冨田 :これまでの事業変遷について教えてください。
株式会社コプロ・ホールディングス 代表取締役社長・清川 甲介氏(以下、社名・氏名略) :当社は僕が29歳の時に創業して、今年で19期目の会社です。建設業界に対するエンジニアの人材派遣を軸に事業を拡大してきました。今から5年前の2019年に東証マザーズへの上場を果たし、2020年に東証一部(現東証プライム)へ市場変更をしました。
建設を軸に事業を拡大していたのですが、少し視野を広げていこうと考え、M&Aを使って主に2つの領域に進出しました。1つ目はクライアントに自動車メーカーや半導体のメーカーを持つ機械設計開発技術者の派遣を行う企業です。2つ目はシステムエンジニアリングサービス(SES)を行う企業です。当社はITの領域では後発の会社ですが、人材ビジネスにおいてはノウハウや実績を積んできた自信があります。IT人材の不足は常に叫ばれていたため、IT業界に進出することを決めました。
現在の当社の売り上げの約90%は、建設のエンジニア派遣になっています。これから第2・第3の柱として機械設計エンジニア、半導体のフィールドエンジニア、ITエンジニアの技術者派遣に力を入れていこうと考えています。
冨田 :ありがとうございます。同一ターゲットに対して商品チャネルが増えており、経営のお手本のような拡大のされ方をされていますね。向かう所敵なしですね。
清川 :そうですね。僕自身がサラリーマン時代のクリスタル(現テクノプロ・ホールディングス株式会社)でかなり鍛えられたと思います。建設領域で営業からスタートして営業のノウハウを学び、26歳の時には建設セグメントの社長に抜擢されて、経営もやらせていただきました。
冨田 :なるほど。会社を作られてからのご経歴だけではなく、建設事業に関しては長いキャリアを築かれているのですね。
経営判断をする上で最も重視していること
冨田 :意思決定をする中で最も重視していることを教えてください。
清川 :手を出しすぎないことを重要視しています。ビジネスの中で大きなシナジーが見込まれるのであれば、チャレンジすることは大切です。実際に当社も建設で培ってきたノウハウを活かして機械設計やIT、半導体の領域を手がけています。しかし、全く違う領域を手掛けると負のスパイラルに陥ることが目に見えています。大きく脱線させないことが重要だと考えています。
冨田 :なるほど。攻める領域を絞っているのですね。
清川 :そうですね。少しかっこいいことを言いますと、僕は不器用な人間なので、何事においても一つのことを究極まで突き詰めることを意識しています。人材ビジネスはシンプルなビジネスモデルで、シンプルがゆえに奥深いと感じています。
冨田 :達観したお話ですね。確かに人材ビジネスは参入障壁が低く、サイドビジネスでされている企業様もあります。ただ実際は、本当の意味で人材の価値を提供するってビジネスはもっと奥深いということですね。
清川 :はい。人材ビジネスに対する社会から求められているニーズも、時代に応じて変わってきたと感じています。
この業界に足を踏み入れた頃は、人材育成という観点はありませんでした。広告費や求人費を払ってそれに見合った人材を採用し、お客様から受注をもらったところにアテンドをするという単純なビジネスでした。
しかし、時代が変わっていくにつれて、求められてくるニーズが変わりました。派遣して終了ではなく、人材を育成できているかということが重要視されるようになりました。派遣してミスマッチが起きた際に退職してしまうケースも残念ながらまだまだたくさんあります。どのようにベストマッチに持っていくかが大きな経営課題だと考えています。
経営者としてのルーツ
冨田 :経営者としてのルーツを教えてください。
清川 :一番難しい質問ですね(笑)。人材ビジネスを展開しているからこそ、人に対する思いやコミュニケーションを重要視しています。社員にも人間力やヒューマンスキルを求めており、経営者の中でもこだわりのある方だと考えています。
冨田 :人に対する思いは、幼少期から身についていたのでしょうか?
