一番の競合は「現状維持」紙文化が根強く残る産廃業界でDXE Stationが描く未来像

排出、収集・運搬、処分と多くの事業者が関わり、未だ「紙」の文化が根強く残る産業廃棄物処理業界。DXE株式会社は、業界の知見を生かしたきめ細かなサポートで業界の革新を目指し、チャレンジを続けています。

「ものづくりDXのプロが聞く」は、Koto Online編集長の田口紀成氏が、DXの最前線を各企業にインタビューするシリーズです。今回は、2021年に創業、デジタルから一見距離があるように見える産業廃棄物処理業界でSaaSビジネスを展開するDXE株式会社の代表取締役社長、小山逸朗氏をゲストに迎え、コアサービスの「DXE Station」の特徴、目指す未来などについてお話を伺いました。

左から田口 紀成氏(Koto Online編集長)、小山 逸朗氏(DXE株式会社 代表取締役社長)
左から田口 紀成氏(Koto Online編集長)、小山 逸朗氏(DXE株式会社 代表取締役社長)
小山 逸朗氏
DXE株式会社 代表取締役社長
2012年、AREホールディングス株式会社(旧社名:アサヒホールディングス株式会社)に入社。情報システム部門で、グループ各社で利用するITシステムの企画・構築・運用に従事。2021年から情報システム部門長に就任。2022年、DXEの初期バージョンのサービス提供開始とともにDXEに参画、2023年4月より現職。AREホールディングス入社前は、システムベンダに籍を置き、顧客企業のシステム構築・保守業務に加え中小企業の経営支援にも従事したことが当社での事業推進・遂行する上で有益な経験となっている。
田口 紀成氏
Koto Online編集長
2002年、株式会社インクス入社。3D CAD/CAMシステム、自律型エージェントシステムの開発などに従事。2009年に株式会社コアコンセプト・テクノロジー(CCT)の設立メンバーとして参画後、IoT/AIプラットフォーム「Orizuru」の企画・開発等、DXに関して幅広い開発業務を牽引。2014年より理化学研究所客員研究員に就任、有機ELデバイスの製造システムの開発及び金属加工のIoTについて研究を開始。2015年にCCT取締役CTOに就任。先端システムの企画・開発に従事しつつ、デジタルマーケティング組織の管掌を行う。2023年にKoto Onlineを立ち上げ編集長に就任。現在は製造業界におけるスマートファクトリー化・エネルギー化を支援する一方で、モノづくりDXにおける日本の社会課題に対して情報価値の提供でアプローチすべくエバンジェリスト活動を開始している。
(所属及びプロフィールは2024年9月現在のものです)

目次

  1. 紙文化が残る業界の電子化をサポートする「DXE Station」とは
  2. 一番の競合は「現状維持」、きめ細かなサポートで抵抗感を軽減
  3. 強みは業界への知見、開発も180度転換しアジャイルに
  4. 大切なのは実際に使う人への視点、人を中心により良いサービスを

紙文化が残る業界の電子化をサポートする「DXE Station」とは

田口氏(以下、敬称略) 最初に、改めてとなりますが、御社の事業内容、グループ全体の中の位置づけなどについて教えてください。

小山氏(以下、敬称略) 当社は2021年11月の創業で、東証プライム上場のAREホールディングスの傘下企業になります。AREホールディングスは貴金属と環境保全という二つのセグメントで主に事業を行っており、私たちDXEはそのうち環境保全事業の中で、環境DXという形で商品・サービスを提供しています。

田口 具体的には、どのようなサービスになるのでしょうか。

小山 環境保全のビジネスの一つとして、産業廃棄物処理を委託するための契約書と、「マニフェスト」と呼ばれる産業廃棄物処理に関する管理伝票、この二つを電子化するツール、「DXE Station」を提供しています。いわゆるSaaSビジネスですね。

