総括
FX「首相は誰に? 世界ディスインフレの流れで、日本だけが逆に向かうと弊害あり」
ドル円=150-155、ユーロ円=162-167、ユーロドル=1.05-1.10
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨10位(10位)、株価7位(7位)、首相は誰に?金融緩和の世界の流れで、日本だけが逆に向かうと弊害がある」
(衆院選挙、首相は誰に? キャスティングボードは国民民主か)
衆議院選挙で、自民・公明両党は、215議席獲得、過半数の233議席を下回った。野党は総じて250議席獲得で過半数を上回ったが、野党自体で一枚岩ではない。すんなんりと政権交代とはならないようだ。
国民民主党は、公示前の7議席から28議席と大きく躍進した。玉木代表は連立政権への参加は「ない」と明言した。一方で、立憲民主党との連携についても「外交・安全保障、原発を含むエネルギー政策、憲法観で一致できないと何もできない」と慎重姿勢を示した。来月にも行われる特別国会での首相指名選挙は、決選投票も含め他党の候補者に投票しない考えも示した。
立憲民主党は、民主党時代の円高論者の藤井氏、与謝野氏の伝統を引き継いでいると見られる。ただ80円まで円高になると円売り介入を連発した。票に繋がる主婦層の物価高懸念で、円高政策を示唆するかもしれないが、円高になると賃金の上昇も見込めずモノも買えず再びデフレ不況となる。そこまで引っ張ってはいけない。
(介入なければ実需の円安相場へ)
10月はここまで11位、NZドルと最下位争い。年間では10位。7月の介入以来、ドル円やクロス円は雲の下へ下落していたが、3か月を過ぎ、対ユーロ、カナダ、メキシコを除き雲の上に浮上し再び元の円安へ戻りつつある。ただ7月の介入前の161円台にはまだ遠く、それが日経平均の伸び悩みにも繋がっているのだろう。日本国債10年の利回りは0.945%。
(早速口先介入だが、円安は投機ではなく実需)
ドル円が150円台に乗せた時点で、早速財務省から口先介入が出ている。投機的な動きも注視しているとしているが、投機的な取引は世間の誤解を生んでいるが、実需と比べると小さい。相場の流れを作っているものは実需だ。主に貿易収支、それと中長期的な年金や機関投資家のポジションだろう。ただ輸出や投資家をつぶす円買い介入とは言いにくいので居もしない投機筋の名前を出してインフレに繋がる円安をけん制している。円高のデメリットはインフレ懸念と比べると大きすぎる。
(さあ日銀、あの株下げの再現を避けるか)
日銀は今週、金融政策決定会合を開く。海外経済の先行き不透明感が強い中、日米ともに政局は流動的な状況だ。日銀には、国内経済への影響をなお見極めるべきだとの見方が強く、政策金利を0.25%程度で推移させる現在の金融政策を維持する公算が大きい。
会合では、最新の景気予測である「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を取りまとめる。日銀は基調的な物価上昇率について、2026年度までの見通し期間後半に目標の2%程度に達するとした従来想定におおむね沿っている、との判断を維持しているもようだ。
植田総裁は、ワシントンで、利上げ判断について「一応、時間的な余裕はある」と発言、慎重に見極める姿勢を示した。
世界的なインフレの低下、中国のディスイフレの流れで日本の物価だけが急上昇することはない。日銀の基調なインフレ率は1%台、1%以下もある。
(利上げや円買い介入を行うほどの過熱感なし)
景気過熱や物価急騰の過熱感なき状況で、バブルつぶしのような利上げや円買い介入を行うことは、大きな破たんとなる。せっかくの貯蓄から投資への動きをつぶすと消費意欲も減退してしまう。
日本の一人当たりGDPが世界38位、2024年はマイナス成長、加藤財務大臣はデフレ脱却担当大臣という自覚をもって日本を蘇らせたい。