清川 :そうですね。間違いなく両親の影響を受けていると思います。父親が建設会社を経営しており、学生の頃から仕事のやり方や従業員との接し方を目の当たりにしてきました。この経験が今の自分を作っています。
自社が今後関連していくテーマ
冨田 :今後関連していくテーマについて教えてください。
清川 :まずは「人材」というキーワードが間違いなく関連してくるでしょう。現在行っている建設領域で圧倒的なナンバーワンのポジションを目指していきたいと考えています。また、建設で培ってきたノウハウや経験を横展開して、機械設計やIT、半導体の分野にもビジネスを展開していくことが、今後の展望です。
冨田 :建設領域ではテクノロジーが導入されていると思います。建設テックのようなテーマに関心はあるのでしょうか?
清川 :そうですね。テクノロジーを活かして建設業界全体の効率性を向上させていきたいと考えています。建設業界は圧倒的な人手不足で、生産性を向上させなければ立ち行かなくなると言われます。我々は人材×テクノロジーにまつわる部分でサービス提供をしていきたいと考えています。
実際に、スパイダープラス株式会社という建設業界におけるDXを推進させている企業と業務提携契約を結んでいます。ITが発展した今の時代でも現場では紙を用いている企業が多いため、人材×テクノロジーで効率化を進めていきます。
冨田 :なるほど、興味深いですね。それは建設業界全体の課題感から起草されるものなのでしょうか?
清川 :はい、建設業界では現場の力が強すぎるという課題があります。本社よりも現場の力が強い会社が多いです。そのため、スパイダープラスを使いたいという現場所長もいれば、違うソフトを使いたいという方もいます。DXツールを導入したとしても、使った方が別企業に入った際に全く使えないという可能性もあるのです。このようになかなか足並みが揃わないのが建設業界の難しさです。
だからこそ建設業界全体が共同で一つのテクノロジーを使えば、業務業界全体の効率化に繋がると考えています。テクノロジーを通して建設業界を変えていきたいです。
冨田 :素敵ですね。建設業界にそういった世界が来ると良いですね。
思い描いている未来構想
冨田 :今後の未来の構想を教えていただけますか?
清川 :若い世代の定着率を高めていきたいと考えています。
現在の若い世代は入社して3年以内の退職率が非常に高くなっています。仕事が厳しいから辞める、上司と合わないから辞める、同期と合わないから辞めるといった理由が多いですね。大転職時代であるため転職をして自分に合った仕事にたどり着けるのであれば、色々な会社を経験するべきだと思います。
しかし、建設が厳しいから辞めるという人たちには、グループ外ではなくグループ内の機械設計やIT領域にチャレンジするように促し、一流のエンジニアとしてキャリアアップしていってほしいと考えています。
そのために機械設計の派遣会社やITの派遣会社を買収しました。僕たちはエンジニア応援プラットフォームという形でシナジーを生み出していきたいと考えています。
冨田 :なるほど、社内転職のような仕組みができると、仕事が変わってもホールディングスの中にいることになりますね。
清川 :そうです。社員のキャリアが広がることで、業績拡大や受注も増えます。採用と定着が大きな課題になってくると思っています。
ZUU onlineユーザーならびにその他投資家へ一言 など
冨田 :ZUU onlineのユーザーへ一言お願いします。
清川 :弊社は新規上場から5年が経ちますが、株価の評価が低迷していました。しかし、最近は業績が上向いてきて、少しずつ評価され始めていると感じています。個人的には、まだまだ上に行ける余地があり、潜在的なポテンシャルを持った会社だと思っています。さらに、建設業界の人手不足やエンジニア不足といった問題に対して、弊社のサービスがマッチしています。
これからも市場のニーズにしっかりと応えていき、業績を拡大させたいと考えています。現時点での時価総額は約300億円ですが、今後は1000億円を目指して企業価値を高めていきます。引き続き、応援していただけると幸いです。
- 氏名
- 清川 甲介(きよかわ こうすけ)
- 会社名
- 株式会社コプロ・ホールディングス
- 役職
- 代表取締役社長