一番の競合は「現状維持」紙文化が根強く残る産廃業界でDXE Stationが描く未来像

産業廃棄物の処理には、廃棄物を出す排出事業者、収集・運搬をする事業者、処分をする事業者など複数の関係者が関わっており、国で決められたルールに基づいて適正に処理されているかどうかを、それぞれがマニフェストとして記録を残す必要があります。このマニフェストには、紙と電子とがあります。紙マニフェストは、複写式になっていて、それぞれの事業者が一つひとつ記入し適正に保管することで、産業廃棄物の動きをトレースする仕組みになっています。一連の流れの中で、行政に対して最終的な適性処理の責任を負っているのが排出事業者です。そのため、それぞれの事業者は郵送などで排出事業者に記入したものを戻さなければなりません。さらにはそれを5年間保管するという義務も課せられています。

例えば規模の大きい産業廃棄物事業者が1ヵ月で作成するマニフェストは4,000枚。1年間で5万枚、5年間保存するとなると25万枚が倉庫の中に眠っているという計算です。それらを1回1回手で書いて、各事業者ごとに郵送でリレーをして……すべてを紙で行っているとすると、とんでもない手間と時間がかかることになります。ここの電子化をサポートするのが、私どものサービスになります。

田口 業界としては、まだまだ紙の文化が根強く残っているのでしょうか。

小山 そうですね。他業界と比べて、デジタル化が遅れており、先ほど申し上げたマニフェストに関しても、紙をメインとしている会社がかなり多いですね。電子化をするには日本産業廃棄物処理振興センターが運営している「JWNET」という電子マニフェストシステムを使用する必要があるのですが、全事業者への普及には至っていないというのが現状です。

考えられる理由はいくつかあるのですが、マニフェストは廃棄物の排出から収集・運搬、処分までを一連で管理するものなので、紙から電子マニフェストに移行しようと思うと、関係する事業者すべてが電子化を受け入れてインフラ投資する必要があります。これが電子化を進める上での大きな障壁になっていると思います。

「マニフェストは廃棄物の排出から収集・運搬、処分までを一連で管理するものなので、紙から電子マニフェストに移行しようと思うと、関係する事業者すべてが電子化を受け入れてインフラ投資する必要があります」(DXE 小山氏)
「マニフェストは廃棄物の排出から収集・運搬、処分までを一連で管理するものなので、紙から電子マニフェストに移行しようと思うと、関係する事業者すべてが電子化を受け入れてインフラ投資する必要があります」(DXE 小山氏)

特に、産業廃棄物の最初の出所である排出事業者は、廃棄物処理に特化した仕事をしているわけではなく、医療や建築などそれぞれ別の事業を行う中で産業廃棄物を排出しているだけなので、基本的には産業廃棄物に関してそれほど詳しくはありません。詳しい知識がない中で電子化に踏み切り、新しいシステムを導入・操作するのはハードルが高いです。

さらに、排出事業者にとっては、産業廃棄物の処理はいわゆる「コスト」です。もちろん適正処理は法律で決められているのでやらなければなりませんが、それが何かしら利益を生むかというとそうではありません。今後は温室効果ガス(GHG)削減やサーキュラーエコノミーなどの観点で今とは異なる状況が出てくる可能性もありますが、現時点では、排出事業者がわざわざ大きな労力をかけて電子マニフェストを導入するかというと、できるだけやりたくないと考えてしまうのも仕方がないと言えるでしょう。

産業廃棄物処理の業界においては、委託元である排出事業者の力が強いことが多く、収集・運搬事業者や処分事業者だけが電子化したいと思っても、なかなか進まなかったというのが実態だと思います。

一番の競合は「現状維持」、きめ細かなサポートで抵抗感を軽減

田口 そうした状況の中で、御社のDXE Stationは、どのように普及させていったのですか。特徴や、他社の製品やサービスと比べたときの優位性などありましたら教えていただけますか。

小山 電子マニフェストに関係するサービスはいろいろとありますが、私たちのサービスの特徴の一つは、排出事業者ではなく、収集・運搬などに携わる事業者が主体的に起票できるという点です。

一番の競合は「現状維持」紙文化が根強く残る産廃業界でDXE Stationが描く未来像

マニフェストを電子化する際は、ルール上、JWNETにデータをつなぐ必要がありますが、その際に、DXE Stationでは電子化に消極的な排出事業者に負担をかけることなく、収集・運搬事業者が入力して主体的に使える仕組みになっています。

とはいえ、一連の処理の中で特定の事業者だけが電子化することはできません。お伝えしたように排出事業者含めすべての関係する事業者が加入する必要があるのですが、その加入のコストを引き下げる仕組みがあることも、当社サービスの特徴の一つです。

