旧村上系、あおぞら銀など3銘柄を新規保有

では旧村上ファンド系の投資会社の動きはどうか。今年に入って5%超の新規保有が判明したのは大平洋金属(1月)、あおぞら銀行(2月)、JSR(4月、すでに売却)の3銘柄で、いずれも取得したのはシティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)。

大平洋金属は1度買い増した後、2度売却して保有割合を4.16%に、あおぞら銀行は3度買い増して保有割合を8.92%としているが、いずれもここ2カ月は動きが止まっている。

旧村上系の別の投資会社である南青山不動産(東京都渋谷区)は三井住友建設株の保有割合を今年に入り12.54%まで高めた。エスグラントコーポレーション(同)も昨年10月に新規保有が分かったクレハ株の保有割合を11.79%まで高めている。

シンガポール投資ファンドの3Dインベストメント・パートナーズは東北新社株について、今年4度買い増して17.65%まで保有割合を高めた。3Dは2月に「東北新社の企業価値向上策」と題する提案資料を公表。これを踏まえ、東北新社は4月半ば、過剰資本の解消(株主還元による自己資本の適正化)などの対応方針を発表した。

英国ゼナー、日本で顔見せ

英国投資ファンドのゼナーアセットマネジメントは日本でこれまでなじみがなかったが、4月下旬、3件の大量保有報告書を提出した。新規保有した銘柄は栗本鉄工所、ヒラノテクシード、エアリンク。いずれも投資(投資一任契約にかかる顧客資産の運用)を主な目的とするが、「状況に応じて、発行者の経営陣との意見交換や重要提案行為などを行う場合がある」としている。

◎代表的な物言う株主と主な保有銘柄(HDはホールディングスの略)

保有者 保有割合%(花王を除き、直近の大量保有報告書に基づく)
オアシス・マネジメント(香港) アインHD14.89%、熊谷組10.21%、DIC8.56%、サン電子18.79%、シダックス9.74%、花王3%超
3Dインベストメント・パートナーズ(シンガポール) 東北新社17.65%、サッポロHD15.97%、エイベックス4.55%
エフィッシモキャピタルマネージメント(同) 川崎汽船38.52%、不動テトラ19.13%、ライフネット生命保険19.71%、第一生命HD9.88%、メルコHD10.52%、リコー14.69%、サンケン電気19.16%
ニッポン・アクティブ・バリュー・ファンド(英国) ホギメディカル10.05%、栄研化学10.47%、グッドスピード23.46%、文化シャッター7.13%、あすか製薬HD7.69%、帝国繊維5.0%、明星工業5.32%
ストラテジックキャピタル(日本) ダイドーリミテッド24.85%、東亜道路工業12.75%、大阪製鉄6.19%、京阪神ビルディング5.09%、日本証券金融3.96%
シティインデックスイレブンス(同、※) あおぞら銀行8.92%、寺岡製作所9.31%、大平洋金属4.16%、リョーサン15.04%
エスグラントコーポレーション(同、※) アルプスアルパイン11.32%、クレハ11.79%
南青山不動産(同、※) 三井住友建設12.54%、大豊建設13.66%、グローセル4.94%

※旧村上ファンド系の投資会社

文:M&A Online