主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年11月21日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
▼20日(水)の為替相場
(1):中国人民銀 LPRを据え置き
(2):英CPI 予想以上に反発
(3):ユーロ圏賃金上昇率は過去最高
(4):ウクライナ英国製ミサイルで攻撃
(5):BOE副総裁「デフレ圧力継続の可能性も」
(6):FRB高官 利下げに対する見解示す
▼20日(水)の株・債券・商品市場
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20日(水)の為替相場
期間:20日(水)午前7時10分~21日(木)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):中国人民銀 LPRを据え置き
中国人民銀行(PBOC)は貸出金利の指標となるローンプライムレート(LPR)について、1年物を3.10%、5年物を3.60%でそれぞれ据え置くと発表した。PBOCは前回(10月21日)にLPRをそれぞれ25bp(0.25%ポイント)引き下げていた。
(2):英CPI 予想以上に加速
英10月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.6%、前年比+2.3%と市場予想(+0.5%、+2.2%)を上回り、前月(±0.0%、+1.7%)から伸びが加速。エネルギーや食品を除いたコアCPIは前年比+3.3%、英中銀(BOE)が注目するサービスCPIは前年比+5.0%と総合指数同様に伸びが加速した。英政府の予算案がインフレを加速させる可能性があるとの意見もあり、BOEが来年にかけて従来の予想ほど利下げを行わないとの見方が強まり、ポンド買いで反応した。
(3):ユーロ圏賃金上昇率は過去最高
欧州中銀(ECB)は7-9月期のユーロ圏の妥結賃金を発表。賃金の伸びは前年同期比で+5.42%と4-6月期の+3.54%から加速。ユーロが導入されて以降もっとも大きな上昇率となった。この結果を受けて、ECBが2025年の利下げに対して慎重になるとの見方がいくぶん強まった。
(4):ウクライナ英国製ミサイルで攻撃
ウクライナが英国製巡航ミサイルをロシア領内に向けて発射したことが伝わり、ウクライナ情勢を巡る地政学リスクの高まりへの警戒感からクロス円が下落。一方、ストレートドルでのドル買いが強かったことから、ドル/円の下落は限定的だった。
(5):BOE副総裁「デフレ圧力継続の可能性も」
英中銀(BOE)のラムスデン副総裁は、英政府が示した景気刺激策の影響などにより、インフレ率が2027年まで中銀目標の2%を上回り続けると英金融政策員会(MPC)が示した予想を「妥当だと思う」としながらも、「不確実性を考慮すると、最近のデフレ傾向が持続する可能性も同じくらいあると思う」との見解を示した。
(6):FRB高官 利下げに対する見解示す
米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は、インフレが依然として懸念材料となるが労働市場は堅調だと指摘し、さらなる利下げには慎重な姿勢を示した。また同時に中立金利がコロナ前よりもはるかに高い可能性を指摘し、「我々が考えているよりも中立政策スタンスに近付いている可能性がある」と述べ、「物価安定目標を達成する前に中立金利に達するか、それを下回るリスクも排除すべきではない」との考えも示した。一方で、その後に講演を行ったボストン連銀のコリンズ総裁は「最終的な行先は不確か」としながらも、「ある程度の追加緩和は必要」との見解を示した。