人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「習政権の経済政策に批判。人民元は過度なボラティリティを避ける」人民元見通し

(通貨4位、株価19位)

予想レンジ 人民元/円 20.0-20.5

(ポイント)
*人民元、大きな変動リスクは回避
*株は弱い
*習政権の経済政策に批判も、当局は記事を削除
*工業部門企業利益は前年同月比4.1%増
*追加緩和観測
*カナダ、中国製EVに100%関税 欧米と協調
*7月鉱工業生産、3カ月連続鈍化
*若年失業率、7月は17.1%に上昇
*7月製造業・サービス業PMI冴えず
*EU、中国から輸入のテスラ車に9%の関税
*LPRは据え置き
*トランプ次期大統領候補は中国に60-100%の追加関税を課すと発言
*G7首脳、中国過剰生産に懸念表明
*中国の米国債保有額、2009年ぶりの低水準に

(人民元、大きな変動リスクは回避)
 人民元はドルが上る時は、ドルより弱く、ドルが下がる時はドルより強い、バスケット制度の特色を生かし、大きな変動リスクは回避している。年間は4位、8月はここまで弱い(10位)のドルに対応して9位。
 株価は相変わらず弱い。年初来で上海総合指数は4.62%安、香港ハンセン指数は3.78%高。景気減速で金融緩和観測はあるが、10年物国債利回りは2.16%、低下し過ぎないように当局の牽制が続く。

(習政権の経済政策に批判も、当局は記事を削除)
  当局が経済政策に対する批判に敏感になっているため、いくつかのコメントが検閲されている。鄧小平生誕120周年を迎えているが、鄧小平氏は、「中国の特色ある社会主義」を市場経済と外国投資に開放することで、中国で歴史的な改革を開始したことで記憶されている。
 習近平による統制が現在の中国経済の減速の原因の一つであると多くの人が指摘している中、これは極めて敏感な問題だ。
中国を代表する自由主義経済学者の一人であり、北京大学の張衛英教授による批判的な記事が、中国のソーシャルネットワーク「微信」で広く流布された後、インターネット検閲官によって2度削除された。2018年に最初に発表されたこの記事は、国家計画を犠牲にしてでも市場の力を受け入れ、「石をつかんで川を渡る」ことを試みながら大胆に改革を進めた鄧小平の勇気を称賛した。

削除されなかった他の記事も、鄧小平の記念日を利用して改革主義的な見解を表明していた別の経済学者、王志剛氏は「中国は再び歴史の岐路に立っている」と述べた。「鄧小平の遺産を注意深く調査し、整理し、収集し、未来に向けて公開することによってのみ、私たちは彼を最大限に記念することができるのです」と述べた。

(工業部門企業利益は前年同月比4.1%増)
 7月の工業部門企業利益は前年同月比4.1%増と、6月の3.6%増から伸びが加速した。中国の景気回復はさえない内需に圧迫されているものの、ハイテク製造業が好調だった。
1-7月は3.6%増。1-6月は3.5%増だった。国有企業が1%の増益、外資系企業が9.9%の増益、民営企業が7.3%の増益という。
データによると、リチウムイオン電池や半導体、関連機器を含むハイテク製造業の利益が1-7月に12.8%増加した。

(追加緩和観測)
人民銀行は8月26日、期間1年の中期貸出ファシリティー(MLF)を通じて金融機関に3000億元を供給したと発表した。中国経済が低迷する中、市場では追加緩和観測が強まっている。