*米ドル「通貨3位(4位)、株価(NYダウ)9位(8位)、続パウエル本位制で金利・ドル上昇。懸念はトランプ関税」
(パウエル本位制で金利上昇、ドル強く)位置
パウエルFRB議長の「利下げを急ぐことはない」から強い指標が多くなり、金利もドルも上昇している。10月のドルはここまで最強、年間では3位。7月の日銀のドル売り介入から低迷していたが10月は立ち直った。 米株価も年初来、ナスダックとS&Pが20%超高、NYダウは11.74%高。米10年国債は4.24%と先進国では高い部類に入る。
(今週は3Q・GDP、10月雇用と重要指標が続く)
今週は3Q・GDP、10月雇用と重要指標が続く。大統領選挙、FOMCも控えている。国際的緊張の高まりも続き思わぬ動きも出るだろう。GDPは前期比年率は3%増の予想で強い、アトランタGDPナウは3.3%。
非農業者部門の雇用は、ハリケーンやボーイング社のストライキの影響で減少か。
(先週の経済指標は強かった)
先週の経済指標は強かった。10月ミシガン大消費者態度指数、9月耐久材受注、新築渋滞販売、製造業・サービス業PMI、失業保険なども改善、予想を上回った。
(IMFは米成長率を上方修正)
IMFは24年の米成長予測は0.2ポイント引き上げて2.8%とした。賃金や資産価値の上昇で消費が想定よりも強くなると見込んだ。25年も0.3ポイント上方修正し、2.2%とした。
(IMFもトランプ氏の関税政策を批判)
現状維持でも米国経済は堅調だが、トランプ氏が大統領になった時は不確実性が残る。
IMFの 世界経済の下振れリスク要因としては、米国とユーロ圏、中国の間で10%の双方向関税、さらに米国がその他の国々に10%の関税を課すシナリオや、米国と欧州への移民減少、金融状況の逼迫につながる市場の混乱を挙げた。これが現実になれば、世界全体のGDPを25年に0.8%、26年には1.3%低下させると予想。
また、中東とウクライナでの紛争が拡大した場合、原油やその他商品の価格が急騰するリスクにも言及した。
*ユーロ「通貨5位(6位)、株価6位(7位)DAX)、今週はGDP・CPIの発表、独はリセッションか」
(低成長、マイナス成長でありながら、ユーロはそれほど弱くはない)
ユーロ円は強いが、対ドルでは4週連続陰線。それでも年間は5位で、低成長、マイナス成長でありながら、ユーロはそれほど弱くはない。株価(独DAX)は6位で16.19%高で日経平均の13.3%高より強い。独10年国債利回りは2.3%。
(ラガルドECB総裁は追加利下げ示唆、0.25%か0.5%を議論中)
ラガルドECB総裁は、ユーロ圏のインフレ率は目標とする2%に戻る軌道に乗っていると述べた。「インフレに関する最新のデータで、ディスインフレが順調に進行していることが示されている。このところの経済活動を巡る指標は予想外にやや下振れしている。金融環境は引き続き制約的だ」と述べた。消費者物価の上昇は鈍化し続けていると繰り返したが、賃金圧力によるリスクは依然として存在するとも強調した。
ECB当局者らは最近、今年3回目の利下げを実施した後、12月の次回理事会でさらに抜本的な措置が必要かどうかを議論している。ユーロ圏の減速ペースに懸念を表明するハト派政策当局者の数が増えている一方、金融緩和加速に反対するタカ派当局者の数も増えている。ラガルド総裁も、金利の方向性は明確だが、利下げペースはまだ決まっていないと述べ、同様の意見を述べた。
(今週はGDPとCPIの発表、独はリセッションか)
今週は欧州の3Q・GDPが発表される。ユーロ圏の予想は前年比で0.8%増で2Qの0.6%増を上回る。一方独は前年比で0.3%減の見込み。前期比でも0.1%減の予想でリセッション入りとなる。
ただユーロ圏や独の4Q入りとなる10月PMIは製造業、サービス業、総合PMIともに改善している。独の10月IFO業況指数も改善していることから、4Qは期待が持てる。ユーロ圏の10月消費者物価の発表もある。
