人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「「動の米国」より、「静の中国」がいつになく「AI」で盛り上がる」人民元見通し

(通貨7位、株価17位=上海)

予想レンジ 人民元/円 20.2-20.7

(ポイント)
*習近平国家主席のAI重視で香港ハンセン指数が急騰
*人民元はドル安に連れるも7位で安定
*株価急騰で金利も上昇
*2月PMI発表は今週末から
*米国の追加関税、中国商務部がWTOに提訴
*元相場の安定を目指す、人民銀総裁
*習国家主席が民間シンポジウムに出席(AI関連)
*海外資本が中国から流出、中国資本は北米から撤退
*対面の米中首脳会談が待たれる
*安いディープシークとBYDが世界に影響
*GDP、24年は5%成長
*台湾海峡緊張は続く

(人民元安定、香港ハンセン株が急騰、世界最強、金利上昇)
 人民元は安定推移で年初来7位、ドルの比率が高いバスケット制度なのでドルよりは弱くはならない。株価は上海総合指数が年初来0.85%高、香港ハンセン指数は強く18.58%高。日経平均は4.39%安。10年国債利回りは1.77%で当局のけん制もあり上昇継続している。

(習近平国家主席=「AI+」が切り開く新たな生活)
 香港ハンセン指数は、DeepSeek急発展の影響もありアリババなどAI関連株の急騰がリードしている。前回触れた習近平国家主席のAI重視も市場を支えている。

 習近平国家主席は「人工知能(AI)と民生の保障・改善との結びつきを強化し、民生を保障・改善し、人々のためにより良い生活を創造する必要性に立ち、人々の日常の仕事や学習、生活におけるAIの深い活用を後押しし、よりスマートな働き方やライフスタイルを創出する必要がある」と指摘した。さらに以下のように続けた。

「AI+教育」は全ての人に寄り添う生涯教育、全ての人に平等な教育、全ての人に適した教育、よりオープンでフレキシブルな教育への発展を加速させる。

AIを活用した診療支援や慢性疾患管理支援、診療後管理などの「スマート」大規模AIモデル、「AI+製薬」や「AI医学シミュレーションシステム」なども登場し、医療分野でのAI応用シーンが拡大し続けている。

「AI+交通」は自動運転分野にとどまらない。物流車両の効率的なマッチングを支援し、ドローンが直接家に配達し、ビッグデータ分析とスマートアルゴリズムを活用して都市交通管理を深く最適化し、道路交通効率を向上させるといった具合に、AIの支援により、市民の移動はますます安全で効率的なものになっていくだろう。

(関税合戦で)
 人民銀行の政策顧問、王一鳴氏は、トランプ米大統領の関税引き上げが二国間貿易に打撃を与えるため、中国の対米輸出は急減する可能性があると述べた。外部環境の変化により、今年は拡大しつつある内需への圧力が高まると指摘。新エネルギー自動車やリチウム電池などの新興産業が、不動産セクターの調整による需要ギャップを埋めるのは難しいとも述べた。

(2月PMI発表は今週末から)
 2月政府版製造業・非製造業PMIは3月1日(土)に発表される。財新版は来週3月4日、5日となる。予想はいずれも若干の改善だ。