人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「戦争と蜜月=貿易防衛では「いかなる戦争」にも対応。為替は蜜月」人民元見通し

(通貨4位、株価17位=上海、香港ハンセン首位)

予想レンジ 人民元/円 20.3-20.8

(ポイント)
*米中関税戦争も、為替は蜜月
*相変わらず世界最強の香港ハンセン指数
*全人代を要約しました
*成長目標5%前後維持 財政出動で内需拡大
*国防費増加、AI重視
*2月PMIはいずれも改善
*米国の追加関税、中国商務部がWTOに提訴
*元相場の安定を目指す、人民銀総裁
*対面の米中首脳会談が待たれる
*安いディープシークとBYDが世界に影響

(米中関税戦争も、為替は蜜月)
 タイトルを勇ましく「中国は、米国との「いかなる種類の戦争」にも対応する準備ができている」としたが、人民元相場についてはいつものように、バスケット制度を利用してドルにつかず離れずの相場となっている。為替は米中蜜月だ。
 人民元は安定推移で年初来4位、対円で4.06%安、対ドルで1.36%高。
10年国債利回りは1.76%で財政支出拡大政策や当局のけん制もあり上昇継続している。

(相変わらず世界最強の香港ハンセン指数)
香港ハンセン指数は年初来17.62%でここまで世界最強だ。上海総合指数は0.29%安。
 香港ハンセン指数は、DeepSeek急発展の影響もありアリババなどAI関連株の急騰がリードしている。習近平国家主席のAI重視も市場を支えている。

(2月PMIはいずれも改善)
(政府版)
・製造業50.2(前回49.1)
・非製造業50.4(50.2)

(財新版)
・製造業 50.8(前回50.1)
・サービス業51.4(同51.0)

(全人代開幕=成長目標5%前後維持 財政出動で内需拡大)
 李強首相は今年1年の政策方針を示す政府活動報告の中で今年の経済成長率目標を3年連続となる「5%前後」にすると表明した。
 IMFは成長率は4.6%に鈍化すると予測していて、中国政府としては、これを上回る水準に目標を設定することで、景気を下支えする姿勢を強調するねらいがあるとみられる。
 李首相は.「外部環境はいっそう複雑で厳しさを増し、わが国の貿易や科学技術などにより大きな衝撃を与える可能性がある。一国主義と保護主義が激化し、国際経済の循環を阻害している」と述べた。
 トランプ政権が、中国への追加関税を引き上げる措置を決め、中国側も対抗措置を打ち出すなど貿易摩擦が激しくなる中、経済の先行きには不透明感が広がっていて、目標の実現に向けては、不動産不況への対応や内需拡大などが焦点となる。

(国防費)
 国防費を去年より7.2%多いおよそ1兆7800億人民元とする予算案を公表。中国経済が減速する中でも引き続き軍備を増強する姿勢を示した。
 アジア全体の44%を占め米国に次いで世界で2番目の規模。

(財政拡大)
 財財政赤字について、GDPに対する比率を「4%前後」とした。去年の目標だった「3%前後」を上回り、財政出動を増やすことで減速する景気を下支えする姿勢を鮮明にした。

(台湾)
 台湾について「『1つの中国』の原則を堅持し“台湾独立勢力”による分裂や外部勢力の干渉に断固反対する」と述べ、台湾との関係を平和的に発展させ、経済協力や文化交流を促すと強調した。

(AI)
 「ディープシーク」が開発した生成AIが注目される中、政府活動報告では、AIの普及に力を入れる方針が示された。