総括
FX「リラ安は例年ほど大幅ではない、スワップ金利内の下げ」トルコリラ見通し
(特集=EBRDがトルコを評価)
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.0-4.5
*EBRDがトルコを好評価
*リラ安は例年ほど大幅ではない
*リラは最弱、株価は最強、金利は最高利回り
*トルコ国民は外貨預金でインフレ自己防衛
*政策金利据え置きも、11月は利下げか
*9月消費者信頼感指数は改善
*財務大臣は独に投資呼びかけ
*今週は消費者物価に注目
*トルコは多面外交推進
*8月CPIは鈍化
*トルコの格付けをBB-に引き上げ
*IMFは成長見通し引き上げ
*フィッチは2024年のトルコの成長率を上方修正
*海外投資家は、最も速いペースでトルコ国債を購入
(株価最高、金利最高、リラ安は続くが例年ほどの大幅安ではない)
9月はここまで対円で2.10%安、年間では11.76%安。株価指数は世界最強で年初来29.39%高、10年国債は28.49%。
(今週、今後の焦点)
今週は9月のインフレデータが発表されるが、8月の51.97%と比べてさらに低下する可能性が高い。年間インフレ率が9月に48.11%に低下すると予想されている。カラハン中銀総裁も議会の計画予算委員会で世界情勢、トルコ経済、インフレ、金融政策の枠組みの中で議員らに包括的なプレゼンテーションを行う予定だ。
トルコ統計局は、10月10日に労働力統計を発表し、その翌日には8月までの貿易収支や小売り売上高などその他の重要な経済データを発表する予定。
国際収支データも10月11日に公表される。
(EBRDがトルコを評価、成長率据え置き)
欧州復興開発銀行(EBRD)は、今年のトルコ経済の成長予測を5月の予測から変更せず、来年は再調整と投資家の信頼感の向上により経済成長が加速すると予想した。
「EBRD地域における地域経済見通し」報告書の中で、トルコが2024年に2.7%成長すると予想していると述べた。経済成長は、成長の原動力の再調整と投資家の信頼の向上により、2025年には3.0%まで上昇すると予測。
EBRDの報告書は、トルコの経済を評価し、投資家の信頼向上に貢献した要因として、最近の政策変更と、2024年6月に金融活動作業部会(FATF)のグレーリストから同国が除外されたことを強調している。インフレ抑制を目的として昨年6月から金融・財政政策が引き締められてきたと指摘し、3月の地方選挙にもかかわらず政策は維持されたと付け加えた。
(EBRD、トルコ中銀の金融政策を評価)
トルコ中銀は、2023年6月から2024年3月の間に政策金利を累計4,150ベーシスポイント引き上げ、「不胎化手段を用いて金融政策スタンスをさらに引き締め、マクロプルーデンス措置を実施することで金融政策の伝達を強化した」と報告書は述べている。
さらに、5月に発表された公的貯蓄・効率化パッケージや、年半ばの最低賃金引き上げを行わないことなど、デフレーションを支援し財政赤字を削減するための追加措置として強調した。
(クレジット・デフォルト・スワップ・プレミアムが改善)
EBRDによると、トルコのクレジット・デフォルト・スワップ・プレミアムも過去1年間で大幅に低下し、2023年5月の700ベーシスポイントから300ベーシスポイント未満に低下した。また、より多くの主要格付け機関がトルコの国債格付けを引き上げていると述べた。
(FX保護口座減少)
同時に、昨年8月と比較してFX保護口座(いわゆるKKM)が著しく減少したことにも言及した。
(経常収支改善)
EBRDは対外状況も改善したとしている。「12か月累計経常収支赤字は、2023年5月のピーク時の570億ドルから、2024年7月には191億ドルへと着実に減少した」と同銀行は述べている。これには物品輸入の減少と観光収入の好調が寄与したと同銀行は述べている。
(トルコのリスク)
しかし、報告書は、トルコ経済における主要なリスクとして、持続的な高インフレ、トルコリラの実質的な上昇が輸出と観光業に与える影響、地域における高い地政学的緊張、そして短期的な外部資金調達の需要が膨大であることを踏まえた世界的な資金調達状況の厳しさを挙げている。
(EBRDのトルコ向け融資)
EBRDは2023年にトルコに過去最高の25億ユーロ(27億9000万ドル)を投資し、その半分以上が同国のグリーン移行を支援するプロジェクトに充てられる。
EBRDはトルコの主要投資家の一つであり、2009年以降453件のプロジェクトと貿易金融枠を通じて200億ユーロ以上を投資しており、そのほとんどは民間部門である。