南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「利下げでも首位堅持、連立政権崩壊危機避ける。資源高も支え」南アランド見通し

「通貨首位、株価10位」
「予想レンジ 南アランド円8.0-8.5」

(ポイント)
*首位堅持。資源高もランドを支える
*南ア中銀は策金利を引き下げ
*8月の消費者物価は低下
*連立政権崩壊は当面、避けられるようだ
*マスク氏のスターリンクサービスを開始か
*格付けを「BB-」に据え置き、見通しは「安定」
*2Q・GDPはプラ転も期待を下回る
*8月製造業PMIは悪化
*南アは中国に貿易不均衡改善を求む
*IMFは大胆な財政再建を求める
*貿易黒字は6か月連続の黒字
*債券市場に海外資金が流入
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続くが、ガザ問題で関係悪化も

(首位堅持。資源高もランドを支える)
 南アランドは年間首位を維持。円との差も前週の2.99%から7.14%に拡げた。株価指数は年初来9.02%高、10年国債利回りは8.88%。このところの金、銀、白金、パラジウムなどの南ア産出の資源価格が米金利低下観測もあり上昇していることも南アランドを支えている。

(南ア中銀は策金利を引き下げ)
 南ア中銀は、レポ金利を0.25%引き下げて8.0%とした。予想通りで、主要政策金利の引き下げは4年以上ぶり。インフレが2026年まで目標レンジの中央値を下回る見通しとなったためだと説明している。

中銀は「インフレ率は予測期間の終わりである26年まで、目標範囲の中央値4.5%を下回る水準に抑えられる」とインフレ抑制は持続するとの見方を示した。
中銀による最近の四半期調査でも、インフレ期待は、緩やかに緩和方向に進んでいると指摘している。中銀は声明で「総合インフレ率がより低い水準にとどまる限り、インフレ期待を目標範囲の中央値付近にとどめる動きがさらに進むと予想している」と指摘した。
電力会社が計画停電を中止したことや、政府の年金改革によって消費者支出が増加したことなどから、今年後半の南アの経済は上向くと見込まれている。5月の総選挙後に成立した連立政権が一定の評価を得ていることを支えに、通貨ランドの値動きも安定している。

(8月の消費者物価)
8月の消費者物価上昇率は前年同月比4.4%と、予想を下回り、2021年4月以降で最低となった。7月の4.6%から鈍化した。中銀が望ましい水準とする目標レンジの中間値(4.5%)を下回った。予想は4.5%だった。
8月は輸送、住居、外食、ホテルの価格圧力低下がインフレ鈍化に寄与した。
ただ、食品価格は4.7上昇と、7月の4.5%上昇から加速。前月までは8カ月連続で鈍化していた。

(連立政権崩壊は当面、避けられるようだ)
 ラマポーザ大統領は、基礎教育法改正(BELA)法案に署名して法律化したにもかかわらず、法案に含まれる2つの条項の実施を3か月延期すると述べた。法案に反対していたDA(民主同盟)に配慮、議論を続けるようだ。DAはこの法案、特に学校運営団体や地域社会から南アの学校への入学や言語政策を承認する最終的な権限を政府に与える条項に激しく反対している。