収集・運搬事業者や処分事業者といった産業廃棄物専門の方たちはそれほど困難なく加入手続きなどを進めることができると思うのですが、排出事業者はそうではありません。そこに我々がサポートに入り、手続きを一部代行するなどして、加入のハードルを下げる工夫をしています。

さらにもう一点、UI/UXにこだわった、使いやすさも強みです。業界のソフトウエアとしては、我々が参入するずっと以前、それこそ10年前、20年前から提供されているものがたくさんあるのですが、それらが登場した当時はおそらく今ほどUI/UXの重要性が世の中で認識されていなかったと思います。しかも、既存のお客様に一定の評価が得られている製品・サービスについて、見た目や使い勝手を大きく変更することは簡単ではありません。

その点、我々は新しくサービスを立ち上げているため、新興としてメリットを生かし、使いやすい、わかりやすいUI/UXに徹底してこだわることができました。どちらかというとこの業界はパソコン作業などが苦手な方が多い業界でもあります。操作導線などが複雑でわかりづらいと「こんなものは使えない」と拒否されてしまいますが、誰でも使えるわかりやすいUI/UXにしたことで、より受け入れられやすくなっていると思います。日本デザイン振興会が主催する「2024年度グッドデザイン賞」においては、産廃処理業務効率化のSaaSシステムとしては初のグッドデザイン賞を受賞しました。

田口 そうすると、メインのユーザーとしては収集・運搬事業者で、排出事業者としては、電子マニフェストに加入したとしても仕事そのものは大きく変わるわけではないんでしょうか。

小山 実際にほとんど変わっていないですね。そこがDXE Station導入に対するハードルの低さにつながっていると思います。よく、DXを進めようと思うと、これを変えないといけない、あれも今のままではダメだ……というものがたくさん出てくるので、反対が出て進まないという声を耳にすることがありますが、我々がサービスをご紹介する際は、「紙と同じことが電子でもできるようになるだけなので、ご迷惑はかかりません」とお伝えしています。それでもまだまだ抵抗感は根強く、お断りされてしまうケースも多いですね。

田口 その抵抗感はどういうところから来ているのでしょうか。

小山 理由はさまざまだと思いますが、我々はよく「一番の競合は他社のサービスではなく、『現状維持』だ」と言っています。紙で行っている今の仕組みを変えたくないと言われてしまうと、解決策の提供も難しくなってしまいます。これはデジタル化、DX導入の世界で共通の課題なのかもしれないですね。

強みは業界への知見、開発も180度転換しアジャイルに

田口 確かに、私もたくさんの製造業の会社を見て来てきましたが、特に組み立てなどの図面は紙が本当に多く残っています。デジタルのサービスがいろいろと出てはいるものの、切り変えるためには、結局仕事のやり方を変えないといけない、そこが一番難しいんですね。恐らくその部分に関しては何か手を入れないと変わっていかないし、変わらなかったところは衰退していくのかなとも感じますが、今のお話を聞いて、似たような構造があるなと思いました。いくら良いサービスを作ったとしても、業界としてなかなか浸透させづらいところがあるのではないかと想像しているのですが、サービスを広げる鍵となるものやプラスアルファで何か工夫されていることなどがあれば、お伺いできますか。

「デジタルのサービスがいろいろと出てはいるものの、切り変えるためには、結局仕事のやり方を変えないといけない、そこが一番難しいんですね」(Koto Online編集長 田口氏)
「デジタルのサービスがいろいろと出てはいるものの、切り変えるためには、結局仕事のやり方を変えないといけない、そこが一番難しいんですね」(Koto Online編集長 田口氏)

小山 そうですね、何か特別な仕組みというよりは、グループとして環境保全ビジネスに長く携わってきたがゆえに、業界を知っているということがポイントの一つだと思います。ただ単にSaaSビジネスを始めましたということではなくて、この業界のプレーヤーの皆様のペインポイントがどこにあり、何に困っているのかを理解し、それをITやデジタルの活用によって解決してきたノウハウもあります。

