総括
FX「2024最終号、ドルをも凌ぐ最強通貨になった南アランド」南アランド見通し
「通貨首位、株価12位」
「予想レンジ 南アランド円8.3-8.8」
(ポイント)
*年初来最強、きっかけは総選挙後の連立政権
*インフレ落ち着き、インフレ期待低下
*小売売上、企業信頼感が改善
*ムーディーズの南アの見方は
*予想外のマイナス成長。3Q・GDP
*シティの南アの成長見通しは楽観的
*BRICS新通貨構想はない(財務大臣)
*鉱産物価格は弱い
*IMFの見通しが改善
*南ア格付け見通し引き上げ
*3Q失業率が改善
*トランプ政権誕生で、関税引き上げ問題とAGOA法の存続が注目される
(2024年は最強通貨で終りそうだ)
今回が2024年最終号です。6月の総選挙で与党ANCが大敗し連立政権を組むこととなったが、その連立政権が機能し、内外からも評価され、諸問題も改善の方向へ進んでいる。残り僅かだが、現在でドルより強く最強である。インフレ低下で金利も低下、株価もまず堅調だ(年初来13.31%高)。
(インフレ落ち着き、インフレ期待低下)
インフレ期待は2021年以来の最低水準に低下し、当局が引き続き金利を引き下げる根拠が強まった。2年先の平均インフレ期待は、4Qに4.6%と、以前の4.8%から低下した。今年と来年の期待もそれぞれ4.6%と4.5%に低下した。
11月の年間インフレ率は前月の2.8%から2.9%に上昇した。食品価格の上昇は14年ぶりの低水準に落ち着き、全体的な価格上昇圧力の抑制に貢献した。
総じてインフレが穏やかであることを反映したデータだ。2025年まで利下げを続ける余地がある可能性を示唆している。
(10月小売売上改善)
10月小売売上は前年比で2.1%の上昇予想、9月は0.9%上昇だった。
小売売上高は10月に予想外に2年ぶりの高水準に急上昇し、今後も伸び続けると予想されており、経済にとって良い兆しとなっている。
10月の自動車販売は前年同月比6.3%増と、販売の主因は総合ディーラーで、前月は1.1%増だった。富裕層の消費者心理の改善、金利の低下、穏やかなインフレ、貯蓄者が退職金の一部を早期に引き出せる年金改革に支えられ、小売業者の売上は引き続き伸びる可能性がある。
(11月企業信頼感指数=BCIも上昇)
11月企業信頼感指数は118.1で10月の114.2から大幅上昇。観光客の増加、貴金属価格の上昇、新車販売の好調が11月のBCIに最も顕著なプラスの貢献をした。
(ムーディーズの南アの見方)
ムーディーズはS&Pグローバルとともに南アとその経済の諸側面について楽観的な見解を示し、同国に対する評価を堅持し、安定的な見通しを維持した。
ムーディーズは、南アの司法や中銀などの中核機関の強さを認め、「強固で厚みのある金融セクターと堅固な対外的立場」を称賛した。
しかし、12月3日に発表されたムーディーズの評価では、同国の改革への道のりが依然として困難で長いことが示されているため、同国の賞賛はそこで終わる。
南アの経済・財政状況は依然として弱いが、構造改革の取り組みが加速すれば予想を上回る成果が得られる可能性があると述べた。
ムーディーズは、国家財政が脆弱であり、このため政府は2024/5年度に5.6兆ランドの債務返済に滞納するリスクがあると考えている。債務のほとんどは現地通貨建てで、返済期間はより長い。この債務の利息費用は、今年度で3,890億ランドである。このリスクは、政府が借り入れる際に、より高い金利で借り入れることを意味する。これにより、政府の債務と利子の支払い状況が悪化し、保健や教育への資金提供などのサービス提供プログラムに資金を提供する能力が弱まる。