総括
FX「景気テコ入れ策と各市場の反応、株は一時急騰、元は安定」人民元見通し
(通貨3位、株価19位)
予想レンジ 人民元/円 20.3-20.8
(ポイント)
*人民銀、24日景気刺激策発表
*株価は急騰したが25日には伸び幅を縮小
*人民元はやや堅調。10年国債利回りは安定
*27日に8月工業収益、30日には政府版と財新の9月PMIが発表される
*人民銀、1年物MLF金利2.00%に引き下げ
*若年失業率、8月は18.8%に上昇
*ドル買い介入で人民元急騰を抑えている
*26日から豪中財務相会談
*8月鉱工業生産・小売売上高伸び鈍化
*米政府、対中関税引き上げを最終決定
*定年引き上げ案を承認 年金財政逼迫を緩和
*8月貿易、輸出は駆け込みで増加、輸入は内需低迷で伸びず
(景気テコ入れ策と各市場の反応)
9月半ばから、人民元円は上昇している。ドル安と日本の半期末の円売りが効いている。
月間で5位、年間では3位。
株価は政策テコ入れが入ったので急騰した。9月24日は上海総合指数が4.15%高、ハンセン指数が4.13%高、ただ翌25日は上海総合指数が1.16%高、ハンセン指数が0.68%高と勢いは続かなかった。今日が3日目。
10年国債利回りは景気減速で2.043%。低下し過ぎないように人民銀行が債券売りを交えてコントロールしている。
(今後の経済指標は)
今週は8月工業収益の発表がある。9月30日には政府版と財新の9月PMIが発表される。
(人民銀、景気刺激策発表)
人民銀行は9月24日、今年の5%前後の経済成長目標の達成に向け、これまでで最も広範な景気刺激策を打ち出した。人民銀の潘功勝総裁は、市中銀行の預金準備率を少なくとも2018年以降で最低水準に引き下げる計画を発表。主要短期金利の一つである7日物リバースレポ金利の引き下げも明らかにした。
潘総裁はまた、苦境にある国内不動産市場を支えるための措置も発表。最大5兆3000億ドル相当に上る既存の住宅ローンの借り入れコスト引き下げや、セカンドハウス購入に関する規制の緩和などを盛り込んだ。
預金準備率は0.5ポイント引き下げられる。これにより1兆元の流動性がもたらされる。中国は年内の適切な時期にさらに0.25-0.5ポイントの預金準備率引き下げを行う可能性もあると総裁は付け加えた。
潘総裁は証券会社やファンド、保険会社が人民銀からの流動性を利用して株式を購入できるよう、スワップファシリティーを設立することも明らかにした。人民銀はこのほか専門の借り換えファシリティーを別途設立し、上場企業や大口株主が株式買い戻し・保有増に充てられるようにする。
さらに、低迷する中国株式市場に少なくとも8000億元の流動性支援を供給する方針を示し、株式安定化基金の設立を検討していることも明らかにした。
(人民銀、1年物MLF金利2.00%に引き下げ)
人民銀行は9月25日、中期貸出ファシリティー(MLF)の金利を引き下げた。
景気支援に向け、前日に発表した幅広い政策緩和措置に沿った動きだ。
(若年失業率、8月は18.8%に上昇)
8月の若年層(16-24歳、学生を除く)の失業率は18.8%で、昨年12月以来の高水準だった。前月の17.1%から上昇した。
(ドル買い介入か、中国は管理相場)
中国の大手国有銀行が9月20日の本土市場で元の急速な上昇を阻止するためにドル買いを実施したと、事情を知る関係者2人が明らかにした。
急速な元高は中国輸出企業の競争力を減退させる可能性があり、減速する中国景気にマイナス影響を与え得る。