営業やマーケティングの活動の中でサービスをご紹介する際にも、単にサービスの説明をするだけではなく、それぞれのお客様の業務の流れに沿った使い方を提案したり、不要な機能を排除した効率的な導入をご案内したり、そうしたところまで踏み込んでコミュニケーションをとるようにしています。加えて、開発やカスタマーサービスといった領域にも、同じ業界で仕事をしてきた経験者が多くいます。例えばお客様からご質問があった場合、その質問の背景に何があるのか、言葉や感覚でわかります。紙のマニフェストで仕事をしてきた経験や、電子マニフェストへの切替を推進してきた経験を生かし、きっとここに困っているんだろうなと想定した上でお答えできるのも、強みの一つかなと思います。

田口 業界を熟知しているがゆえに、導入から利用シーンまで、きめ細かくフォローできるんですね。

小山 さらには、世の中の流れも後押しになっています。産業廃棄物業界に限りませんが、労働者不足がより深刻になり、業務の効率化は避けて通れない課題です。また環境に対する意識、社会の要請もどんどん強くなる中で、産業廃棄物処理の業界でもいままでのやり方では先に進めない、非連続な転換期を迎えています。業界そのものが大きく変わる必要性に迫られていると言えると思います。

もう一つ付け加えると、当社のサービスはチャーン(解約)がほとんど発生していません。限りなくゼロに近い。排出事業者も巻き込んだサービスなので、一度導入したあと、自社の独断で勝手にやめることはなかなかできません。「おたくがやるって言ったからうちも電子化したのに……」という話になってしまうので、粘着性が非常に強いプロダクトになっています。

田口 チャーンレートが極端に低いということは、純粋に積み上がっていくサービスということですね。これは強いですね。サービス全体をどうやってデザインして、ここまで持ってきたのか大変興味があるのですが、実際に企画して決めて動かす際に意識したことなどはあったのでしょうか。開発体制なども含めてお伺いできますか。

小山 事業を立ち上げる際には、自社の有識者のみならず、お取引先などに話を伺ってさらに業界のことを把握し、まずはファーストステップとして、ミニマムな機能でリリースしました。ただし、事業立ち上げ前に、バージョン1.0とか2.0といったステップごとに実装する機能の将来像を、立ち上げメンバーである程度決めていました。

立ち上げのコアになっていたメンバーは、社内の5、6名です。社内メンバー以外では一部コンサル会社にも入っていただきました。ある程度方向性が決まって実際にシステム開発する際にコンサル会社に言われたことは、「内製化しないとダメだ」ということです。しかし、それまで貴金属や環境保全などをやっていた会社が、いきなりシステム開発をするといってもなかなか簡単ではありません。内製するといってもそもそもどういう人材を集めるべきなのか、そこからわからないような状態ですので、外部のシステム会社に協力を仰ぎ、いわゆるアジャイル開発の形でチームとして開発を進めました。開発側の方たちは産業廃棄物の領域については知らないので、こういうふうにしたい、こういう機能があるべきだということを、こちら側の業界に明るい人間が集まってアイデア出しをして、プロジェクトを立ててシステム開発していくというやり方ですね。

田口 そうすると、これまで環境保全事業を本業として仕事をしていた方たちで要件などを決めた上で、開発は開発のプロに任せたということですね。

小山 そうですね。そこを融合させてチームで作り上げたという言い方がしっくりくるでしょうか。始めは開発のベンダーも大手を想定してどちらかというとウォーターフォール型の開発イメージを描いていたのですが、我々のやりたいことを機動的にクイックスタートしようと思うとそれでは難しいという判断に至り、アジャイル開発へと180度転換しました。そのときに外部からSaaSシステムを構築したことのあるマネジメント経験者を1名採用し、ベンダーも大手ではなく機動的に手を動かしていただける方、やりたいことについて要件定義の絵を書けば、それをすぐさま実現してくれるようなベンダーにお願いしました。

経営陣としてもまずはマーケットにプロダクトがフィットするかどうかを早く知る必要がありましたし、そのため、一番早く作れるパターンでこれだったら使ってもらえるだろうというミニマムの機能で第1弾をリリースすることにしました。

「一番早く作れるパターンでこれだったら使ってもらえるだろうというミニマムの機能で第1弾をリリースしました」(DXE 小山氏)
「一番早く作れるパターンでこれだったら使ってもらえるだろうというミニマムの機能で第1弾をリリースしました」(DXE 小山氏)

