総括
FX「政策金利引き下げ。次の焦点はGDP。11月のランドは弱いが年間最強維持」南アランド見通し
「通貨首位、株価10位」
「予想レンジ 南アランド円8.3-8.8」
(ポイント)
*11月はここまで9位と弱い。年間ではドルに迫られながらも首位堅持
*10年国債は8.98%で年初来、金利が低下している数少ない市場
*政策金利は予想通り0.25%引き下げ。為替にも言及
*消費者物価はインフレ目標下限より低下
*インフレ目標引き下げが議論されているが、結論まで時間がかかりそうだ
*次の焦点は3Q・GDP
*南ア格付け見通し引き上げ
*3Q失業率が改善
*トランプ政権誕生で、関税引き上げ問題とAGOA法の存続が注目される
*中銀総裁がランド高示唆
*IMFは成長見通しを上方修正
(ランドは今月はやや弱いが、年間では首位堅持)
11月はここまで9位と弱い。年間ではドルに迫られながらも首位堅持。アフリカ全株指数は年初来11.33%高、10年国債は8.98%で年初来、金利が低下している数少ない市場だ。
(政策金利は予想通り0.25%引き下げ。為替にも言及)
中銀は予想通り政策金利を0.25%引き下げ7.75%とした。9月も0.25%引き下げていた。
中銀は世界の経済状況は厳しく、見通しは不透明感が強いと述べた。
クガニャゴ総裁は、今回の決定は全会一致で、0.5%の引き下げについては議論されなかったと述べた。「委員会では引き締めの水準を引き下げることはインフレ目標の達成と整合していると合意した。しかし、リスクの見通しを踏まえると慎重なアプローチが必要だ」と指摘。「世界的に金利が再び上昇する可能性があり、最近の通貨ランド安は、世界の環境の変化が南アにいかに速く影響を与えるかを示している」と言及した。
トランプ氏が米大統領選で勝利して以来、ランドは対ドルで3%以上下落している。
(消費者物価はインフレ目標下限より低下)
10月の消費者物価上昇率は前年同月比2.8%と前月の3.8%から鈍化し、2020年6月以来の低水準となった。 燃料価格の下落が主因。食品価格の上昇率も鈍化した。
政府が規制するガソリン・軽油価格は10月に1リットル当たり1ランド以上引き下げられた。
(次の焦点は3Q・GDP)
停電も長期間ないことから3Q・GDPは上昇する見込みだが。予想はそれほどの大幅改善ではない。前期比で0.7%増(前回は0.4%増)、前年比で0.8%増(前回は0.3%増)である。
(インフレ目標の引き下げには数年かかる)
南ア中銀はインフレ目標の引き下げを推進しているが、これが導入されるまでには時間がかかる。
クガニャゴ中銀総裁は、一貫して南アのインフレ目標の引き下げを求めている。
新たな目標に関する頻繁な発言により、目標が近いうちに引き下げられる可能性があるとの期待が生まれている。
中銀は2017年以来、インフレ期待を目標レンジ(3-6%)の中央値4.5%付近に固定してきた。南アのインフレ目標は他の国よりもはるかに高く、米国と英国のインフレ目標は約2%。高いインフレ目標は南アの競争力を阻害し、企業は購買力を失わないように賃金を大幅に変更しなければならないことを意味する。
中期予算政策声明と11月の金融設定会合では、財務省と中銀が目標引き下げについてまだ協議中であると指摘されたが、期限は示されなかった。
中銀はインフレを抑制する義務を負っているが、目標を設定するのは財務省である。
クガニャゴ総裁は協議が終わりに近づいていると示唆したが、インフレ目標の引き下げに関する新たな発表があるまではまだしばらく時間がかかる可能性があると指摘した。
「10月の前年比インフレ率2.8%に続き、今後数カ月は抑制されたままではあるものの、インフレ率は上昇傾向にあると予想される。インフレ率が上昇傾向にあるときに低い目標値を設定するのは理想的ではないと以前から指摘されている」とした。