(独ナーゲル総裁の言い分)
ナーゲル独連銀総裁は、ドイツは深刻な景気後退に直面していないが、状況悪化を防ぐための措置を講じる必要があるとの見解を示した。
すでに合意されている経済成長促進策の実施にドイツ政府が取り組むことが現時点で最も重要とし、「これは成長力の強化に大きく貢献する。2025年に一段の措置が取られれば、中銀の観点からは間違いなく歓迎する」と述べた。また、地政学的状況がドイツにおける不確実性の主因であるとの見方を示した。
*ポンド「通貨2位(2位)、株価16位(16位)、11月利下げ観測あるが、IMFは成長見通しを上方修正」
(10月は米金利上昇と英中銀利下げ観測でやや弱い)
ポンドは依然強い。10月はドルが強く9位と低迷しているが、年間では2位を堅持。通貨高で株価は強くはなく、16位の6.67%高。10年国債利回りは4.24%と米ドルよりやや低い
(ベイリー中銀総裁=インフレは予想よりも早く冷え込んでいる)
ベイリー英中銀総裁は、英国のインフレ抑制プロセスは当局者の予想よりも速いと述べ、これは中銀が来月利下げを継続する最新の兆候かもしれないと述べた。 インフレ率が1年前の予想よりも低いと述べた。「ディスインフレは我々の予想よりも早く起こっていると思うが、経済に何らかの構造的な変化があるのかどうかについてはまだ疑問がある」と述べ、前回の会合で慎重なアプローチを示唆したが、政策は緩和的であると述べた。最近、インフレに関する良いニュースが続けば、利下げに「もう少し積極的」になる可能性があると示唆した。今後数カ月間により速い利下げサイクルに移行するとの見方をさらに固めるものとなりそうだ。トレーダーらは現在、来月0.25%利下げすると予想しており、12月にはさらに0.25%の利下げが行われる可能性が60%あると見ている。
(10月製造業・サービス業PMIは)
10月の総合PMIは11カ月ぶりの低水準となった。労働党政権が初めて発表する予算案を巡る不透明感が企業マインドを冷やし、今年初めて採用を縮小した。 総合PMIは51.7。好不況の分かれ目である50を上回ったものの、9月の52.6から低下し2023年11月以来の低水準となった。サービスPMI51.8と11カ月ぶりの低水準。製造業PMIも、輸出受注の急減で6カ月ぶり低水準の50.3となった。
(10月30に予算案発表、投資促進か)
リーブス英財務相は、10月30日に発表する予算案で政府の公的債務目標を変更し、投資向けに数十億ポンドを超える借り入れを可能にする考えを示した。保守党のスナク前政権による公共投資削減方針を見直す。「投資ルールの変更により長期的なリターンをもたらすものに投資資金を確保できる」と述べた。
IMFは英国の今年の経済成長率が3か月前の予測の0.7%から1%に上昇すると予想している。
*豪ドル「通貨5位(5位)、株価14位(14位)、今週は9月と3QのCPIに注目」
(円よりは強いが、ドルよりも弱い)
米金利上昇によるドル高で10月の豪ドルは弱く、12通貨中10位。年間では7位。株価指数(全普通株)は14位の8.15%高。10年国債利回りは4.44%と米国より高い。
(経済指標はマチマチ)
経済指標もマチマチ。9月の雇用統計は強かったが、10月PMIは変わらず。製造業は46.6で前月の46.7から微減、サービス業は50.6で前月の50.5から微増した。
9月の企業倒産件数が過去最高を記録した。コストの高水準と経済の低成長により、多くの企業が依然として財務上のストレス下にあることを示している。9月の企業倒産件数は1,225件。今年9月までの倒産件数は9596件で、過去最高を記録し、2023年の倒産件数も上回った。建設、ホスピタリティ、小売業が倒産のトップにランクされた。
(今週は9月と3QのCPI発表)