結果として、ミニマム機能で素早く市場に出せたことは正解だったと思っています。時間をかけて練り上げて出すよりも、とりあえず1回出してみて、お客様からフィードバックをいただき、滅多打ちにされてもいいのでそこからブラッシュアップしていくほうがこうしたサービスの場合は向いていると感じています。

大切なのは実際に使う人への視点、人を中心により良いサービスを

田口 サービスとしての今後の展望、御社の目指す将来像について教えていただけますか。

小山 DXというキーワードでこの業界をリードしていくために今後避けて通れないのが、マルチプロダクトだと思っています。

現在のプロダクトに対する改良はもちろん続けていきますが、単体プロダクトではなくマルチプロダクトにしていかないと、業界で中核的なポジションを獲得するのは難しいです。単体プロダクトではどうしても市場規模が限られてしまいますが、複数プロダクトにすることでアプローチできる市場の規模も広がっていくはずです。

産業廃棄物とひと言で言ってもたくさんの種類があり、収集・運搬も処分も方法が異なります。我々の今のプロダクトは医療系廃棄物を取り扱う事業者に最も高く評価頂いております。これはAREホールディングスの環境保全事業において医療系廃棄物を得意として取り扱いしていることや、貴金属事業において歯科業界の貴金属資源リサイクルを取り扱っていることが関係していますが、医療系以外の産業廃棄物を取り扱う事業者にも幅広く受け入れていただくのは容易なことではありません。新しい機能なのか新しい仕組みなのかは決まっていませんが、より多くのお客様にリーチするためにも、マルチプロダクトは目指すべき方向性の一つだと思っています。

もう一つ考えているのが、現在は収集・運搬事業者がメインのユーザーですが、産業廃棄物を出す排出事業者をターゲットとすることです。産業廃棄物の処理の観点から我々は排出事業者と呼んでいますが、要はいわゆる一般の企業ですね。事業を営む上で、多くの企業が産業廃棄物を排出します。当然こちらのほうがマーケットが広いです。この排出事業者に対しても将来的には何かしらプロダクトを提供できないかと考えています。そもそも廃棄物も、そしてデータも、排出事業者が川上でそこを起点に川下へと流れていきます。業界全体をより良くしていくためには当然排出事業者にも関与していく必要がありますし、ビジネスチャンスや事業、そして時代のニーズという面でも、対象を広げていく必要があると思います。

田口 最後に、日々新たなチャレンジを続けている製造業の方たちをはじめとする読者の皆様に、メッセージをお願いできますか。

小山 次々と新しい技術が登場し技術革新が進む中で、これらをどう活用するのかが、製造業に限らずどのような企業にとっても大事になると感じています。その上で大切なのは、実際に使う人のことを意識して活用をしていくことです。

例えばDXというキーワードでも、単に変革を目指すのではなく、それによって影響を受ける人たち、新しい技術を使う人たちのことを心情面を含めて考えることが重要です。うまくいくものも、失敗するものも、結局は人なのだと思います。

私はもちろん技術やテクニカルな面で興味を惹かれるものがたくさんありますが、使う人たちのことをないがしろにして進めてしまう、これが一番良くないと思っています。そういった自戒の意味も込めて「私たちDXEの想い」を作成しました。

一番の競合は「現状維持」紙文化が根強く残る産廃業界でDXE Stationが描く未来像

政府が掲げているSociety5.0では、時間を有効活用したり便利な世の中を実現したりするだけではなく、描く未来像として、社会課題を解決し、人々の生活の質(QOL)が向上した「人間中心の社会」を目指しています。私はこの言葉が本質を示していると感じています。私たちのサービスを使う人たちがもし不安を抱えているとしたらどう解消するのか、サービスを利用することでどのように感じているのか、その視点を忘れずに、思いを共有できる方たちと一緒になってより良い社会に貢献できるものを届けていきたいと考えています。

左から田口 紀成氏(Koto Online編集長)、小山 逸朗氏(DXE株式会社 代表取締役社長)

【関連リンク】
DXE株式会社 https://dx-e.net/
株式会社コアコンセプト・テクノロジー https://www.cct-inc.co.jp/

(提供:Koto Online