夏の甲子園(第106回全国高校野球選手権大会)が連日熱戦に沸いている。折しも、甲子園球場開場100周年の節目。ビジネス界でもM&A市場が全国的にかつてなく盛り上がっている。47都道府県の最新勢力図は? この時期恒例の「M&A版甲子園」と題し、2024年のここまでの戦いぶりを点検する。

M&A Onlineの調べによると、今年の上場企業によるM&A件数は730件(8月15日時点、適時開示ベース)。前年を109件、率にして17.5%上回る高水準で推移し、2年連続の年間1000件の大台乗せが確実視される。

千葉県など11県、前年年間件数を上回る

こうした中、都道府県ごとにM&A市場における立ち位置はどうなのか。今年の全715件のM&Aについて、買い手、売り手、対象(自社や子会社・事業がターゲットになる)のいずれかの立場でかかわった件数を都道府県別に単純集計した(一覧表)。

全国的なM&Aの分布状況を大づかみすることが目的。例えば、宮城県のA社(買い手)が兵庫県に本社を置くB社(売り手)の福岡県にある子会社(対象)を買収したケースは宮城県、兵庫県、福岡県を各1件とし、当事者がすべて同じ県内の場合は当該県の1件のみとカウントした。

ただ、買い手に回ることの多い上場企業の数が少ない県では件数が低くなる”ハンディ“が否めない。全国で唯一、上場企業のない長崎県は1件。西華産業が県内にあるFRP(繊維強化プラスチック)船舶メーカーの田中造船(松浦市)を4月に子会社化したのがそれ。

年内5カ月近くを残し、すでに前年の年間件数を超えたのは千葉県(22件)、岐阜県(15件)、石川県(13件)、三重県(12件)、香川県、沖縄県(各5件)、鳥取県、大分県(各4件)、福井県(3件)、島根県、佐賀県(各2件)の11県を数える。

石川県13件に倍増、鹿児島県はゼロ

なかでも石川県は13件と前年の年間6件から倍増した。13件中10件は県内企業が買い手としてかかわった案件で、このうち4件の買収は県内に本社を構えるクスリのアオキホールディングスが静岡県、岐阜県、千葉県、香川県の企業を相手に手がけた。

沖縄県は5件とも県内企業が買収対象もしくは売り手の案件だった。

反対に、件数を大きく減らしているのが山梨県と富山県。山梨県は前年年間11件、富山県は同10件だったが、今年はここまで両県とも2件と苦戦中。山梨県の場合、県内企業による買収はゼロで、売り手、対象の案件が各1件だった。

一方、今年ここまでゼロ件は鹿児島県だけ。前年は年間5件で、県内企業を対象とする買収が4件あったほか、県内に本社を置く新日本科学が米国創薬ベンチャーを買収する海外案件があったが、一転、動きが止まっている。