今週は9月と3Qの消費者物価が発表される。9月は8月の2.7%から2.3%へ、3Qは2Qの3.8%から2.9%へ低下する予想。予想通りになれば、IMFは物価の上昇を予測しているが、足元では利下げ観測が強まる。
(IMFはインフレ見通しを引き上げ、成長見通しを引き下げ)
IMFの最新予測によると、豪のインフレ率はスロバキアを除くすべての先進国を上回ると予想されている。 IMFの世界経済見通しで発表された新たな予測では、2025年の消費者物価上昇率は2.8%から3.6%に上昇した。
またIMFは2023年の経済成長見通しを1.5%から1.2%に引き下げた。今後の米国選挙と中国経済の不確実な軌道に関連する潜在的なリスクを強調している。IMFは、保護主義政策の強化により貿易摩擦が高まり、サプライチェーンが混乱する可能性があると警告している。外部との競争が激化し経済が脆弱になる中、多くの国が保護主義政策に転じていると指摘し、信頼できる財政調整の必要性を強調している。
(RBAハウザー副総裁は)
RBAのハウザー副総裁は金利はどちらにでも動く可能性があると語った。RBAは1年近く政策金利を4.35%に据え置いている。トレーダーらは、RBA の最初の動きは利下げだが、来年初めまでにはならないだろうと予想している。9 月の雇用統計は予想よりも好調で、RBA への利下げ圧力は和らいだ。ハウザー副総裁は、雇用の伸びが強いことに驚いたと述べた。インフレが依然として高すぎるため、RBA はどちらの方向にも動けると指摘した。利上げが行われれば、RBA は主要中央銀行の中で異端者となるだろう。主要中央銀行の大半は、インフレ低下に対応して利下げサイクルに入っている。
金利政策に関する2つの重要な要因はインフレと雇用だが、どちらも利下げを支持するものではない。2Qのインフレ率は3.6%から3.8%に上昇し、目標である2%の2倍近くに達しているが、労働市場は依然として堅調である。RBAは、インフレ率の低下と雇用データの弱まりが見られるまでは、利下げを検討する立場にはないだろう。次回の金利会合は11月5日で、RBAは政策金利を維持すると予想されている。
*NZドル「通貨9位(8位)、株価12位(15位)、10月は円と最弱通貨争い。消費者信頼感指数が悪化」
(10月は円と最弱通貨争い、2Qのマイナス成長の影響続く)
10月はここまで最弱通貨と弱い。弱い円にも負けている。年初来では9位。株価指数(NZ50)は世界13位の8.5%高。10年国債利回りは4.44%と先進国では高い。
2Q・GDPは前期比0.1%減のマイナス成長であった。常にリセッションが話題となる状況だ
(10月の消費者信頼感指数が悪化)
10月の消費者信頼感指数は91.2で、前月の95.1から低下した。現況と見通しを示す指数が悪化し、4カ月ぶりのマイナスとなった。
100が楽観と悲観の分岐点だ。雇用不安が不確実性を高めており、金利の緩和は多くの世帯にとってすぐに安心材料とはならないだろう。また短期的には乗り越えるべき課題がなお多い。
(ワシントンでのオア中銀総裁講演)
NZ中銀は8月に政策金利を2020年3月以来初めて引き下げ、今月にはさらに0.5%引き下げて4.75%としている。
インフレ見通しの低下を反映して金利を引き下げているものの、依然として根強い物価上昇圧力について検証中であると、オア中銀総裁は述べた。「企業の価格設定行動とインフレの持続に関する不確実性が引き続き金融政策に影響を与えている。しかし、こうした不確実性は、現在、インフレの低下と相まって生じている」とした。
インフレ率は2022年に7.3%でピークを迎えたが、現在は2.2%に減速し、RBNZの目標である1~3%の範囲内に戻っている。しかし、これは主に輸入品、つまり「貿易品」の価格低下によるものだ。国内のインフレ率の指標は4.9%と高止まりしている。一方、経済は2年以内に2度目の景気後退に陥る可能性が高く、失業率も上昇しており、迅速な金利引き下げを求める声が高まっている。